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Amazonのペーパーバックを使うてみた②

ざっとKDPペーパーバックの説明書を読んでみて、気になったところをまとめてみました。

1、KDPペーパーバックの概要

●そもそもペーパーバックって何?
KDPのペーパーバックの場合は、カバー・帯・見返しがない簡易本のことを指します。早川書房のペーパーバックや、コンビニで販売しているカバーなしの漫画本と似たようなものです。

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●無料のKDP ISBNって何?

Amazonで無料配布してくれるISBNです。
自分で取得したISBNも選ぶことができますが、KDP ISBNを使用する場合はAmazonでしか販売不可のようです。

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●プリントオンデマンドって何?

受注生産のオンデマンド印刷・製本のことです。
お客さまが購入ボタンを押してから1冊づつ作るので、著者に本の制作代金がかからない仕組みです。
本の価格の60%から印刷費を引いた値段が自分の取り分になる。


●本の紙は選べるの?
本文の紙は、モノクロの場合は白かクリームの2択。カラーの場合はプレミアムカラー白の1択です。(標準カラーのボタンもありますが、日本では不可)
表紙の紙は選べませんが、表面の加工を光沢ありと光沢なしから選べます。

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最低限のページ数は24ページです。(背に文字を入れたい場合は79ページ以上が必要)
最大のページ数は828ページですが、紙や判型で多少異なります。700ページくらいまではどの紙や判型でも作れるので、まず充分でしょう。
アナログ本の場合、紙の裏表があるので必ず偶数ページで終わります。


●本の大きさはどのくらい選べるの?
よく使われる標準的な判型と、標準的な判型から選ぶことができますが、ミリ数だけ書かれてもちょっとピンと来ないですよねー。
日本でおなじみの判型を書いておきますので、照らし合わせてみてください。
 ・127×188=四六判
 ・148×210=A5判
 ・182×257=B5判
 ・105×173=新書サイズ
 ・210×297=A4判
 ・112×174=小B6判
 ・128×182=B6判
 ・210×257=AB判

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ただし、独自の判型という項目もあります。
幅101.6~215.9ミリ、高さ152.4~296.9ミリの間で自由に決められるようなので、最小で101.6×152.4ミリ、最大で215.9×296.9ミリの本が作れるようです。
縦のサイズの最小の152.4ミリ以上で真四角の本も作れたりします。


●文字(フォント)の大きさに規定はあるの?文字は、テキストがはっきり読めるように7ポイント以上とあります。
級数にするとおおよそ10Qになるので、雑誌などのキャプションよりやや大きめか同程度です。


●その他に何か規定はあるの?
罫線は0.3ミリ以上とあるので、ちょっと太いです。
10Q程度の文字がOKであればもう少し細くても(0.2ミリとか)大丈夫そうな気もしますけどねー。(眉唾)
グレースケールの濃度は10% 以上とあります。
写真やイラストなどの画像の解像度は300dpi 以上とあります。


2、KDPペーパーバックの注意点

●「裁ち落としあり」と「裁ち落としなし」
紙面いっぱいに写真やイラストなどの図版を配置する場合、ノド以外の三方を3ミリ(KDPペーパーバックでは3.2ミリ)はみ出させる必要があります。
これは製本時に多少裁断がズレる場合があり、塗り足しがないと画像の端に白い線が見えて不恰好になるのを防止するためです。

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KDPペーパーバックでは、この裁断される塗り足し部分のありなしを「裁ち落としあり」と「裁ち落としなし」で変更する仕様になっています。なので、裁ち落としのありなしでデータの入稿サイズが、横3.2ミリ、縦6.4ミリ増えるわけです。
入稿データのサイズは違うけど、出来上がる本の大きさは同じなので注意が必要です。

あと少し不安なのが、裁ち落としなしのつもりで途中まで作っていて、最後になってから裁ち落としありのページを作りたくなった場合です。
作成しているアプリによっては、後からのサイズ変更は何かしらのトラブルが起きると思うので、個人的には裁ち落としありを基準にしてサイズ変更が起こる可能性を潰しておいた方が安全ではないかと思っています。


●マージンの設定が狭すぎる
マージンに関しては、上下(天地)3.2ミリ、外側(小口)6.4ミリ、内側(ノド)は150ページまでの本だと9.6ミリ取るように書かれています。

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が、これは最低限このくらいの空きは必要という意味なので、読みやすい本の版面はもっと広めに取ったほうが良いでしょう。自分の作りたいサイズの市販本を見て、どの程度空きを取っているか参考にする方が安心です。


米amazon用の説明が混じってる
本家「amazon.com」の説明書の翻訳だからか、日本版には必要なさそうな説明書きがちょいちょい混じっています。

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ペーパーバックの書式設定のうち、表紙作成ツールでデザイン、ハードカバー関係は日本のamazonでは不可なので読まないでOK。

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米amazonと日amazonの仕様表が並んで出て来るけど、米は読まないでOK。


前付、本文、後付の書式設定は混乱の元

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前付、本文、後付の書式設定という、書籍の構成要素の説明がありますが、読むとかえってややこしくなるので、自分の作りたい本に近い市販の本を参考にした方が良いでしょう。
軽い読み物なら、大扉・目次・本文・あとがき・著者略歴奥付ぐらいの構成要素で充分ではないかと思いました。

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ところどころ「常に見開きの右側ページに来ます」などと書かれてあり、縦横どちらも存在する日本の書籍ではありえない説明ですね。
とくに奇妙に感じたのは「著作権ページ」が前にあり、後付に「奥付」がないことでした。
洋書を買うと、コピーライトは目次の前にあることが多いので、これもアメリカの説明書をそのまま翻訳したためではないかと思います。(まさか、米に合わせてコピーライトの位置は本文の前でないとNGなんてことも?)

●便利な計算ツールの在処が分かりにくい
いろいろ便利なツールがあるけど、何となくどこに行ったか分からなくなるのでリンク貼っときます〜。

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印刷用の表紙計算ツールとテンプレート
ページ数が決まったところでこのツールに紙やページ数を入れると、自動的に表紙の大きさを計算してくれます。
テンプレートでPDFや画像を落とせるので、それをなぞって作成すると間違いがなさそうです。

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印刷コストおよびロイヤリティ計算ツール
本の値段の計算ツールです。
注意書きで推定金額とあるので、ここに打ち込んだ条件よりズレることがあるのですかね〜。これはまだ発売経験がないので何とも言えません。

まだまだ気になるところが出て来そうですが、とりあえず何かしらアナログ本の原稿を準備しようと思います。
その3に続く

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