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竜とそばかすの姫

夢が詰まった美しい仮想空間と現実の田舎の青春世界。

侯孝賢がいつかのインタビューで言っていたが、幅広い中で作るよりも、制限があってその中で深く作っていった方が豊かなものが出来る。

ラブソングを作り続ける音楽家や、モネの睡蓮のように。細田監督にとってそれは、仮想空間と現実の世界なのだろう。

サマーウォーズ好きとしては、どうやったってあれを超えるなんて!と思っていたが、映画冒頭、音楽とともに仮想空間が出てきて気づくともう、ユートピアに歓喜するのみであった。

仮想世界の姿BELLEの動きが、現実世界の主人公すずの動きと(たぶん)違っており、BELLEのなんともいえないほんの少し人工性を感じる動きに心惹かれてしまった。

すずにとって理想に近い自由な姿でありながら、あくまでも仮の姿であることが、その動きから感じられた。

歌が今作では大きなモチーフになっていたが、(前情報なしだったため映画のエンドロールで知ったが、中村佳穂という人は本当に感情豊かで美しい声の表現者である。アテ書きとも思える内容が実はオーディションと知ってとても驚いた)これからも細田監督、スタジオ地図がどんな仮想空間と現実(イマの)世界を見せてくれるかを勝手ながら心待ちにしていたい。

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