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未来の建設業を考える:「建設業はネアンデルタール人?」

サピエンス全史の著者「ユヴァル・ノア・ハラリ」

 サピエンス全史の著者「ユヴァル・ノア・ハラリ」は、現代人の祖先「ホモ・サピエンス」は他者を信頼し仲間を作ることで、厳しい生存競争に成功した、と指摘している。
 ホモ・サピエンスは、認知革命によって架空の事物を想像し、神話を作り、協力することで生き延び、それができなかったネアンデルタール人は滅んだ。
 ヒトは4つ足動物やネアンデルタール人と比べて体の固体が弱いので、自分たちを守り、より大きな獲物を捕獲するために、ヒト同士が「協調」し、「信頼」することで、集団で行動することができた。
 その結果、ヒトよりもずっと大きく強い獲物を獲得することに成功するとともに、農業など確実に食料を手に入れる手段(ハラリは「農業革命」と読んでいるが)を得て、現在では地球上の動物の10%がヒトであるというところまで進化している。

ネアンデルタール人の方がヒトよりも大きかった

 現在の研究によれば、ネアンデルタール人の方がヒトよりもガタイがっしりして大きく、脳の大きさもヒトよりも大きかったらしい。そのため、ネアンデルタール人は、目の前の獲物を取ることに都合が良い形であり、自分が食べるための獲物を獲得することしか考えていなかった。か弱いホモ・サピエンスのように相互協力しなくても獲物を獲得することができた。また、ヒトよりもずっと大きいため、基礎代謝量がヒトの1.2倍、動くのに1.5倍のエネルギーが必要とされ、食糧難の時代には厳しい環境におかれたようだ。

ヒトは、「信頼」と「協調」のうえに成り立つ動物

 そもそもヒトは、「信頼」と「協調」のうえに成り立つ動物なのだ。

現在の建設業を考えてみよう

 そこで、現在の建設業を考えてみよう。
 建設業は多くのヒトからの信頼関係によって構築されている。発注者からの信頼、設計者からの信頼、専門工事業者、職人の信頼が、ものづくり建設業の底辺を支えている。建築基準法も、最低限の要件を関係者全員が守ることを前提に、性善説で成り立っている。建設プロジェクトのそれぞれの参加者が、自分の領域の仕事だけを行うだけでなく、他を思いやり、協調して、むずかしい建設工事を成し遂げている。
 ここに、まさにヒトが今も生き残っていることにつながる「信頼」と「協調」が存在する。

建設プロジェクトすべての参加者に「信頼」と「協調」を

 しかし、ここ最近の偽装事件や品質不正などは、この信頼関係を裏切る行為につながる。
 このままの状態が続けば、ホモ・サピエンスの生存基盤である「信頼」と「協調」を失い、滅びゆくネアンデルタール人になるはず。
 ぜひとも、これからの時代もずっと続く建設業であるために、改めて建設プロジェクトのすべての参加者が「信頼」と「協調」を念頭に、次代に残るインフラを構築することに全霊を捧げていきたいものだ。
 滅びゆく建設業、滅んだネアンデルタール人にならないためにも。

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