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#読書の言語化 「イーロンマスク(下)」

・読んだ本
イーロンマスク(下)

Twitter社のリストラ

イーロンは1000人のチームよりも少数精鋭で10人がハードワークした方が総合的な効率が良いと思っている。
この数値は極端ではなく実際の比率感で、大量のレイオフを行っても
ただしそこにはLWBを考慮した人など存在せず、
ワーカホリックの人が集まることでしか実現ができない世界である。
実際に75%の人員削減を行なってもシステムは通常通り稼働し、むしろ機能は増えてきている。見えていない部分で機能の減少はあっただろうが、利用者から見るとあまり影響はないように見える。
これは既存のエンジニアがどうこうではなく、組織に蔓延する空気や方針の問題であり、何が正解とは言えないが、資本主義の社会で株式を公開している以上、ある程度の合理性はあると言える。

オプティマス

イーロンが作るAIロボットは限りなく人間の形に近い
それは物理的に人間のサポートをするからには人間が働いている環境に最適化する必要があり、馴染みやすさという観点も大切になってくるからだ。
そもそも、AIに関しては独立して思考をさせるのではなく、あくまで人間の拡張機能に止めるという考えを徹底して持っている。
かつ、テスラのオートパイロットを始めとした膨大な集積データの元で、
AIに関する技術は物理的なもので飛び抜けていると主張している。

自動化への考え

テスラの工場での過剰な自動化を失敗談として考えているイーロンは
自動化に関しては順序が必要だと説く。
まず、徹底的に個別の設備の必要性を考える、そのために導入を決定した人間(部署ではダメ)の名前をラベリングして、その有用性を説得ができるまで考え抜く。
その後、全体最適の考えからそもそも必要なのか?を考え、それでも必要であれば人間がやるか、機会がやるかの判断を行う。
センサーや判断の観点から人間がやったほうが早い場合も多く、
その部分の最適化は常にバランスをとりながらやるべきだとする。

情報だけを求め、判断は自分で行う

イーロンは判断に対するレコメンドを求めない。
あくまで一次情報を収集し、全体方針に関しては自身の知見・直感から行う。これは非常に難しいことだと思い、一次情報を徹底的に洗い出して全てを理解することが必要になるため、大変負荷のかかる行為である。
またロケットの打ち上げ可否に際するような最終的な責任に関しても、迅速に技術者から自分の肩に移してくれるため、その点のリスペクトは高い。

(上)(下)の両巻を読んで

イーロンという人間が、どのようなグランドデザインを持って物事を判断しているかが非常に理解できた。
それと同時に、なるべくして世界一の実業家になったのだと感じたし、
本当に狂っている存在なのだと思った。
常に自分をリスクに満ちた状態に置き、それを楽しみ、
圧倒的な成果で他人を巻き込んでいく。
全ての解像度を上げれば成し遂げられないものはないという思想で、
自動車やロケットの開発、AIの生成までをスクラッチで実施。
何より全ての既存の手段を疑い、減価率が良かったり性能が良い素材を採用、スケジュールも「シュラバ」を設定し、人間ができる限界までポテンシャルを跳ね上げることができる。

生まれつきの性質もあるだろうが、色々なことをあえて気にせずに目的に対して一直線になることは大切だと感じた。
人に嫌われたらどうしよう、業界の長者を怒らせたらどうしよう、この人の人生を狂わせたらどうしよう、今までブランドを大切にしてきた人等の思いはどうしよう。これらの考えはイーロンの頭に一ミリも存在せず、テックドリブンで合理的な判断を遮るものは徹底的に排除していく。

とにかくトレードオフで周囲と自分に犠牲をもたらすが、圧倒的な知識量に裏付けされた決断は最終的にあっていることが多く (正解にするという表現が正しいかもしれない)、魅力的な人間に映るのも不思議ではない。

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