不合理な選択を行なうことの考察④ではどうするのか

年末に向けて仕事ラストスパートまっただ中です。なかなかこう、忙しいと思うようにテキストが書けません。
このテーマについては、本稿を一旦区切りとしたいと思います。

過去3投稿の要点は以下の通りです。
①人は確率という概念を理解出来ない(理解が困難)
②未来はそもそも予測出来ない
③人の認知バイアスが合理的判断を妨げる

こうやって過去の投稿を読み返してみると、要点はさらに次の二つに絞られるのではないかと思います。
「確率理解や未来予測が困難な中で意思決定をすることの、本質的限界」「意思決定の合理性を阻む『思い込み』」

…多分、全ての事実を踏まえた合理的な意思決定というのは、殆ど不可能なのでしょうね。上記以外にも、組織の意思決定においては「利害関係」「好悪感情」「過去の成功体験への埋没」と言った要素が複雑に絡み合ってきますし。げに人の世は住みにくい。

てなことを十分に考えた上で、それでもあくまで個人的に「出来るだけ合理的な意思決定」を行なう際の注意書きを記しておきたいと思います。

A.全ては「是々非々」

好きな人のことは肯定的に、嫌いな人のことは否定的に捉えてしまうのが人間というもの。池内センセの件でも痛感しました。是々非々という言葉はよく使われますし気軽な感じもありますが、これを貫徹するのは実に難しい。自らの認知的不協和と真正面から戦う必要がありますから。
個人的感覚で言うと、好きな人のやることに対して、肯定9:否定1というのが初期値です。これをせめて8:2くらいまで持っていけるようにします。具体的には、その人のやることで違和感を感じることを、無理に肯定しようとしない。続けると、そのうちスムーズに否定が出来るようになります。
これが嫌いな人相手になるとさらに難しい。基本的に肯定0:否定10からスタートするからです。私で言うと(まいどの政治家ネタで恐縮ですが)鳩山・菅元総理とか、或いはお隣のムン・ジェイン大統領とかがそうで、まさに「蛇蝎のごとく嫌い」。いいところを見つけろ?は?何言うとんねんコラ、という感じです。
そして、ハタと気づくのです。そうか、俺は安倍総理が何だかんだ好きだが、安倍総理を嫌いな人はまさに「蛇蝎のごとく」嫌いなんだな、と。
こういう気づきを積み重ねながら、嫌いな人についてもいいところを少しでも見つけていきます。
例えば鳩山氏は「底抜けにポジティブ」だと思います。あれだけ国民全員から嫌われているのに、自分の行動を一切変えない。肝の据わり方も凄いです。…え?何も考えてないだけ?それを言っちゃあ…

こうした行動を続けることで、人を見る時にある種の「余裕」を持つことが出来るようになります。結果、ものごと全般をある程度フラットに見ることが出来るようになる。これは訓練で達成出来る事項だと思います。

B.マクロとミクロ両方の情報を入手し、見比べる

人は何より自分の経験を重視する、と言うのは前の投稿で指摘しています。自分の経験に過度に依存することを防ぐためには、世の中全体の動きを知る必要がありますが、「世の中全体」というのが実は捉えどころのないものです。世の中というのはつまるところ、各個人の活動の集合体だからです。
そこで近似値的に使えるのがマクロ情報です。マクロ情報の大半は経済に関する指標ですが、世の中の動きは概ね経済指標に反映されますから、それでいいと思います。
そんな難しい統計情報見る時間はない?大丈夫です。入り口としてSNSを使えば宜しい。必要な情報がどこにあるか、尋ねれば良心的な誰かがすぐに正確な情報を提供してくれます(日本のネット環境は、大半がこういった良心的なユーザーに支えられています。素晴らしいことです)。細かい統計情報を読み込む時間があればそれに越したことはありませんが、なくても結論はどこかに書かれています。
こうして「大きい数字と身の回りの変化」を見比べることで、世の中の変化をある程度理解し、場合によっては起こることを予測出来るようになります。実際、私はコンサルタントとして講演やセミナーを行なうことが多いですが、そのためのネタは大体上記の方法で入手しています。

C.君子豹変すべし

実は21世紀前半の世界、これが一番大事なのではないかと思います。
不合理な選択の大半は、自分の考え・過去の経験・成功体験・しがらみ・プライドなどからもたらされます。早い話が「自分の拘りに対する認知的不協和解消」から起こります。
なので、ヤバいなと思ったらすぐ撤回する、これが一番重要だと思います。何度も引用している池内センセのこの件でも触れていますが、「謝ったら死ぬ病」は百害あって一利なしです。間違ったと思ったら1秒でも早く修正する(そして、頭を下げて済むものなら、サッサと下げて次に行く)。
私は来年50歳ですが、自分の周りのアラフィフ、特に男どもを観ているとつくづくこれが出来ていないことに気づきます。50年前後生きてる男は、大半がプライドの塊で、自らを否定する・撤回する・謝るくらいなら死んだ方がマシ。こう思ってる人がなんと多いことか。
ハッキリ言いましょう。そんなプライドなんて鼻クソ以下ですわ。そんなものとっとと便所に流して次に行った方が、人生50倍豊かになるはずです。状況変化に応じて、自分もどんどん変わっていったらいいのです。
これこそが、不確実な世の中を生き抜く大事な知恵。そう思っています。

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