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重なる時間、すれ違う時間


やっとこさシン・エヴァンゲリオン劇場版:IIを見に行ったのだけど、見終わって物語以上に、時の流れと人生の妙と縁について思いを馳せながらエンドロールをじっと見ていた。
庵野秀明監督が安野モヨコ夫人と出会わなかったらきっとシン・エヴァの結末は違っていたと思うし、そもそも完結したのかも分からない。
誰かが誰かに出会い人生が変わり、それがまた別の誰かの人生を変えていく。決定的に分断されているように見えても、波紋のように人々は、どうしたって繋がっている。

平日の昼間に映画館に来ている人たちは私を含めてほとんどが一人で、控えめな風貌をしていて皆一様に人付き合いが苦手そうな感じだった。
映画が終わって宇多田ヒカルの歌が海のように満ちている闇の中で、誰一人席を立とうとしなかった。
やがてエンドロールが終わり明かりがついて、一人一人、静かに立ち上がる。
きっと同じような熱い気持ちや寂しさを胸にギュッと抱いて、でも何食わぬ顔でバラバラに映画館を後にする。

エヴァンゲリオンをテレビシリーズから見続けてきて、庵野秀明監督があの結末に辿り着いたことに胸が熱くなった。
一度きりの人生の中で変え難い出会いがあり、そこに辿り着いたという事実が。

エンドロールを見ながらわたしは、どんな人類補完計画をもってしても一人じゃ為し得ない、辿り着けない場所がどうしようもなくあるのだということに、希望も絶望も同じ分だけ感じていた。

同じ映画を見て、何も言わずに目も合わせずに消えていく人たち。
きっと、ほんのちょっとしたタイミングで、私たちは友達になれるかもしれないのにね。







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