ペンタブレット

ずっと、スキャナで下書き、それからはマウスで完成までというスタイルで描いていたんですが、まさかの腱鞘炎になってしまい、利き腕なので、しばらくは日常生活も不自由しました。やっと回復しつつあるので、絵を再開することにしたのですが、やっぱり、再発が怖いので、ペンタブレットを導入しました。めんどくさがり屋なので、新しいものを憶えることが嫌だったのですが、背に腹は代えられず....。

結果、使ってみて、最初は戸惑いながらも、かゆいところに手がどいて、なんとなく、嬉しい感覚がありました。学生時代にせっせと手描きをしていた時代の感覚でした。といっても、そこはやっぱりデジタルなので、気軽なんです。

失敗したらやり直せばいいや

という感覚ですね。手描きしかなかった時代の緊張感がないんです。それに、慣れないせいもあるんですが、手描きとは微妙に違うんですね、感覚が。しかも出来上がった絵のレベルは大して変わらないので、

やっぱり、絵は道具ではないんだな

と改めて認識した日々でした。

ある漫画家さんがTVで、デジタルに変えたら余計に時間がかかるようになったとおっしゃっていて、その理由が

デジタルだといくらでも修正できるので、際限がないから

ということでした。他人から見たらつまらないこだわりを作家は大なり小なり、持っているので、それが逆に作業効率を落としているというなんとも皮肉な結果なのでした。それでも、一度、ペンタブレットに慣れてくると、もう、マウスで描くのは嫌になってくるもので、

よく、あんな不便な道具で描いていたな

と思うようになっている自分に気づきました。アナログ世代の人が絶対にデジタルに移行したくない気持ちって、やっぱり、使い慣れた道具って、

手の延長

だからなんでしょうね。腱鞘炎になって、なんだか、はじめてわかった気がします。

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