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【創作】連載小説「小じさん」

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不思議生命体「小じさん(こじさん)」。それは、なんだかんだいてくれて嬉しい、小さなおじさん。
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#小話

小じさん第一話「緑の小じさん」

 街を歩いていたら、その一角に不自然な緑地区画を見つけた。しばらく人の手が入っていないよ…

桐沢もい
1年前
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小じさん第二話「赤い小じさん」

 久しぶりに仕事を早く上がることができたある日、少し外の空気を吸いながら散歩をしてみたく…

桐沢もい
1年前
9

小じさん第三話「白い小じさん」

 僕は、2023年が始まってからひと月と経たないうちに、2度も奇妙な体験をした。それはいずれ…

桐沢もい
1年前
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小じさん第四話「緑の小じさん(再び?)」

 両足で小刻みにステップを踏む。顎先から汗が滴る。 「いっ!」  マスクの内側でおもいき…

桐沢もい
1年前
9

小じさん第5話「灰色の小じさん」

 あれは本当にあったことなのか、それとも何かの見間違いだったのか、ちょっと自信がない。で…

桐沢もい
1年前
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小じさん第6話「くすんだ桃色の小じさん」

 彼とは、その後何の進展もなし。  というより、本当に私は彼のことが好きなのか、分からな…

桐沢もい
1年前
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小じさん第七話「黒い小じさん」

 気がついたらいつもの天井があった。僕の部屋の天井。僕は仰向けになっているらしい。背中の感触は布団のものだ。長年使っていてすでに弾力が失われた硬い布団。状況はわかった。僕は今まで寝ていて、たった今目を覚ましたということだ。今何時だ。ていうか、何曜日だ。頭が朦朧としている。寝る前の記憶がない。  カーテンが引かれた窓からは微かな光が漏れていた。寝ぼけた頭では、それが昇りつつある朝日の光なのか、月明かりなのか判断がつかなかった。  首をひねって壁の掛け時計を見る。光の加減で針の位