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【※追記あり】大滝詠一「ペパーミント・ブルー」マスターデータに関する幾つかの事柄(4)'89リマスターとCD選書、それぞれのシリーズ内でB-EACH TIME L-ONGがどのように作られているのか

こんにちは。俗に〝第2期ナイアガラ〟と呼ばれるSONY期大滝詠一楽曲のデジタルマスターについて書いています。

これまでは「ペパーミント・ブルー」について、1989年リマスター盤とCD選書盤を比較してきました。

今回は同じシリーズ内での比較です。B-EACH TIME L-ONGのトラックは、EACH TIMEの歌パートとNIAGARA SONGBOOK 2のストリングスパートをつなげたものですので、ペパーミント・ブルーが収められている3枚
・EACH TIME
・NIAGARA SONGBOOK 2
・B-EACH TIME L-ONG
これらを1989年リマスターシリーズ内、CD選書シリーズ内でそれぞれ比較します。

1989年リマスター編

  1. 1989年リマスターシリーズのEACH TIME [27DH 5303]に収められていたペパーミント・ブルー(以降【89ET】とします)

  2. 1989年リマスターシリーズのNIAGARA SONG BOOK 2 [27DH 5304]に収められていたペパーミント・ブルー(以降【89NSB】とします)

  3. 1989年リマスターシリーズのB-EACH TIME L-ONG [27DH 5305]に収められていたペパーミント・ブルー(以降【89BTL】とします)

今まで同様、トラックを並べて波形ピークを見ながらタイミングを合わせ、逆位相ミックスを聞きながら確認しました。

上から【89NSB】【89BTL】【89ET】

赤い縦線はデータが0[dB]に達したことを示しています。【89ET】は音量ギリギリまで入っているようですね。

確認したところ、
・【89NSB】と【89BTL】のストリングスパート
・【89ET】と【89BTL】の通常(歌入り)パート
それぞれタイミング調整で時間軸が一致し、音量調整で逆位相ミックス音が消失することを確認しました。【89BTL】は【89ET】【89NSB】でマスタリングされたデータを使って音量を調整し編集したもの、と考えても良さそうです。

以下、詳細に見てみます。【89ET】【89NSB】のデータを使い、どのような調整を施されて【89BTL】が出来上がっているのか確認します。

【89ET】を基準とした【89BTL】歌入りパートのレベル
-1.0[dB]

【89ET】よりも1.0[dB]低いレベルで納められていました。歌から始まる部分のクロスフェード以外、時間的な音量変化はありませんでした。

【89NSB】を基準とした【89BTL】ストリングスパートのレベル
0'00" : -1.4[dB]
0'35" : -1.6[dB]
0'43" : -1.8[dB]
1'48" : -1.6[dB]
1'49" : -1.4[dB]
1'51" : -1.2[dB]
【89BTL】は【89NSB】より1.4[dB]低い状態で始まり、さらに徐々に下げて0'43"には-1.8[dB]まで下がりますが、1'48"で音量を上げてきます。1'51"には開始時点より音量を上げ-1.2[dB]となったところで1'52"、歌パートとクロスフェード、といった感じです。

※2回目の記事で書きましたとおり、【89BTL】の歌パートは、いきなり歌部分(眠るような~)から始まります。他のB-EACH TIME L-ONGでのペパーミント・ブルー歌パートは、イントロのドラムからです。

CD選書編

次に1991年のCD選書シリーズ内の比較です。

  1. 1991年CD選書でリリースされたEACH TIME [CSCL 1664]に収められていたペパーミント・ブルー(以降【選書ET】とします)

  2. 1991年CD選書でリリースされたNIAGARA SONG BOOK 2 [CSCL 1665]に収められていたペパーミント・ブルー(以降【選書NSB】とします)

  3. 1991年CD選書でリリースされたB-EACH TIME L-ONG [CSCL 1666]に収められていたペパーミント・ブルー(以降【選書BTL】とします)

こちらも3トラック、並べた音声波形を表示します。

上から【選書NSB】【選書BTL】【選書ET】

こちらはどれも赤い縦線が見えません。余裕を持ったレベルで記録されているようです。CD選書も1989年リマスターシリーズ同様
・【選書NSB】と【選書BTL】のストリングスパート
・【選書ET】と【選書BTL】の通常(歌入り)パート
それぞれタイミング調整で時間軸が一致し、音量調整で逆位相ミックス音が消失することを確認しました。

【選書ET】を基準とした【選書BTL】歌入りパートのレベル
-0.2[dB]
時間的な音量変化はありませんでした。

【選書NSB】を基準とした【選書BTL】ストリングスパートのレベル
0'00" :  0.0[dB]
0'07" : -0.2[dB]
0'43" : -0.4[dB]
0'51" : -0.6[dB]

【選書BTL】は開始時点で【選書NSB】と同じ音量ですが、0'51"にかけてゆるやかに音量を下げています。
1'51"過ぎ、さらにフェイドアウトをかけ、1'52"、ややカットイン気味に歌パートのドラムイントロが開始します。

まとめ

1989年リマスターシリーズとCD選書シリーズのペパーミント・ブルー、大きく異なるのは、B-EACH TIME L-ONGでの歌パートの開始ポイントですが、B-EACH TIME L-ONGストリングスパートの音量の時間的変化も、両シリーズで異なっていたことがわかりました。

〘2024.6.10 23:47 追記〙
【89NSB】【89ET】を0[dB]とした場合の【89BTL】のレベル、
【選書NSB】【選書ET】を0[dB]とした場合の【選書BTL】のレベル変化をグラフにしました。

このレベル調整を行うことで、NIAGARA SONG BOOK 2やEACH TIMEのトラックから、B-EACH TIME L-ONG のペパーミント・ブルーを再現できます。

【89NSB】【89ET】を0[dB]とした場合の【89BTL】のレベル
【選書NSB】【選書ET】を0[dB]とした場合の【選書BTL】レベル