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「コテンラジオ」が面白い件

なんだか急に涼しくなりましたね😨

うっかり8月のノリで半袖短パンで買い物に行こうとして、外に出て空気の冷たさにビビって慌てて長袖Gパンに着替え直しました🤣

そうして着替え直して向かった先は2か月半ぶりの散髪です。

かれこれ10年近くお世話になっている美容師さんが経営する隣町の美容院までクルマで20分くらいの道のりです。

神奈川県民の私は、クルマに乗る時はだいたいFM横浜を流しっぱなしにしております。

普段からラジオを聴く習慣はないのですが、週末の午前はクルマで買い物に行くことが多く、なんとなくFM横浜を流しているため、結果的に毎週同じラジオ番組を常連のように聴いてたりします。

中でもよく聴くのが、毎週土曜日の9時からやってる「Futurescape」という番組です。

放送作家の小山薫堂さんとフリーキャスターの柳井麻希さんがラジオパーソナリティを務める「ゆるいトーク番組」で、色んなジャンルの人をゲストに呼んでトークを繰り広げるのですが、お二人の掛け合いが面白くていつも楽しく聴いております。

で、昨日(9/4)のFuture Scapeのトークゲストとして出演されていたのが、「コテンラジオ」を運営されている深井龍之介さんでした。

コテンラジオとはなにか

オフィシャルサイトの記述によれば


株式会社COTEN(コテン)の広報活動として2018年11月に始まった歴史系Podcastです。日本と世界の歴史を面白く、かつディープに、そしてフラットな視点でお伝えします。


とあります。つまり「歴史」を扱った音声コンテンツを配信されています。

これだけ聞くと「中田敦彦のYoutube大学」のような、いわゆる学習・教養系コンテンツの発信者の一人かな、と思うかもしれません。ていうか私もそう思いました🤤

でも番組内で深井さんが「コテンラジオ」の配信を始められたきっかけを聴いて、俄然興味が沸きました。

「うわー、コテンラジオ、聴いてみてぇ!!」
「ていうか、深井さんの話をもっと聴いてみてぇ!!」

と。

「歴史のデータベース」を作る

番組の中でパーソナリティのお2人から

「そもそも、深井さんはなぜこんなことを始められたのですか?」

と聞かれた深井さんは、ご自身が代表を務める株式会社COTEN設立の経緯について以下のように答えられていました。(たぶん。うろ覚えだけど)

・自分は歴史が大好きで「歴史のデータベース」を作りたいと思っている。
・昔、新規事業立ち上げ支援やベンチャー企業の経営をしていた頃、ベンチャー企業の経営者が、歴史を知ってたり学んでいれば回避できるような失敗をするのを目の当たりにし「誰もが歴史の叡智に手軽にアクセスできるような世界を作りたい」と思った
・データベースを作る過程で得た情報を配信していたら今の形になった


『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』 by ビスマルク


なんて言葉もあるように、「歴史」から学ぶことは多いと分かっているにも関わらず「歴史」がニガテな人は多いと思います。私も学生時代はニガテでした。

でも「歴史のデータベース」って言われてもピンとこないですよね。「いったい何を作るつもりだろう?」ってなりませんか?

同じ疑問を番組内でもパーソナリティのお二人に投げられた深井さんが回答したのがコレです。

「例えば、データベースから『部下に殺された人』を検索できるようになれば『自分がリーダーや上司になった時にどのように振る舞えば部下に殺されないか』が分かるじゃないですか。そういう歴史から得られる教訓を誰でもアクセスできるようにしたい」。

おお・・・なるほど。すげぇ。面白い😮

この回答にはパーソナリティのお2人も大ウケしてましたが、めっちゃ面白くないですか。「部下に殺された人」を歴史の教科書から拾うのって相当困難ですよね。でも、確かに「ほんとうに歴史に学びたいところ」ってそういうことじゃないでしょうか。決して「西暦何年に誰それがxxをした」とかそういう情報ではないですもの。(そういう情報の検索はGoogleに任せればいいので)

この「歴史のデータベース」というコンセプトは、株式会社COTENのホームページで詳しく紹介されています。

深井さんの「歴史」との出会い

「歴史のデータベース」というコンセプトも実に面白いのですが、私が個人的に最も響いたのは、その後に語られた「深井さんが歴史を好きになるきっかけ」のエピソードです。

深井さんが歴史好きになったのは実は20歳からだそうで、それまではどちらかというと苦手だったそうです。20歳の時に何が起きたのか?

当時大学生の深井さんが夏休みに実家に帰省した際、本好きな父親の書斎で何気なく手に取った本を読んで衝撃を受けたのがきっかけだったそうです。その時手に取ったのは古代中国思想の本でした。(その後の会話の流れからすると『孟子』でしょうか)。

ここが重要なとこなんですが、当時深井さんは

古代の人は皆「馬鹿」だと思っていた。

そうです。

科学技術の発展によってありとあらゆることが明らかになった現代と異なり、そういった知識のない古代人は、極めて非合理的で非効率的で、主観的に迷信や習慣や宗教的な世界観で生きている無知蒙昧な人達であると。(ここまで言ってなかったかもだけど文脈的にはこんな感じ)。17世紀~18世紀のヨーロッパで広まった「啓蒙主義」みたいな感覚ですかね。

ところが!

たまたま手に取った中国思想の本に書かれていたことが何と合理的であるかと。古代の人は無知蒙昧で馬鹿だなどというのはとんでもない誤りであり、むしろ現代に生きる自分たちよりもよほど優秀ではないか、と価値観が逆転したそうです。そこから歴史に学ぶことの重要性を感じ、中国史、日本史、世界史と順に学んでいき「歴史データベース」構想を考えたようです。

2つの共感ポイント

一冊の本との出会いにより、それまでの考え方から180度変わってしまうという話は私も過去に何度か見聞きしたことがありますが、深井さんのエピソードについては私は2つの点で自分の体験と重なるところがあって強い共感を覚えました。

1)  古代の人は皆「馬鹿」だと思っていたところ

私が東洋思想に出会ったのは2014年でしたが、それまでの私は近代西洋思想に基づく価値観に対して疑問を感じていませんでした。

・目に見えない、測定できないものに価値はない
・効率重視、コスパ重視
・合理性こそ正義。

今思うと、どんだけデカルト・ニュートンの世界に閉じ込められていたのかって話ですが、まぁでも、実際そんな感じでした。

そんな私がたまたま東洋思想に触れて衝撃を受けてから自分なりに勉強を続け、いざ自分も発信する側に立ってみたらやっぱりその壁にぶつかったりして、先日もこんな記事を書きました。

この科学万能の現代21世紀において、数千年前の古代人の考え方を取り入れようだなんて時代錯誤も甚だしい」という風潮はやはり根強くあります。

そんな風潮の中で「現代に生きる我々が古代人の考え方から学ぶことは大いにある!」という主張を、アカデミックな老学者が言うのはなく、若いビジネスパーソンである深井さんが堂々と宣言し、それを「歴史データベース」として実現しようとしていることにはとても大きな意味があると思います。

いや、孫さんとかは昔から言ってるんですけどね。

2) 古代中国思想がきっかけだったところ

深井さんは番組の中で、古代人の考え方が合理的であることの例として「孟子」の「五十歩百歩」というエピソードを紹介していました。「目くそ鼻くそを笑う」的な故事成語の「五十歩百歩」は「孟子」が原典です

深井さんが初めて中国思想に触れたのが本当に「孟子」だったのかは分かりませんが、実は私の場合はまさに「孟子」でした。

孟子」の冒頭に「孟子、梁の恵王に見ゆ」っていうエピソードがあります。(詳細はこういうサイト)

このエピソードから次の言葉が生まれます。

先義後利

簡単に言うと、

まず「義」を果たすのが先だよ。「利益」は後からついてくる。決してその順番を間違えてはいけないよ、っていうのを孟子が王様に諭す話です。

当時、私は会社で新規事業の提案をする活動をしていました。今思い出しても、社会的な意義があり、長期的には会社に利益をもたらす提案であったと自負していますが、短期的で目先の利益ばかり追求する経営層に却下されまくってうんざりしていた時期に出会ったのがこの「先義後利」という言葉で、

「お前らなんかより、古代の人の方がよっぽど分かってるじゃねーか!!」

と感動したのを覚えています。
(まぁ、そんな態度だから却下されるっていうのもあるんですけどね)

そこから古代人の叡智を学ぶべく古典を勉強し始め、その過程で私たち東洋人の精神資源全般に興味を引かれ、東洋思想全般にかぶれて今に至ります。

さいごに

コンテンツラジオ、さっそく聴き始めています。3人のトークの掛け合いがめっちゃ面白い。ここ数年、東洋思想(儒教、仏教、老荘、禅、神道)が中心だったので西洋の偉人や歴史の話はとても新鮮です。

でも、やっぱり現代の私たちが手に入れられる「歴史」は、やはり偏っているような気がします。どう偏っているかというと「勝者の視点」に。

敗者の視点」が歴史の資料として残ることは少ないんじゃないかと思うので、勝者が残した「史実」が事実かどうかは、それこそタイムマシンに載って当時に行かない限り絶対にわかりません。(深井さんは番組の中でタイムマシンがあったら明智光秀になぜ信長を殺したのか聞いてみたいと言ってました笑)

でも、その時代にあった思想や世界観は古典を通して知ることができます。その時代に存在した/支配的だった思想や世界観が歴史を作ったと見ることもできると思うので、洋の東西を問わず「歴史を知る」ことは「当時の思想を知る」ことに他ならないのかもなーと思いながらラジオを聴いてました。

おしまい。

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