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江童短歌帖

78
今まで投稿した短歌をここにまとめる。
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2020年4月の記事一覧

狂ほしさ常なる我を許せかし
一度人とたがへばいとど

友なし君よ言ふまじかく返せ
見ぬ世の人を友としたりと

いかばかり尊からずや見知らねど
同じき民のために捨つる身

ささやかにひきなる丘の上を立つ
りんご結ぶ木刈る人来たり
#短歌 #tanka
ひきなり(形動)…背が低い

鱈井元衡
4年前
2

尊しと仰げばなるかこの空は
生みてまた吸ふこの土踏めば

とこしへの幸をまこととするために
人てふ人をただ溶かさまし

いにし日は浅き知恵のみつきしかば
楽しくてこそその日終へけれ

はるかなる昔に思ひ致しかね
今日のさかしき心を選ぶ

さかし(シク)…賢い。

鱈井元衡
4年前
1

誇らぬを誇りとするも考へよ
塵のつまると何かは変はる

心なく人の悪さを裁く世に
やさしさ持つはいかにか難き

腹あしくせさせぬ人もなかりけり
同じこころもいさかふべきに

思へどもただちに言はでやむ内に
取るに足らずと悟る多かり
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
3

おしなべて人の心は知りがたし
我が心だに記しがたきを

ひなべりと言ふにあらねど今様の
流行る言葉にあはれかはある

我が死ぬることわりさやと疑ふは
これただ浅き道選べばか

黄泉の国の恐ろしとのみ伝へける
昔の人はたのまれぬぞや
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
2

心合ふ友とつどひて追はれざる
山に棲まねば救はれがたし

おほやけに背くとて我が国建つる
世にしあらねばつどひ固まれ

「この日の初の歌とて詠める」
歌屑を捨つるがごとき習はしを
さても捨てじと今日も踏む我

世の中に我が知るべきと君の身に
心うべきといかで同じき

鱈井元衡
4年前
1

積む恨み誰がたはごとと興ずべき
親子といへど流す末あり

岩山の果てなくつづく砂原を
なす石のごと一人立ちたし

世の中は空しきものと知ればこそ
いたづらにすることを恐るれ

過ちを繰返すこそ人なれと
言ふな同じき時またこねば
#短歌 #tanka

鱈井元衡
4年前
1

子うまごのあらむ千年の後の世は 憂ふべからずすべきことなし 知るらめやかやつが笑顔あしからず とささやく人になりたかりけり 気近くはあらねど人を呼ばはばや 心引くすべ易からぬかは 恥知れと人こそ言はめ生きてゆけ いくたび罪にまみれあるとも #短歌 #tanka