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大滝詠一「ペパーミント・ブルー」マスターデータに関する幾つかの事柄(2)B-EACH TIME L-ONG '89リマスター盤とCD選書盤について

こんにちは。大滝詠一の、主にナイアガラ2期の楽曲のデジタルマスターの違いについて書いています。

今回も'89年のリマスターCDと'91年のCD選書シリーズに収められたペパーミント・ブルーについて。今回はB-EACH TIME L-ONG編です。

  1. 1989年リマスターシリーズのB-EACH TIME L-ONG [27DH 5305]に収められていたペパーミント・ブルー
    (以降【89BTL】と記述します)

  2. 1991年CD選書でリリースされたB-EACH TIME L-ONG [CSCL 1666]に収められていたペパーミント・ブルー
    (以降【選書BTL】と記述します)

B-EACH TIME L-ONGは、通常(歌入り)曲の前にNIAGARA SONG BOOKのストリングスパートがついている、という構成なのですが、【89BTL】においてはストリグスから通常トラックへの切り替わりのタイミング異なります。

  1. 【89BTL】ストリングスパートが終わると、いきなり「眠るような~」の歌部分から始まる。

  2. 【選書BTL】ストリングスパートが終わると、歌入りペパーミント・ブルー曲の先頭(イントロのドラム)から始まる。

B-EACH TIME L-ONGは今回の2枚の他、初回CDの[35DH 250]、またNIAGARA CD BOOK IIに収められたものがありますがどちらも上記(2)のイントロから始まるものでした。つまり【89BTL】だけが編集ポイントが大きく異なる、ということになります。

さて今回も【89BTL】【選書BTL】、及びその逆位相ミックスの波形を並べた画像を見てみましょう。まずは通常(歌入り)曲パートでタイミングを合わせた場合。

上から【89BTL】、【選書BTL】、逆相ミックス(歌あわせ)

【選書BTL】のほうが全体的に0.2[dB]、音量が大きかった為、【89BTL】に合わせて下げています。
ストリングス部分はタイミングが異なるため乱れて残っていますが、通常(歌入り)曲パートは綺麗に消えました。つまり【89BTL】【選書BTL】の通常(歌入り)曲部分は、元は同じデジタルマスターで、音量を調整したもの、と考えられます。

こちらも画像には見えませんが、前回の【89ET】【選書ET】の比較同様に最後のフェイドアウトのところで差分の音が聞こえます。やはり【選書BTL】のほうが若干早めにフェイドアウトされているようです。

次にストリングスパートでタイミングを合わせた場合です。

上から【89BTL】、【選書BTL】、逆相ミックス(ストリグスあわせ)

ストリングスパートの音量は【選書BTL】のほうが全体的に0.8[dB]大きかった為、【89BTL】に合わせて下げています。
こちらもおおむね綺麗に消えましたが、開始35[s]から50[s]付近、島のように波形が残っている部分があります。この部分を調べると【選書BTL】のほうがさらに0.2[dB]大きく、都合【89BTL】より1.0[dB]、【選書BTL】が大きくなっている部分です。

また、通常(歌入り)パートへの切り替わりポイントから遡ること4.3[s]ほど前から、ストリングスパートの逆位相ミックスで差異が生まれます。数百[ms]毎に0.2, 0.4, 0.6, 0.8, 1.0[dB] と差が大きくなっています。
恐らく【選書BTL】のストリングス終盤にフェイドアウトがかかっていると想像されますが、これはNIAGARA SONG BOOKとの比較の際に改めて検証してみます。