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ラファエル前派と象徴主義の画家が一堂に会する絵画集、『物語の画家たち』刊行!!

◉ 物語を主題とした絵画集

物語をテーマとした画集『物語の画家たち』が完成しました!
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電子書籍の中身はラファエル前派象徴主義の画家、総勢29人を紹介した絵画集になります。

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Chapter1がラファエル前派、Chapter2が象徴主義、Chapter3がその他諸々。

この企画は、TAPIRUS社で刊行している美少女絵画シリーズの第11弾として『物語の少女たち』というタイトルで進めていたものです。
小説・伝説・おとぎ話などの絵画を集めていると、自国の小説や民話を作品の主題としていたラファエル前派や象徴主義の画家の比率が自然と多くなり、途中で企画を変更してしまいました。

いつもの美少女絵画シリーズですと、画家の時代や様式などは気にせず、シチュエーション別に紹介していたのですが、今回は19世紀後半から20世紀初頭に活躍したラファエル前派の画家17人と、象徴主義の画家12人を作家別に解説入りで紹介しています。

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シェイクスピアの戯曲『オセロー』の登場人物、オフィーリアの姿を描いた作品。

ラファエル前派の絵画の多くは、ジョン・エヴァレット・ミレーの描く『オフィーリア』を始め、美少女率はかなり高いので、物語の少女たちのタイトルでもさほど違和感はなかったかも知れませんが、今までのシリーズと切り分けることにしました。

◉ ラファエル前派とは?

ラファエル前派は、当時のアカデミーの古典偏重に反発したダンテ・ゲイブリエル・ロセッティジョン・エヴァレット・ミレーウィリアム・ホルマン・ハントの3人の学生が「ラファエロ・サンティ以前の絵画に戻ろうぜ」という主旨で結成されたグループです。
ところが、ミレーの描いた『オフィーリア』がアカデミーに絶賛され、彼がアカデミーの会員になってしまったことで、最初に立ち上げたラファエル前派はわずか5年で解散となりました。

解散後もロセッティらは、後輩の画家たちをメンバーに加えたりして第二期のラファエル前派として活動を続け、当時のヴィクトリア朝の画家たちにも影響を与えました。
ラファエル前派の後継といえる象徴主義はヨーロッパに広がり、ロシア(ロシア象徴主義)にまで飛び火する一大ムーブメントとなりました。

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共通するモチーフで描かれることが多い、ラファエロ前派の絵画。

今回の画集では、ラファエル前派を表明はしてないけど、親交があり明らかに画風の影響を受けている作家たち(アーサー・ヒューズやフレデリック・レイントンなど)も収録しています。

◉ ラファエル前派の作品

ラファエル前派は「ラファエロ・サンティ以前の中世や初期フランドル派の美術表現を規範とする」趣旨で始まった運動でした。
がしかし、教会や王侯貴族が支配していた頃の画風に戻れるはずもなく、実際に仕上がった作品は、後の象徴主義につながる新しい表現がすでに表れていたようです。

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ジョン・エヴァレット・ミレー作『両親の家のキリスト』
真ん中にいる少女のように可愛らしい子どもがキリストで、頬にキスをしているのが聖母マリア、赤い服の男が父親のヨセフでしょう。
右手の聖痕以外には、聖家族らに古い絵画のような神聖さはまったくなく、ごく普通の幸せそうな家族として描かれています。

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ウィリアム・ホルマン・ハント作『罪のない者の勝利』
幼児のキリストを連れてマリアとヨセフが、エジプトへの逃避をしている場面もドラマチックに描かれています。

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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ作『ピア・デ・トロメイ』
ダンテの神曲に出てくる登場人物の女性ですが、おとぎ話の挿絵のような美しさです。モデルとなったのは、ロセッティと不倫関係にあったジェーン・モリスです。

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ジョゼフ・ノエル・ペイトン作『オーベロンとティターニアの和解』
ご存じ、シェイクスピアの『夏の夜の夢』の一場面ですが、森の妖精たちの描き込みがすごいですね。(ペイトンはラファエロ前派への誘いを受けていましたが、入団はしていません)

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス作『ヒュラスとニュンペー』
2018年に撤去騒動があった作品でもあります。古典絵画と違いエロティックな表現と受け取られたのでしょうかねぇ。
ウォーターハウスは第三世代のラファエロ前派とも、象徴主義の画家とも言われています。

◉ 象徴主義の作品

象徴主義の画家たちの世代になると、もはや古典的な神話や物語を主題としながらも、人間の内面にある夢や神秘性を描くための材料にすぎなくなっているのがよく分かります。

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ギュスターヴ・モロー作『ユーピテルとセメレー』
古典絵画のギリシャ神話とはまったく違う世界観。解体され咀嚼され再構築された神話の場面は、モローの脳内を覗いているような感覚に襲われます。

ジョン・ダンカン作『聖ブリギッド』
アイルランドの守護聖人が天使たちに運ばれて昇天する場面が描かれていますが、まるで少女漫画のように美しい天使たちです。

ヤチェク・マルチェフスキ『トビアスと天使』
左からラファエル、ガブリエル、ミカエルたち三人の大天使が、盲目の少年トビアスの道案内をしている場面です。神の使いというより、田舎町の気さくなお姉さんたちというムードですね。

フランツ・フォン・シュトゥック作『アダムとエヴァ』と『サロメ』
聖書の登場人物のエヴァもサロメも、シュトゥックにかかれば魔性を帯びたエロティックな女として描かれています。

ジョン・シモンズ作『眠るティターニア』
こちらもシェイクスピアの『夏の夜の夢』の一場面。ペイトンとはまた趣きが異なり、柔らかい筆致で森の妖精たちが描かれています。

グスタフ・クリムト作『ダナエー』
古典絵画でもお馴染みのダナエーが金のシャワーを浴びるシーンですが、クリムトはシャワーを股間に直接注ぎ込む描写で、露骨な性描写に変換しています。

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紹介し始めると切りがありませんが、『物語の画家たち』には、このように幻想的で美しい絵画ばかりを収録しています。
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