聖剣ソードライバーを貫く!

 ゼロワンが終わって、いよいよ来月から仮面ライダーセイバーの放送開始だね! 抽選で当たった人たちに聖剣ソードライバーも続々届いているみたい。変身ベルトのレビュー動画を観るのも最近の趣味として定着してるんだ。
 そんなわけで今回は変身ベルトについて話していきたい。ちなみに僕が初めて欲しいと思ったベルトはエボルドライバーでした。

 セイバーを初めて見た時は、これがライダー……?(いつもの)という感想だった。つつましさがないというか、あまりに派手すぎて、初期フォームらしさがない。戦隊寄りのデザインではないか、という人もいた。ゼロワンがいかにも機械的な姿だっただけに、これが来ると一気に衝撃が押寄せてくる。
 公式発表の生放送を見た時(ちょうどその日、専門学校のオンライン授業のテストがあった)はまあ、この状況なだけに、放送が順調に進むかどうかだいぶ心配な気分だった。いよいよ初回放送が迫る今でも、その懸念は完全には消えていない。
 
 このベルト自体はだいぶ単純な見た目をしている。何しろ、多くの仕掛けが内蔵されているのは剣の方なのだから。
 アイデアは悪くない。豆本と剣という組み合わせもうまく子供向けの需要を狙っていると言える。
 ただ細かい所を指摘すればするほど、ちょっとした瑕疵が目立ってしまう。

 これ……本も剣も刺さってなかったら相当貧相な代物だな……。
 他のベルトはもっとインテリアとしての美しさを兼ね備えているものだが、この聖剣ソードライバーは鞘であるにすぎず、剣に比べればその存在価値はおまけ程度でしかない。
 架空の文字が彫ってあるのはクウガのアークルを髣髴とさせるけど、この文字がリント文字みたいに重要な形で本編に関わってくるとは思えない。ただ単にファンタジー的雰囲気を増幅させるための飾りみたいなもので、これが現実に存在していると錯覚させるだけの説得力に欠ける。
 ライドブックという本型の道具をベルトに挿入してそれに合わせたフォームに変身するわけだが、なまじ外に露出しているだけに、欠如している時の貧弱さをごまかすことができないのだ。
 いざ本を挿入すると、玩具感がすごい。正面から見ないと面白さがすっかり分からない。本の絵柄が、これを玩具として遊ぶことをはっきりと想定してる。
 そして、他人に本の絵柄を見せるわけだ。これが現実だと、どうしても奇妙な印象がぬぐえない。だって、ベルトにごちゃごちゃ刺さっているとそこにばかり目が行ってしまう。もう現実の武器としての重みが減退するようでいて。

 迫力を重視するせいか、何しろべらべらしゃべる。単にアナウンスであるならまだいいが、最近のは本当に派手にしゃべる。しかも今回のソードライバーに至っては語りといっていい。しゃべるベルトがだめ、というよりは、今回のソードライバーの声に何だか重みというより軽みがあって苦手。大塚明夫の声は普通に荘厳だけど、必殺技をしゃべっている時の声が変に爽やかで耳についてしまう。
 初期の物はかっこよさと重みが程よく調和していたんだけどな。ディケイドライバー程度のかっこよさでいいんだよ! ……結局商売だから、遊ばせることも考えなくちゃいけないのは分からなくはないけど。

 剣で変身するのならサソードくらいの按配がちょうどいいんだけど、ベルトに差込む小物が今一重厚感を感じない。本編が始まったらかっこよく映ってるのかもしれないが。
 むしろ、そういう風に嬉しくなく思わせるのがセイバーの意図することなのだろう。ゼロワンが硬派な雰囲気をかもしていただけに、あえて漫画っぽい、ぶっ飛んだ物を出しているわけだ。これはこれで悪くない。エグゼイド以来硬いデザインが出続けていただけに、時にはこういう神秘性のある代物があってもいい。
 それにしてもベルトの成立にちゃんとした設定があるのって、意外と少ないな。ジクウドライバーとかそれ自体どこから来たのかまるでよく分からなかったし。本編でもこの不思議な本や鞘の来歴について触れてくれるんだろうか。

 でも昭和ライダーのリメイクっぽいよね。剣を引き抜くのって、Xがライドルホイップをベルトから引き抜くのと同じものを感じさせる。アークルは一号のベルトを古代風にアレンジしたものだし、二つの明かりが灯るオルタリングはV3オマージュだ。こういう伝統への尊敬が感じられるのが素晴らしい。
(ベルトと小物の組み合わせで色んなフォームを作ることは確かに楽しいんだけど、大抵使いまわしの音声が鳴る所で興が覚めてしまうんだよな。Wとゼロワンはそのあたりかなり作りこまれていた)

 お前はこれを買うの? って言われたら、今のところ欲しくはないな。前も言った通り、俺はディエンドライバーの方が欲しいんだ。武器型のおもちゃの方でも遊んでみたいからね。

 ここからは蛇足。
 最近「がっかりなファンタジーせいぶつ事典」(新紀元社、2019)という本を読んだんだけど中世の記録で狼男がベルトで変身する、という証言があったらしい! 本郷猛の数百年前にライダー的何かが存在したのか……面白い!