GIMP3.0でどこまで機能向上するか

未だにGIMPのことを、フリーのPhotshopとか、LinuxのPhotshopと書いている記事があって、使用経験者から言えば、もういい加減にして欲しいと思っているでしょう。私個人は両ソフトとも、何かを言えるほど習熟していないので、なんとも言えませんが、とりあえず、現行のGIMPは一から絵を描くソフトではなく、あくまで、画像編集ソフトだなという感覚です。

ところが、元々、Photshopがレタッチソフトとして開発されていて、GIMPもそれに倣って開発された経緯があるはずなのに、本家を使う人は絵を描くのに使っている人が少なくありません。これは機能差といえば、そこまでなのでしょうけど、Adobe製品は、他の同社製品との親和性が高く、結局、どこかの段階で、PhotShopを使わざるを得なくなるので、皆、使っているという感じなのでしょうか。

ただ、弘法筆を選ばずが基本なのは言うまでもないことで、世の中には

Wordで素晴らしい絵を描いている方もいる

そうで、手になじんだ道具を使うことこそが、クリエイターにとってもっとも重要なことなのかもしれません。ただ、GIMPは確かにフリーソフトの中では、かなり良く出来ているとは思います。あえて言えば、GIMPの問題点としては、

開発スピードが遅い

に尽きると思います。もっとも、フリーなのだから当たり前だと言えますが、Linuxはフリーなのに、有料OSよりも開発スピードが速いので、フリーだからという一言では片づけられないものがあります。理由はOSの場合は

開発者=使用者

である場合が多いからだと思います。画像編集ソフトなどは開発している人が画像クリエイターである可能性はOSよりはかなり低いと思います。その為、有料のソフトよりもどうしても、開発が遅くなってしまいます。Linux登場の時は、PCが32bitなのに、16bitのシングルタスクOSを使わざるを得ない環境があり、いくらメモリを継ぎ足しても、一度に認識できる容量が限られていたり、とにかくOSがハードの足を引っ張るという、本末転倒な状態が全世界のスタンダードだったわけです(これはMacの世界でも、そうでした)。

そのため、Linuxのカーネルの黎明期でも、世界中のハッカーたちが飛びついて、開発参加したわけです。GNUの産物を集めて、ついにOSとして動くようにパッケージ化も進んで、あれよあれよとサーバー用途では、有料ソフトのシェアを抜いてしまいました。それだけ、

開発者自身が使いたいOSを欲しかった

という需要が高かったわけです。ところが、画像編集関係はそういう構造になっていません。さっさと有料OSで有料ソフトを使いなさい、その方が早いというのが実情だからです。

さらに細かいことを言えば、GIMPはGTKの呪縛があるので、なかなか開発が進みにくいというのはあるでしょう。GTKはX-Windowのウィジェットです。これを使って、GIMPは開発されています。ところが、GTK自身のバージョンが2,3,4へと移行しつつあるのですが、メジャーバージョンアップすると、互換性が犠牲になったり、パフォーマンスに影響が出てしまうので、GTK2で開発されているGIMPはなかなか、移行できないでいるわけです。これも企業だったら、力技でさっさと移行していると思うのですが、フリーだとそうはいきません。何より、前述したように、開発者自身がクリエイターを兼ねていない場合が多いでしょうから、

自身がどうしても欲しいとは思っていない

のだと思います。実際、Linuxユーザーでもっとも、望まれているのは、

有償でよいから、Linux版Photshop

なんだそうです。さて、これらの期待にGIMP3.0はどれだけ応えられるでしょうか。はたまた、そもそも応える気があるのでしょうか。GIMPの生き残りのポイントは2つです。

一つはより、本家に近づく

ことです。できればもっとファイルの互換性があると良いです。次に

GIMPにしかない機能をどれくらい、追加できるか?

です。GIMPは拡張機能を内蔵の言語で記述可能です。ただし、これらはシステムが予め用意している範囲内で出来るだけなので、限界があります。それと、オマケとしては

見た目をもう少し、スマートにして欲しい

という要望は少なくないようです。本当はこれだけ高機能なソフトが無料で入手できるわけですから、ユーザーはもっと開発者に感謝すべきなのかもしれません。Linux黎明期では、こういうクリエイター系のソフトはおとなしく、Macでやりなさいという感じだったと思いますから。ちなみに、現在もクリエイターに好まれるのはMacかもしれません。MacはOS9以前と違って、10以降は実質、BSD系UNIXになったので、安定性の向上や、過去のUNIXの膨大なソフトウェア資産をあまり苦労せずに移植できるメリットがあります。過去のMacのアプリの互換性問題は現在ではほぼ、解消しているはずですし。

実際、X-Windowも動くそうなので、UNIX系のアプリはほぼ、そのまま動くと思います。さらに元がFreeBSDということもあって、OSのバージョンアップがとても安価です。WindowsはPCに最初からバンドルされている場合でないと、安価に入手できません。Linuxはというと、有料メジャーソフトがありませんし、新しいデバイスはドライバが供給されません。昔と違って、Macにしかないソフトというのはほぼ皆無で、3大OSのすべてが、実質、中身はUNIXになったため、個人の好みと、有料メジャーソフトの有無と使用目的による、コストパフォーマンスに行き着くようになった気がします。

ただ、Macユーザーも層が変わったかもしれません。昔はMSDOSみたいに、コマンドを手入力したり、ドライバを手動で認識させることを極端に嫌っていた人が多かったような印象がありますけど、

今はUNIXなので、端末画面でコマンドを打ったりする機会もあるでしょうし、プログラミング用途でMacを使うことも不思議ではなくなってきました。

個人的にはBeOS派生のHAIKUがもっとメジャーになれば良いのにと思うのですが。何せ、今のOSはどれも、重すぎるので。

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