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池袋のメイド喫茶でとてもおいしい紅茶を頂いたお話

興味はあれど入りづらい「メイドカフェ」

みなさんはメイドカフェに入ったことありますか…?
私は『ペルソナ5』で「やさしさ」稼ぎに一回だけ入ったことがありました。これは…ノーカウントですね。

メイドといえば昨年(2022)末は『アキバ冥途戦争』が放映され、任侠映画さながらの怒涛の展開がTwitterで話題となりました。1話の歌唱&ガンカタシーンは衝撃でしたね。以前よりカルチャーとしてのメイドカフェには興味はありましたが、同作品は私に「実際にメイドさんにお会いしたい」と思わせるだけのパンチ力がありました。

とはいうものの、ピンク色がまぶしい店内で、同年代の若い女性が賑やかに笑顔を振りまいて接客するお店は、ゲームの中の体験であってもどうにも気恥ずかしく、居心地がいいとは思えません。一方、同アニメで嵐子さんが入所前に勤務していた『侍女茶館』のようなクラシカルな落ち着いたお店は好感が持てます。

そういうこともあって、冬コミに初参加した帰りの大崎ではサークル「純情キャリコ」さんの『メイド純喫茶の本』に手が伸びることとなり(本については末尾で紹介しますね)、今回訪問することとなる『ワンダーパーラーカフェ』さんに出会いました。

おりしも2月頭の同店では、『私の百合はお仕事です!』とのコラボを開催中であり、これを狙ったメイド喫茶経験者の妹に連れられて、私はメイド喫茶を初体験することになりました。やはりおひとりさまでチャレンジするのは心理的ハードルが高かったのでまさに「渡りに船」といえます(その割には兄妹共に若干ビビっていたのはご愛嬌)。

いざ来店

『ワンダーパーラカフェ』さんは、池袋駅東口から徒歩約10分ほど、所謂「乙女ロード」のビル街から少し分け入ったところにあります。池袋の片隅、静かで地味な街並みというか、商業地域と第一種住居地域の境界にほど近いというべきか。スーツを着崩した男性と買い物に行くラフな格好の近所の人と、ちょっとしたお出かけに来た女性がすれ違うような場所です。

店内は白いナチュラルなテーブルクロスが敷かれたテーブルが(確か)7卓ほど並んでおり、席数としては20にも満たないこじんまりとした空間です。ティーカップを収めた重量感のある棚を始めとしたアンティークな雰囲気を漂わせる調度品の数々は店内に落ち着いた雰囲気を与えています。

そこに花を添えるのがメイドさん。白と黒を基調とした丈の長いメイド服はヴィクトリア調を下地にしつつ、エプロンの裾と肩口のフリルと、皆さんご存じヘッドドレスが愛らしさを引きだします。ロングドレスの持つ質量感・存在感が持つ落ち着いた雰囲気に、彼女たちの丁寧な所作が合わさるとこちらまで身が引き締まるというものです。特に利き手を訊かれるのは数少ない体験かと(食事のためのフォーク・スプーンを持たない側でカップを持つので訊かれます)。


メイドさんのイラスト。チェック柄は難しい。

メイドさんとのお話やレクリエーションを楽しむのではなく、落ち着いた雰囲気やメイドさんの丁寧な所作といった空間を楽しむお店です。隣席に午後の予定を語る男女のオタクがいる一方、向かいの席には素敵なチェックの冬スーツを着こなしたおじさまが恐らく奥様と来店していたのは不思議な光景でしたが、ごく普通に「喫茶店」として利用されたのでしょう。

ちなみに、メイドさんが給仕の始めと終わり、そして最後にテーブルを離れる時まで毎度丁寧なお辞儀をしてくれるので、どのタイミングで会釈を返すべきなのか迷った私たち兄妹も何度も頭を下げてしまったのは少し恥ずかしい思い出です。

「おいしい紅茶の店」

実はこのお店、紅茶関連業者の業界団体である「日本紅茶協会」さんが認定する「おいしい紅茶の店」の一つ。1988(昭和63)年に始まった息の長い制度ですが、4年毎に全店調査を行う厳格さであり、同協会HPの認定店案内には帝国ホテル、ホテルニューオータニといったそうそうたるメンツが並びます。

その実力を私は一口目から認識しました。普段から紅茶を飲むときは熱さのために恐る恐るカップに口をつけていますが、今回の紅茶は給仕の時点で適温に調整されており、熱くて味が良く分からないなんてことは一切ないのです。勿論ぬるくもありません。一口目でその紅茶の美味しさを体験できました。あまりの驚きに兄妹揃って「おいしい」「流石『おいしい紅茶の店』だ」とつぶやいたほどです。


これがH.M.Bだ。

今回私が頼んだのは、H.M.B(Her Majesty's Blend)。"Her Majesty"の指すところはあのヴィクトリア朝の女王であり、H.M.Bは1886年に彼女のための特撰ブレンドとして紅茶専門店のリッジウェイが納めたブレンドです。これを大変お喜びになった女王はリッジウェイに御用達の地位を与えました。

セイロン・アッサム・ダージリンをブレンドしたH.M.Bは、紅茶の王道を突き詰めたといえる気品高い味わいと香りで、「おいしい紅茶が飲みたい」という私のアバウトな欲求に寄り道なしにまっすぐ応えてくれました。正統派紅茶故、ミルクティーにも合います。甘みとしてはちみつが用意されていますが、砂糖と違った優しい甘みもまたいいものです。

紅茶党を名乗りながらも、コーヒーの苦みと酸味が苦手だからという消去法でティーバックの紅茶を飲み始めて、今でもルピシアなどで紅茶の好みを吟味しないような同志にはぜひH.M.Bを薦めたい。ちなみにメニュー表にはおすすめの紅茶のフローチャートがあるので、それを見て決めるのもいいですね。私は、名前が強そうでミルクティーにも合うというのでH.M.Bを
選びました。

注文の際には紅茶を最初に出すか最後に出すか尋ねられますが、ポットには保温のために素敵なティーコゼーが被せられるので、最初に紅茶を頼んだとしても、最後まで温かい紅茶を楽しめますよ。

可愛らしいティーコゼーとポット。

もちろん食事もおいしい

フードメニューは、ハヤシライスやパスタ各種などが提供されており、基本的には「"Food Set" Menu」としてフードメニュー+選べる本日のデザート+紅茶を頼む感じです。

一口食べてしまったあとに撮ってしまった。

今回は定番らしいハヤシライスとチョコレートのケーキをお願いしました。ハヤシライスはよく煮込まれて十分おいしいです。仕上げに生クリームがかかっているとコクが出ますし、見た目にもオシャレですよね。ケーキの載ったお皿には可愛らしいメイドさんのチョコアートが描かれているのも、目に楽しいです。

チョコアートが上手くないか…!?

ところでお値段のお話

各フードはセットメニュー価格が設定されており、1700~1800円程度となります。なお、セットメニュー価格の紅茶はアッサム・ダージリン・セイロンの730円を基本としているので、今回のH.M.Bのようなブレンドされた「良い」紅茶の場合は差額分が価格に乗ります。これにテーブルチャージ(750円)が乗るので、3000円ほどになります。

これを高いとみるかは人それぞれですが、ティーバックでレンチンするような紅茶をお出しされるわけでは全くないことを思い返していただければ。なおかつここはメイド喫茶ですから、接客と空間も商品(サービス)のであります。

まとめ

というわけで、メイドカフェ未経験の私が経験者妹と共にクラシカルなメイド喫茶に訪問した日記でした。

また来たいなと思うと同時に、メイドカフェでありながら同じく「おいしい紅茶の店」認定店である「キュアメイドカフェ」さんや「カフェメイリッシュ」さんにチャレンジしてみたり、はたまたホテルでアフタヌーンティーとしゃれこんでみたいなと思わせる体験でした。

よくあるメイドカフェのアトラクション性がコワイという人が、メイドカフェにチャレンジしてみたいというときには、ワンダーパーラ―さんやこのようなクラシカルなメイドカフェを探して行ってみてはいかがでしょう。ワンダーパーラーさんは席数が少ないので、ぜひ事前予約をしてみてくださいね(予約をすれば行くしかなくなるので自分を追い込め)。

それと最後に、退店前ににこやかに妹とお話してくださったメイドさんありがとうございました。

リンク

ワンダーパーラーカフェ
〒170-0013 東京都 豊島区 東池袋 3-9-15
HP: http://wonder-parlour.com/index.html
公式Twitter: https://twitter.com/MAIDCAFEWP?s=20

日本紅茶協会
HP: https://www.tea-a.gr.jp/

おまけ: 『メイド純喫茶の本』の紹介

冒頭で触れたサークル「純情キャリコ」さんの『メイド純喫茶の本』は冬コミDay2の新刊なのですが、私はDay1の帰りに大崎コミックシェルターで手にしました。今後も同人イベントなどで頒布なさると思われ。

  • 自分自身が構えずに落ち着いて過ごすことができる

  • 客席で本(薄い本含む)を呼んでも気まずくない

  • 比較的早い時間から営業していて、喫茶店として利用しやすい

上記の要素あたりをもつお店を「メイド純喫茶」として紹介されているので、こうしたお店を探してみたいなという人はぜひ。







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