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サイコロサイコ第五の出目をプレイしたあらすじと言うか感想基レビュー

第五の出目、災子(シャクナゲ)

いつもの如くネタバレ満載なので要注意で。今回も始まりは他の出目と同じく主人公の自己紹介から。今までの出目だと大体この後いつもの二人が出てくるが、今回は校舎に入る前に主人公が脇にある花壇をちらっと覗く所から始まる。いつもなんとなくしている癖らしい、だがそれにしては誰かが居ないか探している様子。花壇には綺麗なピンク色の花が咲き乱れている、主人公曰く「あいつ」がいつも管理しているおかげらしい。毎日毎日花の世話なんて自分じゃとてもできないなとか考えながら歩いていると花壇の隅っこにしゃがんでいる人物を発見、どうやら探していたお目当ての人物の様子。その少女の名は災子、主人公の存在に気が付くと「おはよ、めたろーくん」と挨拶をしてくれる。そこで何をしてたのか主人公が聞くと、「水やりはもう終わったの!アリさんがね、ご飯運んでるの見てたよ」とちょっと天然っぽい返事が来る。表情もにへっと口元を緩ませており主人公曰くバカっぽい間抜け面らしい。こうでなければ普通に可愛いのになあとか考えちゃう主人公。更に話を続ける災子、「シャクナゲの花って花弁が5枚あって、綺麗なピンク色なの、かわいいよね。花言葉は...なんだっけなぁ、めたろーくん知ってる?私忘れちゃったぁ」とおっとりした発言。主人公的にはまたわけのわからない電波な事を言ってんなって感じで頭を軽くぽかり。「あいたぁ、めたろーくん、なにするの~?ひどいよぉ」としょげる災子。なんかほっこりする一場面。
今回の出目5のヒロインである災子、漢字を見て分かる通り"災い"に"子"と書く。災いなんて名前に入れるとは不吉な、名付けた親の顔が見てみたいと最初に出会った頃は主人公もそう思ったらしい。私もそう思う。名は体を表すなんて言葉があるが、今回のヒロインはまさにそんな子である。主人公が災子との出会いは新学期、いつもより早く学校についた日の事だった。校門のすぐ近くの花壇で水やりをしている彼女を見ていたら突然「あの、お花...好きなんですか?」と声をかけられたのが切欠である。その時の災子はたった一人きりでジョウロを持ち楽しそうな表情を浮かべながら水やりをしていた、まだ植えたばかりなのだろうか花壇に花は咲いていない。主人公は最初はあんまり関わるつもりなど無かったが、それ以来災子とは単なる友達のみたいな感じの付き合いで毎朝花の水やりを手伝っているのだ。主人公がどうして係でもないのに花壇の手入れをしているのか?と尋ねるとボランティアの様なものだと言っていた。折角大きな花壇があるのに花がひとつも咲いてなくてかわいそうだったから、と。この気持ちは分かる、折角広い庭とか花壇とかあったら色んな植物植えて綺麗にしたいものだよね。お花を植えるもよし、ハーブ類を育てるもよし、野菜を育てるもよし。
そして災子自らが先生にお願いして花壇の世話をさせてもらっているらしい。ドジな彼女なりに誰かの役に立ちたいのだろうか?災子の考えいることが良く分からずにいる主人公、だからそれを知りたくてなんとなく毎朝様子を見に来ているとのこと。こんなほっこりするラブコメ臭漂う雰囲気だけど、でもこれ普通の恋愛ゲームじゃなくて"サイコロサイコ"なんだよなあ。この事は最後までゆめゆめ忘れることなかれ。
朝っぱらからいちゃこらしてる主人公と災子だが、ぼんやりしている災子を主人公がからかうといういつもの風景らしい。更に彼女の間抜けっぷりに同級生からもよくからかわれているらしい。そうこうしているとチャイムが鳴りもうすぐホームルームが始まる、二人は急いで玄関に入り靴を履き替えようとすると主人公の後ろでバサバサと紙の落ちる音が聞こえた。振り向くと災子の足元に大量の手紙が落ちていた。プレイしていた時は「おっラブレターか?まあそんな事はないだろうから悪口でも書かれた紙かな?」と思ったが、その内容は不幸の手紙だった。昔流行った遊びの一種と言うか悪戯の様な物である。「これと同じ内容の手紙を一週間以内に10人に出さないとあなたは不幸になります」と紙には書いてあった、典型的な不幸の手紙のパターン。ガラケー時代とか学生時代とかはチェーンメールとか流行ったなあと懐かしくなる。この類のは昔からあるし時代の流れと共に電子化していったりと今後都市伝説化していったりするのだろうか。
話が逸れたが、不幸の手紙に怯える災子に主人公がそんなの真に受けるなよくある悪戯の類だよと言って彼女を安心させる。安心したのか冷静になった災子がそれよりも早く教室に行かなきゃと間抜けキャラにしてはまともな事を言う。そうして二人で急いで教室へ向かっている途中、主人公の後ろでドテーンと大きな音が廊下に響いた。振り向くと案の定災子が何もない所で派手にコケていた。起き上がるのが辛そうな災子に手を貸してやり、膝を見てみるとかすり傷とは言えないレベルの怪我をしていた。そんな状況でも弱弱しいが笑顔を浮かべて「ほんと、わたしってツイてないよね」と言う災子。主人公はこんな状況でも笑っていられる災子の鈍感さには尊敬すら覚えてしまう、自分だったらこの大怪我具合だと泣いてるかもしれないレベルだってのに。主人公を心配させて迷惑をかけてしまった事を謝り、肩をガックリと落として落ち込む災子。主人公はそんな彼女の頭を思いきりくしゃくしゃと撫でてやる。折角作った頭のお団子が崩れちゃうよと騒ぐ災子にお構いなしに主人公は頭を撫で続けた。その内くすぐったいよ~と嬉しそうに口元を緩ませる災子、どうやら満更でもなさそうな様子。災子が元気になった所で主人公は彼女の腕を掴み体を支えて保健室へ向かおうとする。普通に考えて放っておけるわけないだろ、だなんてカッコいい主人公らしい事を考えるなんて出目5のめたろーは真人間だなぁと思ってしまう。しかもこの時の災子は頬を赤くして「ありがとう、いつもたすけてくれて」なんて言っちゃうとかこれでお互い特に彼氏彼女の関係ではないって言い張るのかよ。まあ男女の友情ってのもあるし、友達以上恋人未満的な関係ってのが適切だろうか。それとも実はお互い内心では惹かれあってるけど一歩踏み出せないとかあったりして。女性が頭を触らせるのを許容するって結構心を許してる相手だろうし。
そんな災子だがただの間抜けでドジな少女ではなく、根っからの不幸体質なのである。何をするにもツイてない、頻繁に怪我をしたり不幸な事が起こったりする。しかもそれは彼女自身だけでなく周囲の人間を巻き込むこともあるらしい。そんなオカルトあり得ないと思っていた主人公だが、災子との関りが長くなればなるほどに彼女の事が心配になっていき、多くの災いから彼女を守ってあげたいと願うようになった。そんな気持ちで主人公は災子を見守っている。周囲の人間も不幸にしてしまうのにも関わらず守ってあげたいとか聖人かよ。こう書いてるとなんか災子が普通に可愛いヒロインに見えてきてしまう、でもとんでも内心とんでもない事考えてるんですよねー。

その日の放課後ついにここで登場いつもの二人組、七七と雪丸である。主人公と幼馴染なのも相変わらず、そしてこの世界でも二人はカップルらしい。二人が主人公を呼びにやって来たのには訳がある、放課後は三人でカラオケに行く約束をしていた様だ。しまった!と顔をする主人公、と言うのも朝災子を保健室に連れて行ったときに放課後一緒に帰ると約束をしてしまったからだ、うっかりとは言えダブルブッキングはまずい。顔に出ていたのでドタキャンされた事に怒り主人公を文句を言いながら教室を出ていく七七、まあこれは怒るのも無理ないよね。そこで主人公に俺がフォローしとくから安心しろよ、困ったときはお互い様だろと雪丸がイケメンムーブをかます。この世界の雪丸は久しぶりに珍しく真人間でいい奴か!?そう思わせておいてやっぱり女の子大好きないつもの雪丸君でした。どうやら主人公が災子と付き合ってると思い込んでおり、せいぜいうまくやれよなとか言って楽しそうに去って行く。主人公にその気が無くとも周りから見たらそういう関係に見えてしまうものである。まあ高校生ともなれば青春真っ盛りだし、恋愛方向へ話を持っていきたがるのも納得。
災子との帰り道、公園に来た二人は並んでブランコを漕いでいる。公園内で鬼ごっこをして遊ぶ子供たちを見て災子がふと「呪いごっこだね」と呟く。災子曰く、タッチしたら呪いが伝染る遊びの様で小学校のとき流行っていたとか。当時の災子はそんな事くだらないと思っており、タッチされても無反応で呪いなんて存在しないと思ってされるがままだった。それ故に自分は最後まで呪いを持ったままなんじゃないかと、あの時だれかに呪いを伝染していたら今の自分はこんなに不幸になっていなかったのではないかと少し後悔している様だ。そんな辛気臭い災子の姿を見てこういう時は気分を変えてファミレスで甘いデザートでも食べようと提案する主人公、それを聞いて目を輝かせてバナナクレープが食べたいと言う災子。どうやら上手く流れを変えられた様だ、いつまでも後ろ向きでいるから不幸や不運は寄ってくるに違いないと思い、公園近くの「ウサトリア」と言うファミレスへ向かう二人。名前と言い全てのメニューがリーズナブルな価格でお金のない学生御用達、デザート一品頼んでドリンクバーを楽しむ。これって私も学生時代よく行った事ありますけどサイゼリアですね。大人になっても友達と稀に行くことはありますけど、因みに安い居酒屋として利用する事も出来なくもないと言う。
そうして公園を出た次の瞬間!突然けたたましく車のクラクションが響く、そこで主人公が取った行動は!

BAD END1
災子を庇った場合。災子を救わなくちゃ!その一心で咄嗟に彼女を突き飛ばした主人公、その直後主人公の身体は宙を舞い地面に叩きつけられる。自分の首や手が変な方向に曲がっているのが分かる、人間って案外脆いんだなぁと思っていると災子が駆け寄って名前を呼ぶ。彼女の反応からして自分は助からなさそうだなと悟る主人公。頭からもドクドクと血が流れている。「なんで助けたの!?めたろー君じゃなくて私が死んじゃえばよかったのに」と涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら言う災子に返事をしようにも空気が抜けていくだけで声が出ない。呼吸器までいってしまった様だ、最後に気の利いた一言すら言わせてもらえずに主人公の人生は幕を閉じる。願わくば最後に彼女のそんな顔は見たくなかったなと思いながら。
まさに突然の死!出目5は突然死が多いのですが、この場合だと誰かを庇って車に轢かれて死ぬと言うちょっとカッコいい死に様だった、まだ良い方。まあこれも災子の周囲の人間に不幸を招く体質故の事だろうけども。

災子を庇わなかった場合。隣にいたはずの災子が一瞬にして消えたのだ。そして主人公から少し離れたところに倒れている災子を発見する、さっきの車に撥ねられたのだ。頭から血を流して地面にうつ伏せになっている災子、主人公は慌てて彼女の元へ駆け寄り体を抱き起す。弱弱しく微笑み、なんとか大丈夫と答える災子、しかし意識はあるようだが自力で立ち上がることが出来ない。骨が折れているのかも知れないと思い直ぐに救急車を呼ぼうとする主人公を慌てて止めようとする災子、病院の世話になったらまたお父さんに怒られると妙な事を言い出す。そんな事気にしている場合かと必死に主人公を止めようとする災子に構わず救急車を呼ぼうとする主人公。5分も経たないうちに救急車が到着し災子は病院へと運ばれていった。これで良かったんだと安心する主人公であったが...。車に轢かれてやばい状態なのに親を恐れて病院へ行きたがらない辺り、やはり今回のヒロインも何かしら闇があるのが段々と明らかになってきましたね。
場面変わって夜遅く皆が寝静まる住宅街。家の自室でボロボロの布団に包まれて眠る災子、しかし居間お皿の割れるような音がして目が覚める。両親はいつも帰りが遅い、父は残業で23時を過ぎるし、母は夜の仕事をしている。聞こえてくるのは夫婦喧嘩の声、何事かと思い少しだけ襖を開けて覗き込む。どうやら貯金も無い苦しい状態で父親がリストラされてしまった様だ、母親にもっと稼げと言う父親に対して早く再就職しろと言い返す母親。子供としてはあまり聞きたくない会話、災子は襖を閉じて布団に潜り込んだ。
この場面は恐らく災子が事故に車に轢かれる前、少し昔の話なのであろう。治療費の話題が出ていないし、ここでの災子の姿は特に怪我をした後も見受けられない。現時点で分かることは災子の家は貧しく両親が共働きでもやっとどころかあんまり上手くいっていない様子。これも彼女の不幸体質によるものなのか、ヒロインの荒んだ家庭環境と言う闇がまた明るみになってきましたね。この手のヒロイン大抵家庭環境悲惨と言うお約束みたいな所ありますからね。

翌日の朝、主人公はすこし憂鬱な足取りで学校へ向かう。そりゃまあ目の前であんな事があった翌日だし無理もない。いつもの時間にいつもの場所へ向かう、流石に今日は姿が見えない、当然と言えば当然か。そんな主人公の脳裏に昨日の災子がやたらと救急車を呼ばせなかった事を思い出す。あれは一体なんだったのか?あんな大怪我したら病院で治療するのが普通だろう、考えても答えは出ないし仕方が無いので災子の代わりに水やりをする事にした主人公。一人で水やりをする、水を撒くと小さな虹が出来たが今日はそれを一緒に喜ぶ人は居ない。災子がいないだけでこんなにも寂しい気持ちになるなんて...と思いふと校門に目をやると片足にギプスを着け松葉杖をついてゆっくりやってくる災子の姿があった。当然慌てて駆け寄る主人公、もう大丈夫なのかと聞くと「すっかり元気だよ」と答える彼女。そうして彼女の荷物を受け取り校舎の扉を開けてやった。会話をしていると「なんとか学校に来るのは許してもらえた」とか「まだ重いものとかは持っちゃダメ」とか本当に大丈夫なのかと思えるような内容が出てくる。しかし昨日の事などなるで気にしていないかのように振舞う災子、一体どんな精神力しているんだと心の中で突っ込む主人公。それにしてもお父さんに怒られると怯えていたが結局のところどうだったのか?普通娘が大怪我したのに治療費で騒ぎ立てる親ってどうなんだ、金よりも子供の命の方が大事なのが当たり前じゃないのか?と思う主人公だったが、なんだか触れてはいけない話題のような気がして聞く事が出来なかった。まあ他人の家庭自体あんまり詮索するのも良くないでしょうし、お金の事だと尚更触れられたくないだろし突っ込んじゃいけない話題でしょうね。私も友人と飲む時もあんまり収入の話とかについてはお互い自分から切り出さない限り話しませんし。

時刻はお昼、生徒たちが思い思いの場所でお弁当を広げている。そんな平和な風景の一部に不穏な空気が。体育館裏でスマホを弄って誰かを待つ七七、そこへ駆け寄ってくる災子の姿。二人は待ち合わせをしていた様だが一緒にお弁当、と言った穏やかな感じではなさそうである。遅れてきた災子へ文句を言いながら単刀直入に要件だけ伝えようとする七七。「もうめたろーに近づかないで」と言い放った。一瞬驚く災子、更に続ける七七「本当はこんな事言いたくないけど、このままじゃめたろーまで不幸になっちゃう。この意味わかるでしょ?」要は災子の周囲の人まで不幸にしてしまう噂、これのせいで大事な幼馴染の主人公まで不幸になって最悪死んじゃったりしたら嫌なのだと。災子自身も主人公が苦しむ姿は見たくない、そうしてこれからは絶対に主人公に近づかないと七七と約束する。良かれと思って悪役になってでも主人公を守ろうとする七七、しかし主人公はこんなやりとりが裏であったことなど露知らず...
放課後、夕焼けがオレンジに輝く時刻。主人公は災子を探し回っていた。朝会ってから姿を見ていない、別に約束しているとかではないがただでさえ普段からどんくさいんだから、こんな時位は手伝えることは手伝ってやらないと思いあちこち探し回って漸く発見する。災子の元へ歩み寄ろうとしたが、主人公の姿を見るなり泣き出しそうな悲しい顔をする災子。今度は一体どんな不幸があったというのだろうか?そんな彼女を見て主人公は

BAD END2
災子に同情しなかった場合。主人公は少々思い直した方がいいのかもしれないと考え出す。自分は言うほど出来た人間じゃあない、親に扶養してもらって面倒見てもらっている子供にすぎない。誰かを救うには早すぎるんだと、もっと大人になった時に誰かを守れるようになったらその時に守れば良いと。そう考える主人公の前で急に悲鳴を上げる災子、なんと校舎の屋上から鉄骨が降ってきて主人公は下敷きになってしまったのだ。突然の死再び。実際にプレイしてた時あまりにもあっけなさ過ぎて少し笑っちゃいました、しかも落ちてきたのが鉄骨ってのが個人的にちょっとアレなので。イナイレの鉄骨落としをね、思い出しちゃうんですよ。しかし七七が予想した通り災子に関わり過ぎてしまったのかついに主人公は死んじゃいましたね、多分あの会話があった事を知っていても主人公なら構わず災子と今まで通り付き合ってると思いますけどね。

災子に同情した場合。慰めようと彼女の頭に手を伸ばす、が突然災子に突き飛ばされる主人公。すぐ隣でガチャンと何かが割れる音がした。いきなり突き飛ばすなんて何するんだよと思いながら目を開けると災子と目が合う。主人公の上に重なるようにして倒れこんできた様だ、重たい...だがこんな至近距離で見つめ合うのはこれが初めてかもしれないとかいつもボンヤリしているのにこういう時に限って何も言わないんだなとか思っている主人公だが、音がした方に目をやると驚愕した。そこにはバラバラに割れた植木鉢の残骸が散らばっていたのだ。まさかこんな物が落ちてきたのか、もし頭に当たっていたらどうなっていたんだよと。そんな事を思っていると災子が今にも泣ぎだしそうな声を絞り出しながら言う「もうだめなんだよ」と。主人公がその震える背中をぽんぽんと優しく叩いて話を聞く。「どんなに頑張ってもどうしようもない、自分は呪われているのだから」と、恐らく彼女は自分と出会う前からずっと努力をしてきたのだろう、自分の人生についてずっと苦しんでいたのだと考える主人公。そこで唐突に災子から切り出される言葉「めたろーくん、もう私に近づかないでほしいの。そうしないと今度はめたろーくんが死んじゃうかもしれない」と、その言葉が主人公の胸を締め付けガラス片の様に心にグサグサと突き刺さっていく。そい言い放って災子は主人公の前から走り去っていった。ただ彼女を救いたい、それすらもこの世界は許してくれないのだろうか、自分なんかが彼女を救ってあげるだなんて思い上がりだとでも言うのか?そんなはずはない、やってみなければ分からない、悩んでいる時間なんてない、だから主人公は明日も災子に声をかけようと思った。
めたろーが最高に主人公してるし真っ向から災子に向き合って助けようとしているとか、これもう覚悟決めてるヒーローだろ。きっと最後は愛が勝つ、そんな物語と錯覚させるような展開。だが油断してはいけない、これは"サイコロサイコ"なのだから。

場面変わって災子のお宅の朝から始まる。おはようと母親に挨拶するが、挨拶は無視されて父親のリストラについて聞かされる。「昨日怒ってたね、自分はどうしたらいいのかな?」母親に尋ねるが「アンタにできることなんかひとつもない」とバッサリ切り捨てられてしまう。今後の生活の事を考えて頭を抱える母親に「自分が学校辞めたらお金かからないよね?」と提案する災子、しかし母親はそれを了承しなかった。自分の家の子供が学校を辞めたとなると世間から白い目で見られるから学校には行けと。ここでの会話は災子を車から庇わなかった時の後に出てくる会話の翌日の時系列なのだろうか?父親のリストラを聞かされていたり、昨晩夫婦喧嘩をしている点からの推測である。そしてお金が無いが世間体を気にして子供を無理にでも学校に通わせる親のエゴイズム、娘とまともに会話すらする気の無い親。こんな教育や家庭環境でも健気に育つとは、親を反面教師にでもしたのかそれともそう見えるだけなのか。真実はいずれ分かる、いずれな。
それから家庭はどんどん狂っていった。そりゃ父親がリストラされて収入が無くなってしまったら、元から大変だった家計は更に苦しくなるのだから。父親は再就職をしようとせず人生を諦めたかのようにパチンコで散財する日々、そして母親まで妙なオカルトにすがりだしてしまった。本人曰くお金が溜まるだとか幸せになれるらしい高そうな壺や奇妙な像を家に持ち帰ってくる、恐らくとんでもなく高いと言うよりぼったくられているのだろう。しかし災子にはおかしくなっていく家庭を止めることはできなかった。暫くするとヤクザの様な人が頻繁に家に押し掛ける様になった。家の扉を乱暴に叩いて怒鳴り声を浴びせてくる。父親はパチンコ、母親は妙な施設、家には災子一人だけ。怯える災子は押入れの中に逃げ込んで息を忍ばせて嵐が去るのを待つだけであった。学校ではこんな事があるなんて全く分からない程明るく振舞う災子だがよくこんな家庭に耐えたものだと凄いと思う。両親がギャンブル狂いと詐欺紛いのオカルトに嵌ってしまったと言うことは借金してまで散財しているのだろうと容易に想像がつく。だが普通の所では審査が通らないレベルにまでなって闇金にまで手を出してしまった可能性も考えられる。金は心を豊かにする、だが人並みの生活が出来て時々ちょっとの贅沢をしたり貯金に余裕のある生活が送れている人は一体どれ程だろうか。生まれた環境で将来が決まってしまうパターンと言うのも少なくは無い、でも子供時代を辛く過ごしても腐らず努力して大人になってから巻き返す事も人間可能ですが。
その夜彼らの住む町では小規模な火災が起こっていた。燃えていたのは災子の住むアパート。しかも火元は災子の部屋であった。その夜と書いてあるので恐らく時系列としては主人公にもう自分と会うなと伝えた日で、今までのは回想と言うか災子の闇の一部をまた明かしていった部分であろう。しかし「お父さん、お母さん、私を置いていかないで」と言っている辺り幸か不幸か災子だけ生き残っており両親は火事の家の中なのであろう。この火事はきっと事故では無く両親が心中しようとして起こしたものなのだろうか?それとも、まさか災子が起こした物なのだろうか?ただ一つ分かるのは災子が悲劇のヒロインであるという事だけ。

場面変わって主人公が朝学校へ向かうシーン。早々に家を出て今日も災子に声をかけてやって綺麗にセットしたであろう頭をくしゃくしゃにしてやるからな!とかなり意気込んでいる様子。だがしかし、気合十分で飛び出して学校に着いたものの花壇に災子は見当たらなかった。トボトボと教室へ向かい授業を受ける主人公、授業中に嫌な予感が頭を過ってしまう。もしかして自分は避けられているのではないか?と、もしそうだとしたらわりとショックを受ける主人公。でももしかしたらただ学校を休んでいるだけかもしれない、そうであってほしいという願望。最初は災子のなんてどうでも良かったはずなのに今では彼女の事が気になって仕方がない。顔が可愛いから?助けて見返りを求めているから?自分を神様扱いしてくれるから?それとも、可哀そうなあいつを助ける自分に酔っているだけなのか?等と色々と考えてしまう。
そうしてやっと昼休みになった。災子がいないと時間がゆっくりに感じる主人公、もうこれはかなりきてますね。隣のクラスの人に災子の事を尋ねると今日は学校を休んでいるらしい。休んだ理由については分からないらしいがまあそんな日もあるよねと自分のクラスに戻る。すると雪丸が話しかけて来る「災子ちゃん学校休んだんだってな?隣の奴から聞いたぞ。」主人公もさっき漸くその事をしったのそうらしいねと返事をすると「なんだ、お前も詳細しらないのかよ。本人から何か聞いてるかと思ったのにな」と自分よりも何かを詳しく知っていそうな口ぶりにちょっとムカつきながらも雪丸の話を聞く。昨日ウサトリアの辺りで火事があったらしい、そういえば今朝クラス内でそんな噂があったようなとあまり気にしていなかった様子、しかし雪丸の次の発言を聞いた瞬間主人公は動き出す。「聞いた話だからホントかわからないけどさ...燃えたの災子ちゃんの家らしいぞ」教室を飛び出して真実を確かめに災子のアパートへ向かった。現場は無残にも黒焦げになっており到底人が住める状態ではなかった。そこで一旦落ち着いた主人公は災子のスマホに電話を掛ける、呼び出し音が異様に長い。そしてやっと出てきたスマホからの音声は無慈悲にも「おかけになった電話番号は現在使われておりません」であった。絶望の底に堕とされた主人公の手からスマホが滑り落ちる。災子の安否を確かめる事も出来ずにモヤモヤしたまま数日が過ぎていった...

そんな日々が続き学校が終わってまっすぐ自宅に向かう主人公。何をやっても気分は上がらないし落ち着かない。七七や雪丸に遊びに誘われても気分が乗らなくて全て断る程である。そして自分の影を見つめながら無心で歩き続ける、人とぶつかって転びそうになるが構わない。まさに心ここにあらず、それだけの喪失感が主人公を襲ったのだと分かる。なんとなく目線を上げると横断歩道の向こうに見覚えのある女の子を見つけて一瞬自分の目を疑った。だがそれは間違いではなかった、災子である。ぼーっとした表情で猫背のままトボトボと歩いている、その姿はいつもと同じであったが黒い喪服に身を包んでいた点だけがいつもと違った。思わず直ぐに駆け寄り災子の身体を両手で抱きしめた。本当に死んでしまったのかと心配したんだぞと言い涙を零しそうになる主人公に対して災子はもう自分には近づかないって約束したよね?と言うがそんなの関係ねえと言わんばかりの主人公。そんなの認めるわけないし約束した覚えもないんだと。出目5の主人公はやっぱりカッコよく見えるなあ。一切連絡も取れず安否も分からない状態で主人公が会いたくて会いたくて震える状態なのは容易に想像出来る。そこに偶然にも街中で出会って再会だなんて、この溢れ出るラブロマンスよ。災子も本当は主人公に会いたかったよなんて言っちゃてくれてるし。だがしかし、二人が会うことを許さない存在が居る、恋に障害は付き物であると言わんばかりに。ロミオとジュリエットとはちょっと違うけどこういうのって結構好きですね。
さてその二人の邪魔をする者とは一体誰なのか、主人公が災子との再会を喜んでいる中災子がふと言葉を漏らす「でも七七さんに...」それを聞いた主人公はどうしてここで七七の名前が出るのか不思議であった、が理由を災子から聞くと言葉も出てこない位に怒りがわき出してきた。自分が関わる人間は自分で決める!七七じゃあない、自分自身だ!と最高にキマってるぞめたろー。ここにきてそういえば喪服を着ている災子に疑問を抱く主人公、その理由を聞いてみる。

BAD END3
もしかして……また?と尋ねた場合。災子から両親が火事に巻き込まれた事を聞かされる。そして自分の不幸体質のせいなんだ、生きているだけで人に迷惑をかけてしまうと泣き出す災子。仕舞いには自分なんていない方がいいんだ、自分が死んじゃえばよかったんだなどと言い出す。それに対して縁起でもないことを言うな!そんな迷信絶対に信じないぞと災子を必死に励ます主人公。それでも彼女は俯いたままであった。そして「もし私が死んだら...めたろー君は悲しんでくれる?私の為に泣いてくれる?」と言いその直後災子の口からドロリと血が溢れてくる。咳込んで苦しみながらも更に言葉を続ける災子「ごほっ...私ね...めたろーくんのこと...だい、す...」最後まで言い終えることも出来ずこれが彼女の最後の言葉となった。
口から血が流れる辺り毒かなと思ったらBAD ENDのタイトルからしてもやはり服毒自殺でした。しかし毒を飲んだ描写は特に無いので実は主人公と会う前から既に飲んでいたのか、最後に主人公に会えて自分の思いを伝えられて良かったと思いながらこっそり飲んだのかは謎ですが。死に行くキャラを必死で止めるが力及ばず目の前で死んでいくのをただ眺める事しか出来ない無力さとか、こういうのって良いですね。きっとこの後亡骸を抱えて大声で泣き喚くシーンとかあったりするんでしょうね、世界の中心で愛を叫ぶめたろー。最後の最後で自分の気持ちを伝えて逝くだなんてずるいよ、主人公は自分の気持ちをまだ伝えていないのに。大事なものはいつ自分の手から零れ落ちるか分からない、だから常に全力で本気で後悔しない様にしたいですね。

二人を送ってきたのか?と尋ねた場合。同じく両親を火事で亡くし自分だけ生き残った話を聞かされる。いきなり両親を亡くした相手に流石にかける言葉も出ない主人公、自分が思っている以上の苦しみや悲しみがあるのだろうと想像しただ黙って見守るだけであった。災子もそんな主人公を察してか無理して笑顔を作って元気であるとアピールするもぎこちない。そしてこんな自分はやっぱりだめなんだと自虐的な言葉を吐き続ける。それは聞いていて辛くなるようなものであり、主人公はただ見ていることしかできなかった。
場面変わって災子視点、家が無くなってしまったのでビジネスホテル暮らしである。そこで物思いに耽っていた。両親は自分を残して先に死んでしまった、二人とも自分を置いて楽になるなんて。許されるのならば自分もそうしたいとも思った。災子を引き取ってくれる親族は誰一人として居なかった、呪われた子供と言って忌み嫌っておりどこにも行き場は無かった。そして家もお金も家族も失った彼女に残された物は両親の莫大な借金だけ。相続しない選択だってあった、しかし敢えてそうしなかったのは自分の居場所を失いたくないからであった。身寄りのない災子を引き受けてくれるのは借金取り達だけであった、そこまでして彼女は何故自分の居場所にこだわるのであろうか?そして借金返済の為に明日には都会へ向かい"ある場所"で働かされるらしい。具体的な仕事内容については不明だが借金返済の為なのでロクでもない仕事であるのは災子でも容易に想像が付く。まあ仕事内容は恐らく風俗関係でしょう。しかし自分の居場所とは自分を必要としてくれる人を求めているのだろうか、自分に構ってくれる相手が欲しいのだろうか。敢えて借金を受け継ぎ自分で返済するという修羅の道を選ぶのには災子なりの考えがあっての事であろう、その姿はまさに悲劇のヒロイン。若しくは破滅願望を持った人間と言うのも世の中には居るものである。自暴自棄になる人も居るだろう、私も一時期そんな事もありましたよ。数年前人生諦めて早めに死んでやろうと思って貯金を使い果たすつもりで夜遊びしまくって酒を飲みまくって身体も壊してやろうとかってね。今じゃ起死回生して順風満帆ですけどね、背水の陣で頑張った結果ですね。あの時の浪費が無ければ今もっと貯金あったのになあとか悔しみながら今じゃ笑い話にしてますけどね。彼女にも前向きに頑張って生きてもらいたいものですね。

場面変わって今度は主人公視点、丁度布団に入って眠ろうとしている所。今日街中で災子を見かけて無事でいてくれて良かった、自分じゃ具体的に何かしてやれたり助けてあげられるわけではないかもしれない。それでも生きているだけで幸せなんだ、生きていればいつかきっと幸せになれるはず。諦めなければきっと...とポジティブに考えながら意識が眠りに誘われかけたとき、ふと窓を叩くような音が聞こえた。最初は風でも吹いて小石が当たったのか?と思ったが確かに窓を叩く音が聞こえた。まさか泥棒じゃないよなと恐る恐る窓に近づきカーテンを開ける主人公。すると災子の姿がそこにあった。慌てて上着を着てサンダルで外に出る主人公、家の前で待っていた災子は申し訳なさそうに微笑んで言う「ごめんね、こんな時間に。起こしちゃったかな、びっくりしたよね。最後のお別れの挨拶が言いたくてちょっとだけ時間をもらったの」意味深な物言いに嫌な予感が主人公に沸いてくる。災子は更に続ける、この町から出ていく事、もう主人公とは会えない事、知らないおじさんのところへ行くこと、知らない街の知らないお店でお世話になる事。主人公の悪い予感はどんどん大きくなる、災子がこの後一体どうなるのか自分には知る権利すら無いなんて。主人公の問いかけるような視線を無視して災子は続ける、いままで一緒にいてずっと楽しかったと。涙をこらえながら震える声で必死に伝えてくる。一緒に花壇に水やりをした事、小さな虹を作った事、お花が咲いた事、あの日主人公に声をかけて本当に良かったと思っている事。主人公と出会えた事が彼女の不幸な人生の中で唯一幸せだと思った事。そして最後に告げる、またいつか会えたら一緒にバナナクレープを食べようねと。そこで主人公が取った行動は...

BAD END4
どうか、ずっと元気でいてくれ……とお別れした場合。どこか知らない遠くの街に行っても、もう二度と会うことが叶わなくとも元気でなと送り出す主人公。それを聞いて俯く災子、そのまま暫く動かずぼそっと小さく呟く「めたろー君……私の事、助けてくれるよね?」そう言って主人公の目の前に歩み寄る。「だってこの前私の事、心配だって、救いたいって、言ってくれたもんね?」そう言って災子ははいタッチ~と言って主人公の肩にタッチした。そして怒涛の勢いで喋り出す災子、これはただの呪いごっこで遊びだと、主人公に災子の呪いをあげると。怒り出す主人公だがお構いなしに続ける災子、あんな遊びはくだらない迷信だって言っていたから良いよね、これでもう怖い目に遭わなくて済む、漸く自分は助かったと言った雰囲気で主人公に謝りつつ感謝して笑って去って行く災子。
その後の主人公の人生は散々なものであった。両親は亡くなり、勤めていた会社をトラブルでクビになり、ホームレス生活で毎日の食べ物にも困って死の淵を彷徨う生活。災子から不幸を伝染されてから何年経ったのだろうか、今じゃ訳も分からずどこの誰とも知らない奴に殺されかけている。細い路地に身を隠して逃げ回る生活。そこで怯えていると主人公の目の前に見覚えのある女性が立っていた。彼女は言った不幸は伝染るんだって、やっぱり呪いはホントだったんだ。そして自分の正体を災子だと明かす。主人公はこの時、災子が学生時代の恩を返しに助けに来てくれたんだと思ったが現実は非情であった。災子は主人公に呪いを伝染してから不幸じゃなくなったらしい、主人公が悪いものを全部持って行ってくれたお陰かなと笑っている。主人公は災子に両手を伸ばして救いを求めるが冷たい声で否定された、触りたくもない不幸が伝染ってしまうと。災子が窮地に立たされた時に手を差し伸べず、元気でねとあっさりお別れした主人公を助ける義理など無いと言わんばかりである。最後に災子は自分は今はすごく元気で幸せで、主人公の願いが叶って良かったねと言って薄気味悪い笑みを浮かべながら去ってしまった。その後主人公はどこの誰かも分からない奴に命を奪われ生涯を終える。
ここで子供の頃の遊びであった呪いごっこで溜め込んだ呪いが本当に他人に伝染ったのか、はたまた主人公が偶然にも不幸になってしまったのかは謎である。今までの主人公のヒーローっぷりから一転してあっさり元気でなってお別れをしてしまうとは、まあ子供の主人公にはどうする事も出来ない事ってのはあるけど。そこは今まで通り情熱を貫けよって思うけども、そうなるシナリオはもう一個の選択肢を選んだ場合なので。しかし災子はあの状況からどうやって復帰したんでしょうかね、不幸を全て主人公に移したから宝くじとかギャンブルとかで一発でかいの当てて一気に借金返済して普通若しくはリッチな生活を送っていたんでしょうかね。

僕は、それでも……を選んだ場合。それでも災子を救いたい!と彼女を強く抱きしめる主人公。自分に触れると不幸になっちゃうと言う災子の言葉も無視してお前を救う為なら命だってなんだって張ってやると覚悟を決める主人公。たとえ業火で焼かれようとも災子と添い遂げる事を決めた主人公、そして二人は駆け落ちをするのだった。そしてEDが流れる...出目5のめたろーは本当に主人公してるなあ。災子も災子でヒロインしてるし、これで二人は幸せな生活を送るんだろうなあとか色々考えつつその後の展開へ。
駆け落ちしてすうねん、借金取りの追手から逃れ決して裕福とは言えないが穏やかな日々を送る二人。今日はちょっと遠出して花畑を見に行く所。災子の好きなピンク色の花が咲く花畑。そして主人公はそこで結婚指輪を災子に差し出す。彼女は涙を流しながら今まで一番嬉しそうな笑顔を見せた。そして災子は語り出す「私は昔に幸せになろうとしてないって言われたことがある。でも半分は合っている。不幸から抜け出したいって本気で思ったらすぐにそうできる、でも自分でわざと不幸になる選択をしている。誰にも迷惑をかけたくない、だから死んでしまいたいと思っていた。死にたいと思っている人は本当は誰かに助けてほしい、自分を見つけてほしい。でも死んでしまったらそれも出来ず本当に終わりなんだよ」と。彼女が言う通りに不幸の中に居た彼女を救い出した主人公、細々と二人で仲良く今後も暮らしていくハッピーエンドが待っている。そんな展開が待っていそうな会話だ。
そして帰り道、駅のホームで二人きり。田舎故か電車がなかなか来ない。二人は帰ったら夕飯を何にしようかとか雑談をしている。災子は随分とくだらない会話もするようになり、お互いに冗談なんかも言い合えるような仲になっていた。災子の不幸体質は相変わらずであるが命を落とす程ではない、恐らく主人公と不幸を分かち合うことで軽くなっているのだろうか?電車を待っている時、ふいに災子が問いかけてくる「もし私が死にたいって言ったら...一緒に死んでくれる?」と。唐突な質問、そして突然の「はい」「いいえ」の選択肢。主人公が反応に困っていると「なーんちゃって、嘘だよ。びっくりした?」と冗談を言う災子。今は主人公と一緒ですごく幸せだからそんなバカなことはもう言わないと言う彼女であったが、直後アニメーションが入りホームへ電車がやってくる。それと同時に線路へスッと消えていく災子。二人で静かに暮らしていくと思ったか、残念でしたこれはサイコロサイコなんですよと言わんばかりの展開。上げて落とす、希望を与えられて目の前でそれが消える絶望よ。因みに最後の選択肢は通常の選択肢と見た目が異なるしどちらを選択しても反応は無い。わざわざアニメーションで飛び込みをする辺りかなり力の入れよう、作者お気に入りのヒロインらしいので優遇されているのだろうか。アニメーションがあるのは最初に公開された出目4とこの出目5だけである。

シーン変わって災子が序盤で車に轢かれて病院での場面。病室前の廊下で両親が大声で喧嘩している。父親は医療費に回す金なんかない、あんな娘いらねえ殺しちまえと酷い言いよう。母親は周囲の目を気にしてなのか自分達の子供で宝だと主張して一応庇う。アンタがギャンブルを止めろだとか、お前が100万もする妙な壺買ってるじゃねえかとか金の話で揉めている。その声を聞いて涙を流す災子、そしてその姿を見てこぞって可哀そうにと同情する看護師達。ここで災子の真の気持ちが分かる。周りから哀れみの目で見られるのが気持ちいい、可哀そうな自分がいてそれを見て優しくしてくれる他人。ちやほやされる自分が良い。だから敢えて可哀そうな不幸な災子を演じるのだと、心の中では笑っているけど表には出さない。悲劇のヒロインを演じる事で周囲の同情を誘う事に快感を覚えてしまっていた。そして火事で両親が亡くなった真相も明らかになる。両親が寝ているのを確認し、ボロボロのカーペットに火を付けて外に出た。これで嫌な両親を始末しつつ更に可哀そうな災子ちゃんを演じる事が出来る。やっぱり自作自演だったとは。

最後に


今回の出目5は今までの出目と比べると七七と雪丸の登場シーンが少なかった気がする。そのせいか主人公とヒロインのやりとりの場面が多くて一見普通のラブコメとかラブロマンスのゲームに見えるが最後の最後で上げて落とすどんでん返し。最初プレイした時は「あぁ~やっぱりそうくるか」って感じだったけど、途中の場面とかを良く見返してみると他の出目のヒロインと比べて一見狂った様子も無く主人公とイチャイチャしている風景が割と多くて和む感じだなとか思っちゃう。後は出目3並みにあんまり血みどろ感も無くてまさに可哀そうなヒロインのノベルゲー、それ故にラストのシーンが映えるのだろう。ダミー選択肢でビビらせて嫌な予感を感じさせてアニメーションで止めを刺す。こうして見ると作者一押しだったりオススメヒロインとして紹介されるのもなんとなく分かる気もする。
しかし主人公が結婚を申し込んだ後に自殺するとは、どうせ死ぬならなぜそのタイミングなのか、もっと早くに死んでも良かったのではないかと思うが、彼女の思想的には恐らくこうだろう。周囲からは可哀そうな災子ちゃんで居たい彼女はこのまま主人公と結婚したら幸せに近づいてしまう。そうなると可哀そうな災子ちゃんを演じづらくなるからあのタイミングで死んだのではないか?それともこれ以上主人公を自分の不幸体質で巻き込みたく無かったのか?このシーンの後に病院で周囲の同情が気持ちいいって描写を入れている辺り前者かな~?と思ってしまう。真っ当な理由で動くヒロインでは無いと思うので。更に言えば火事を起こした時に自分も一緒に死ぬことも出来ただろうに。
めたろーの生きていればいつかきっと幸せが訪れるっていうポジティブな考え、悪くないし諦めず死ぬ気で努力すれば変えられる事もある。でもどうあがいても詰んでる人も世の中には一部居るんだろうね。災子ちゃんは果たしてどちらだったのか。気になる人は是非DLしてプレイしよう。