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タラ夫と行く「式場隆三郎 腦室反射鏡」展

練馬区立美術館で開催中の「式場隆三郎 腦室反射鏡」展に来たよ。

見て!このメインビジュアル!
おどろおどろしくてあやしくて、夢に出てきそうなポスター。(タイトルも難しい…)。いったいどんな展覧会なんだろう…。どきどき…。
中に入ってみましょう🐟💨

式場隆三郎(しきばりゅうざぶろう)さんは昭和初期から中ごろにかけて、アート界ですごく有名だった精神科のお医者さん。
仕事をやりながら、民藝運動とかゴッホの病の研究とかアート関係の本をたくさん書いたんだよ。展覧会名の「腦室反射鏡」も著作のタイトルからつけられました。

式場隆三郎の仕事~芸術と医学~

医学生時代、「白樺派」に影響を受けた式場さんは、郷里・新潟で自ら同人誌を立ち上げたり西洋美術を紹介する展覧会を開いたり。
その精力的な活動をとおして武者小路実篤や柳宗悦、岸田劉生といった文化人・アーティストと関わりを深めていきます。

こちらは江戸時代後期の仏教行者・木喰(もくじき)による「木喰仏(もくじきぶつ)」。
式場さんは、民藝運動の中心人物として知られる柳宗悦による木喰仏の調査に協力し全国を同伴したこともあるのだとか。

さらにゴッホの精神病理学的な研究にも取り組み、医学的な見地からの研究に加え、後の西洋美術の文化的啓蒙活動の基礎となる時期を青年期に過ごします。

式場隆三郎の仕事~芸術と宿命~

そんな式場さんのしごとを語る上で欠かせない重要な業績の一つが、日本でのゴッホの紹介です。

戦後すぐに式場さんはゴッホの複製画の巡回展を開催。これは多くの日本人にとって初めてみたゴッホ作品であり、今に続く「ゴッホ=炎の画家」というイメージを形作りました。

また「裸の大将」でもおなじみの画家・山下清さんを「日本のゴッホ」として世に売り出したのも式場さん。
個展を開いたり、映画の監修もしたんだって😲

式場隆三郎の仕事~芸術と生活~

民藝運動の創始者・柳宗悦と学生時代に知りあった式場さんは、柳さんを生涯にわたって「私の芸術に関する恩師」と仰ぎました。
民藝運動に初期から関わった式場さんの邸宅(現存)は、柳宗悦や濱田庄司、河井寛次郎がその設計に関わり、「民藝建築」の代表作でもあるそう。

一方、式場さんは『人妻の教養』『結婚の饗宴』『独身者の性生活』といった著作でジャーナリズムの寵児ともなり、出版社やホテルの経営にも関わっていたそうな。

~~~

活動の幅が広すぎて一言で語り切れない式場さんの仕事ぶりを、資料や作品から示そう!という意気込みがすごい。
主催者あいさつには「わたしたちの願いは、式場隆三郎という名前を改めて思い起していただきたい」とありました。
ポスターの印象とあいまって、もう忘れられないよ…。😇

ちなみに前会場の広島市現代美術館での特別企画「おうちで式場展」に掲載されている都築響一さんの「誌上展覧会 怪人シキバ二十面相」には

マルキ・ド・サドの日本における最初の紹介者として、1937年にまず伝記を翻訳(すぐ発禁)、その後も作品の翻訳や解説書を著した。
(おうちで式場展 誌上展覧会「怪人シキバ二十面相」より)

とか

1952年に松本市で初個展を開いた草間彌生を知って、東京での展覧会デビューに尽力した。
(おうちで式場展 誌上展覧会「怪人シキバ二十面相」より)

とか、展覧会を知る上で、また式場さんを知る上でとても面白い情報が盛りだくさん。

予習復習にどうぞ💁‍♂️

式場隆三郎 腦室反射鏡

会期:2020年10月11日(日)~ 12月6日(日)
会場:練馬区立美術館
開館時間:午前10時~午後6時(入館は30分前まで)
休館日:月曜日(ただし11月23日(月・祝)は開館、翌24日(火)は休館)
入場料:一般1,000円、高校・大学生および65~74歳800円、中学生以下および75歳以上無料ほか
※本記事で紹介した写真は許可を得て撮影したものです。会場内では撮影ができませんのでご注意ください。

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