【完全ネタバレ】「アベンジャーズ・エンドゲーム」(以下EG)レビュー・キャラクター別その1(一部追記あり)

本日2回目を見て参りました。1回目観て「インフィニティ・ウォー」(以下IW)復習してから、と言う用意周到ぶりでww

本作入れて22本全てを鑑賞し、特に「シビル・ウォー」(以下CW)以降は全て劇場でリアルタイムで鑑賞してきたMCU、総決算である本作はまさしく掉尾を飾るにふさわしい映画でした。これまではロード・オブ・ザ・リング三部作が映画鑑賞人生の中での最高傑作だったのですが、本作はそれに肩を並べる出来だと思います。
これだけの登場人物をある程度過不足なく魅せ切り、数々の伏線も丁寧に回収している(おそらくは当初想定していなかったものも含めて)制作陣のスキルと努力に脱帽です。

多分普通に書くと凡百のレビューとなってしまうので、登場キャラクター別に自分の思いを語りたいと思います。

1.ハルク(ブルース・バナー)

え?なんで最初がトニー・スタークじゃないのかって?
それはもちろん、なかったことにされているエドワード・ノートン主演の「インクレディブル・ハルク」に敬意を表してです。実際の公開も「アイアンマン1」と同じ2008年で、国によっては本作公開が先なのです。本件については、いずれMCU全作レビューを書こうと思っているのでその時にでも。
ハルクは、本作でやっとキャラクターとして確立・成熟した気がします。ブルース本人が「病気のような扱い」と長年悩み続けた対象であり、「アベンジャーズ」こそ大活躍だけどそれ以降はどちらかというとトラブルメーカーで(ついでに言うとEGの階段降りシーンでも思いっきりトラブル)、おまけに長らく宇宙にいて地球の状況にもとんと疎いとか、最初から最後まで可哀想なキャラクターでした。
ブルースとハルクの「悪魔合体」には正直笑いましたが、科学者としての仕事をやりきり、サノスとも互角に戦う。立派なキーマンでしたね。

2.アイアンマン(トニー・スターク)

トニーの死去、悲しいです。悲しいですが、やっぱりこれ以外の終わり方はなかったような気がします。サノスのアレ(byスコット・ラング)から5年経ち、娘が出来ているのはマジビックリ(しかも超絶可愛い)だったけど、思えばこの時点から死亡フラグ立ちまくりだったんだよなあ…最期にポッツが静かにトニーの装置を止めるシーン、普通に泣けました。
サノスのセリフ「I am inevitable」(俺のやることは避けられない)に対し、トニーは第1作の締め「I am Iron Man」で返す。まあ、これほど綺麗な伏線回収はないと思いますし、宇宙の半分を救ってサノスも倒した彼としては、本懐だったのではないでしょうか。
ところで、初回鑑賞時不思議だったこと。何でトニーの指パッチンで都合良くサノス軍だけ(武器や戦艦含めて)消えちゃうの?と思ったんですが、どうも実行者の意思でどうにでもなる設定みたいですねアレ。ハルクの指パッチン時にトニーは「消えた人を戻すだけだ。この5年間は変えるな」って言ってて、やっと解りましたが。そんな説明どっかにあったっけ?

3.キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)

MCU22作って、最終的な主人公はやっぱりスティーブだったんじゃないかなあ。そう思わせる本作でした。各主人公別で見ても、キャプテン・アメリカシリーズが群を抜いて出来がいいし(途中からルッソ兄弟専属になったのが非常に大きい)。
トニーも、この後述べるソーもほぼ戦いを投げている状況にあって、スティーブは自ら「善き人」であろうとすることをやめられない。ポリティカリーにコレクトというか、いかにもアメリカンヒーローなわけですよ彼は。EGでもほぼ全ての状況をコントロールしているのは彼でした。ムジョルニア使えるようになったのは流石に笑ったけど。
で、そんな彼が(観てる人は解るので事情は省略して)最後の最後で、自分の人生を歩むことに決める。ペギーとの人生を、もう一度。初回・2回目とも、ラストで号泣してしまいました。まさかここで「ファースト・アベンジャー」の伏線を回収するとは!
…ただ、一個だけ不満が。シャロン・カーターとはどうなっちゃったの?CWで凄いいい感じやったやん。実は制作側が「シャロン入れられなくてごめん」と謝ってたりします。まあ、登場人物多くなりすぎるのでカットされたのね。ペギーと最終添い遂げる方が観客満足度高いだろうし。
だけど、シャロン好きだったんですよ。と言うか演じているエミリー・ヴァンキャンプが。だから、全くなかったことになってるのは悲しいなあ。
(追記)ウィンター・ソルジャーとファルコンのスピンオフドラマ 『The Falcon and the Winter Soldier』にシャロン・カーターが出演するようです。そもそもEG前にスティーブとシャロンが同棲していたと言う設定も存在したそうな。みんな色々考えてるよね、そりゃ。

4.ソー

いやー、ソーは強烈でしたね。まさかヒキニートデブになってるとは。ソーは、主演3作を通じて最も多くの変遷を経たキャラクターだと思います。
MCU10年で、各キャラクターはそれなりに成長していますが、ソーは一番成長したというか、もっと端的に言うとクリス・ヘムズワースが役者として大きく成長したと思います。ロード・オブ・ザ・リング三部作で言うところのオーランド・ブルーム(レゴラス)ですね。ソーについては本作での活躍より、主演3部作の動きの方が面白かったので、いずれ別で書きます。
アスガルドのシーンでナタリー・ポートマンが一瞬でも出てきたのはよかった。後お母さん役のレネ・ルッソは相変わらず美しかった。「リーサル・ウェポン3」の頃から、この人のファンです私。

5.ブラック・ウィドウ(ナターシャ・ロマノフ)とホークアイ(クリント・バートン)

ナターシャの死は、何というか後からじわじわと効いてきます。ガモーラと同じ最期を辿ることは予想されたものの、最後の大決戦の時にいないナターシャ。それって端役扱いじゃん?
ナターシャはMCUの中で最も不憫だと思うんですよね。「アイアンマン2」が初出で、ソーやキャプテン・アメリカよりも早い登場。なのに単独主演作がない。アベンジャーズのみならずキャプテン・アメリカシリーズにもほぼ皆勤なのに、なんでこんなに扱いが軽いんでしょうね。前日譚でもいいので単独主演作を期待したいところです。
ナターシャは最初完全にイロモノでした。峰不二子みたいな扱い。セクシー女スパイって何そのベタな設定?…だったのが「ウィンター・ソルジャー」当たりから俄然存在感を増し、本作でも前半の物語を引っ張っているのはナターシャでした。スカーレット・ヨハンソンの演技もどんどん成熟していく感じ。有終の美、だったと言えるのでしょうか。

同様にやや中途半端だったホークアイ。彼も「アベンジャーズ」辺りまではただの怪しい弓矢使いでしたものねえ。いきなりロキに眩惑されてるし、何より、真田広之とのあのクソみたいなチャンバラシーンは、2度観ても全く許せなかった。
ただ、ジェレミー・レナーは達者な役者さんなので、家族を突然失った苦悩や暗殺者としての冷酷さなどを見事に演じていたと思います。

6.サノス

見事なヴィランぶりでした、サノス。やはり「最強の敵」というのはこのくらい強くないと面白くない。IW以前のMCU20作にはそれぞれ別々にヴィランがいたわけですから、彼ら全員を凌駕する強さの表現はなかなか大変だったと思いますが、ゾクゾクするほど強くて悪い奴でした。
サノスにはサノスの正義がある、と言われます。IWでガモーラを涙ながらに殺すシーンなど、悪役ではあるものの苦悩が見え隠れして凄い!と絶賛されていました(多分演じているジョシュ・ブローリンのうまさ故)が、私は正直ピンと来なかった。
彼の「世界の人口を半分にする」という大義が、どうにも説得力を欠いていた気がするのです。彼がその発想に至った経緯説明はほぼ省略されているし、指パッチンやり終えた後もなんか自分だけのうのうと農業に勤しんでいるし。やってることはテロリストそのもので、しかも自分は生き残ってるってどういうことやねん、と思ってしまいます。
なので、最初のタイムラインで死んだサノスより、2014年から舞い戻ってきたサノスの方が混じりけなしの悪で、面白かった。正義じゃないんだよねサノス。ネビュラを執拗に改造していたことなんかも含め、結局虐殺と支配を楽しんでいただけで、人口増抑制云々は口実に過ぎなかった。その方が逆にスッキリしませんか?

…さて。自分でも呆れるほど長くなりそうです。
フェイズ2、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー以降は稿を改めてとしましょう。

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