アナログ回帰したい気持ち

Eテレでたまにやっている、漫勉という番組があるんです。漫画家の浦沢直樹さんがMCをしていて、現役漫画家さんに制作場面を見せてもらって、ご本人と制作過程のVTRを見ながら解説していくという、マニアックな番組です。

ペンタブレットとかでデジタル制作している方もいるんですが、多くはまだ、紙を使った、アナログ制作なんですね。どの先生も見とれるほどうまくて、私が勝手に名付けているんですが、

ジェットコースター現象が起こるんですね

ジェットコースターって離れて見ていると、大して速く感じないんです。じゃぁ、大丈夫だ、大したことないなと思って、目の前で見ると、ものすごいスピードだったりしますし、何より、実際に搭乗してみると、

「思ってたのと大分、違う!」

という事に気づいたりします。上手い人が描いているのを見ると、簡単に見えてしまうんですね。特にアナログ世代の先生方は下書きなんか、あたりをつけるだけで、

ペンでいきなり描いてしまう

人が多いんです。そこに迷いがない。一番、驚いたのはガンダムなどで有名な安彦良和さんでしょうか。噂通りの天才だなと思ったのは、

なんと、ペンではなく、筆で描いている

んですね。それも、ネームも作らず、いきなり描いてます。それも、鉛筆でほとんど完成に近い絵をいきなり描いてるんです。アナログ世代の人は機械オンチが多くて、デジタルに移行できないという人もいますが、

デジタルに移行すれば、自分の持ち味が死ぬ

という自覚がある人もいるんだと思います(実際は出版社の段階でデジタル化されているんだけど)。何より、アナログだと、底力がつくような気がします。竹刀と真剣の差というか。もちろん、デジタルの世界でも、使いこなしている人は物凄いわけでして、本当はこれを比べること自体、ナンセンスなんですね。根本は同じなんだと、わかっているんですが、不思議とね、

ずっと、どちらかをやっているよりも、たまに他のことをすると、なぜか、力量が上がる現象が起こるんです。

デジタル制作ばかりしている人が水彩画とか油絵とかやって、またデジタルに帰ってきたりとか、もっと言えば、

全く関係ない分野をすることでも、同じ現象が起こる

こともあるようです。これは証明できないし、その理屈もわからないのですが、医学的には、創作活動って、つまるところ、脳の活動ですから、脳が幅広く学習することで、創作活動にも影響が出るということでしょうか。

そんなこんなで、アナログで描いてみたいなぁと思いながら、いまだに下絵は鉛筆で描いてスキャナで取り込んでいるので、そもそも、半分はアナログなのでした。




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