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入院してたらアムウェイに勧誘された話

筆者は白血病で入院して10ヶ月目である。

ある日、珍しい見舞い客が来てくれた。

彼は浪人時代の友人でその後1度飲み会で会ったきりである。2年ぶりの再会だ。

ひとしきり話した後、彼は筆者に直接的な支援をしたいと申し出る。確かに筆者は病気をしてから身体的にも精神的にも経済的にも厳しい状況におかれているので、こういった提案をして頂けるのは大変ありがたいことである。

彼は何もせずとも月に5万円は入る仕組みを構築していて、それを筆者にも適用して月に1万円は入るようにできる、と言うのだ。

ちょっと何言っているか分からなかったのでそれは一体何なのかと聞くと、アムウェイである。キタ━(゚∀゚)━!と思った。入院中の三大勧誘、怪しい民間療法、謎の宗教、そしてアムウェイ。その1つがついに自分に降りかかったのである。

アムウェイについていい噂は聞いたことがなかったが、恥ずかしながらそれがどんなものか知らなかったので話を聞いてみることにした。

まず、彼(以下、アムウェイマン)がおもむろに取り出したのは歯ブラシ。アムウェイ歯ブラシである。ヘッド部分が自在に動くので常に歯に垂直に磨ける、優れものである。アムウェイマンは他の歯ブラシとは違いいくら擦ってもティッシュペーパーが破けないことを披露してみせた。
次にアムウェイマンが取り出したのはアムウェイ歯磨き粉とアルミホイル(アルミホイルを常備しているのか…と思ったが)。アムウェイ歯磨き粉と一般の歯磨き粉をアルミホイルに塗り歯ブラシで擦り始めた。アムウェイ歯磨き粉の場合、擦ってもアルミホイルが削れない、すなわち歯の表面も削れにくいことを実践で説明してみせた。

という具合に、ひとしきりアムウェイ製品の品質をアピールした後、アムウェイマンはアムウェイでお金を稼げる仕組みの紹介を図説し始めた。詳しい内容は省くが、要は紹介すれば紹介するだけ、紹介された人が商品を購入すれば紹介者が儲かるという仕組みのようである。アムウェイマンは、これから共通の知人にアムウェイを紹介してそれを筆者が紹介したことにして、筆者にお金が入るようにしてくれると言うのである。そして筆者に特にコストはかからないのだと言う。これには通常の勧誘とは異なる、アムウェイマンの善意を感じざるを得なかった。
最後にアムウェイマンは、アムウェイカタログと創業者リッチ・デヴォス氏の自叙伝を置いて帰って行った。

かくして筆者は、アムウェイのディストリビューター(会員のこと)に登録することになったのである。しかし、このことをツイッター上で表明すると多くの否定的な意見がリプライで集まった。その一部を紹介しよう。

・世間からの信頼度が奈落の底に堕ちる
・反社並に近づきたくない存在
・絶対縁を切った方が良い
・アムくらい聴いただけで金輪際関わりたくない

という具合である。恥ずかしながら、筆者は世間的な評判をそこまでのものと認識できていなかった。筆者は大学院修士課程で評判の協力行動への影響を研究していた身である。当然自身の評判については敏感だ。ツイッターのやりとりをしている内に、アムウェイに登録していることで自身の評判が奈落の底に堕ちることを恐れた。そしてすぐにアムウェイを解約した。

解約したことをアムウェイマンに伝えると、
「ツイッターでやめとけって言ってきた人を俺に会わせてみ?どんな人が相手でもひっくり返せる。本気で止めてきた正義感の強いやつほど、「俺もやる」と言い出すだろうよ。」とのこと。
強気である。
そして、執拗に再登録を迫ってくる。通常何かに誘うとき、断られたら「そっか、また機会があれば~」くらいだと思うのだが、アムウェイの場合は様子が異なるようである。

このnote執筆中の現在もアムウェイマンとのやりとりは継続中である。なぜそこまで再登録にこだわるのか、その謎を探るべく捜査員はアマゾンの奥地へと向かった。

ちなみに、アムウェイマンにもらったアムウェイ歯ブラシとアムウェイ歯磨き粉は現在も愛用中である。

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