マガジンのカバー画像

江童短歌帖

78
今まで投稿した短歌をここにまとめる。
運営しているクリエイター

2019年9月の記事一覧

時ならぬ移りのあればこぞの我
ふりて帰らぬ遠さぞ悔ゆる

迫るあた憎む目の輪に射らるれば
受けて立つ手は炎のごとし

いくる道選び少なくその選び
ここらわびしく報い尽きけり
#短歌 #tanka

こぞ…去年
ふる(四段)…古くなる
あた…敵

鱈井元衡
5年前
1

ありぬべき事柄一つ数へんも
まこと越えずとつたなく言ひぬ

やむ得ずとなげく日数は良き命
送るたづきを残しつらんを

空向けばつまづき下を見て人に
当たり前向くいかでかかたき
#短歌 #tanka

鱈井元衡
5年前
2

首しめぞかくてゆく我拙しと
いましめの上いましめ重ぬ

名を捨てば実の甘きをも知らるまじ
薄き心は言(こと)ぞ引きたる

とらせしと受けしと間かさなりて
厚さ重みを示す音かな

時結ぶ巻糸解きて恥と罪
今に並ぶる悔いの強さよ
#短歌 #tanka

鱈井元衡
5年前
4

うるはしと思ふは遠く見ればなり
月のおもての傷をも知らで

かく人も近く見ばその趣の
欠けて見ゆべし月と同じや

ありがたき渦のただ中恐ろしと
覚えでのちにしかと知るらし

ありがたし(ク活)…滅多にない、大変な。
#短歌 #tanka

鱈井元衡
5年前
1

たんぽぽの原舐めつくす火の玉に
空もあざれて夢もすすけぬ

話す者あれどなけれどわびしきは
手につなぐ術心得ざれば

鱈井元衡
5年前
1

「よみがへり」

よみがへり黄泉より命帰れりと
言ひし昔ぞ心いみじき

よみがへると言へど人をよみがへす
こと能はぬぞなほ浅ましき

鱈井元衡
5年前
1

入り立たぬ様の良きにも珍しき話の種に言ひやまぬなり のちに名をとどむればこそ育ちゆき知らむとせぬにかこたれもすれ 夏の日の暑さ涼しさ定めぬはつれなき人をいざなはむとか #短歌 #tanka かこつ(四段)…悪口する。

我立てと己にしひて立たれぬは
我が過ちとさらに我責む

心なく力も見えぬ者ならば
人のそしりも否むべきかは

明日の飯憂へねど今日食ふことは
少なし餓を恐るまじくや

鱈井元衡
5年前
2