『幕が上がる』平田オリザ
私たち二人は、いま芝居の話なら、明日の朝まででも続けられそうだ。普通の女子高生が、ファッションやアイドルの話を延々と続けられるように、他人が見たら不思議に思えるくらい会話が途切れない。私たちは演劇の話をしながらハムサンドを頬張り、ぬるくなったアイスカフェオレを飲み干し、それをゴミ箱に捨てるときもずっと話し続けていた。
こういう描写にグッとくる。『幕が上がる』は地方の高校演劇を舞台にした青春小説。劇作家であり演出家の平田オリザが書いた初めての小説です。
演劇の奥深い世界を描