2024年、2025年 フィリピンの経済成長、ASEAN域でトップに! by AMRO
東南アジア地域シンクタンク(AMRO)の最新報告によると、フィリピンの経済成長率は今年と2025年の両方で、ASEAN加盟国や中国、日本、韓国、香港を上回る見込みです。ただし、インフレ上昇が今後の見通しにとって大きなリスクとなっています。
ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス (AMRO) は、フィリピンの2024年国内総生産 (GDP) 成長率を 6.3% と予測しており、1月の報告から変更はありません。これは、2023年の改定値 5.5% を上回るもので、政府が今年掲げた 6-7% という目標達成範囲内でもあります。AMRO は 2025年もフィリピンの成長率を 6.5% と予測しており、これも政府の目標値 (6.5-7.5%) の範囲内です。
AMRO は、フィリピンは外部需要の回復から、製造業や観光業が回復するとみています。
AMRO の今年の成長率予測では、フィリピンはカンボジア (6.2%)、ベトナム (6%)、インドネシア (5.2%)、マレーシア (5%)、中国 (4.4%)、ラオス (4.7%)、香港 (3.5%)、ミャンマー (3.2%)、タイ (2.9%)、ブルネイ (2.7%)、シンガポール (2.6%)、韓国 (2.3%)、日本 (1.1%) を上回っています。2025年も、フィリピンとベトナムが地域での成長リーダーになることが予想されます。
一方で、フィリピンの経済見通しはいくつかのリスク要因と課題を抱えています。短期的な成長見通しは比較的堅調ですが、高インフレがリスクとなっており、特に食料部門における供給ショックと、地政学上の紛争が国際エネルギー価格に与える影響が懸念されます。 これらはインフレを押し上げ、内需を抑制する可能性があります。
AMRO の推定によると、今年のフィリピンのインフレ率はベトナムと並んで 3.6% と、ASEAN+3 地域で最も高い水準になる見込みです。より高いインフレ率を示すのはミャンマー (16.1%) とラオス (14.3%) だけです。AMRO は 2025年にはフィリピンのインフレ率が 2.9% に落ち着くとみています。
このインフレ予測は、フィリピン中央銀行 (BSP) が今年と来年についてそれぞれ 3.8% と 3.2% と予測している値よりも低くなっています。
世界経済が比較的堅調なことにより、今年はややインフレ圧力が下向きではなく上向きになる可能性があり、成長率の鈍化を招くおそれが指摘されています。
そして、インフレ上昇リスクが BSP の利下げを遅らせる可能性があります。BSP は 4月10日、政策金利を 17年ぶりの高水準である 6.5% に維持しました。インフレはまだ十分に低下しておらず、フィリピン中央銀行が利下げに踏み切る状況にありません。インフレが落ち着き、2-4% のインフレ目標を達成するまでは、金融政策は引き締まった状態を維持するとみられています。
AMRO は、フィリピンは主要な貿易相手国の経済減速、金融市場の変動、金融状況の悪化といったリスクにも直面していると述べています。
また、長期的な成長については、インフラ開発のペース、中国と米国間の地政学的な緊張の高まりの影響が大きいとされています。フィリピンはまた、エルニーニョなどの気候変動による社会経済的コストの上昇にも直面しています。
フィリピンが取るべき戦略
財政政策:パンデミック中に中止されていた政策を回復することに重点を置き、経済への的を絞った支援を提供する。
金融政策:インフレを抑制することに焦点を当てる。
まとめ
フィリピンの経済は今年と来年、ASEAN 地域で最も高いと予想されています。しかし、インフレ上昇はリスクとなっています。フィリピン政府は、財政政策と金融政策を適切に組み合わせることで、経済成長を維持し、インフレリスクを管理する必要があります。
本記事は、下記ニュースを要約したものです。
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