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ベンジャミン・バトン 数奇な人生

老いて生まれ、若返りながら生きる運命を背負った男とその男が愛した女との数奇な一生を描く。

老人として生まれ、若くなっていくという素っ頓狂な設定が、何事もないかのように物語は軽やかに語られていく。

ただ、美しく儚い人の人生を丁寧に描いている映画である。

設定は奇抜かもしれないが、あくまでも普遍性、その美しさを描いてるに他ならない。

また、老いていて静の動きから始まる主人公が、徐々に若返りをしていって、物語の進捗と共にダイナミズム感じる動の世界に移行していくのは、心を踊らされてしまう。

車椅子生活の幼少期から、初めて電車に乗り、船に乗り、何かに頼って動いていた彼は、成長とともに自ら動き出していく。海へ飛び出し、一生の愛する人をデートに誘い、その人が事故に遭ったらパリまで駆けつけ、ヨットを動かし、バイクに乗りどこまでも行く。

この静〜動の流れがなによりも最後の死に向かうふたりの変わらぬ美しい終末を、より印象付けると共に、豊かな人生と豊かな映画への感謝をせずにはいられないのである。

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