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2020年8月の記事一覧

『幕が上がる』平田オリザ

私たち二人は、いま芝居の話なら、明日の朝まででも続けられそうだ。普通の女子高生が、ファッションやアイドルの話を延々と続けられるように、他人が見たら不思議に思えるくらい会話が途切れない。私たちは演劇の話をしながらハムサンドを頬張り、ぬるくなったアイスカフェオレを飲み干し、それをゴミ箱に捨てるときもずっと話し続けていた。 こういう描写にグッとくる。『幕が上がる』は地方の高校演劇を舞台にした青春小説。劇作家であり演出家の平田オリザが書いた初めての小説です。 演劇の奥深い世界を描

『あたりまえなことばかり』 池田晶子

当時ブログに書いた文章をnoteに載せてみたくなりました。 =2007.03.06の記事= 『あたりまえなことばかり』 池田晶子 私のブログのキーワードのひとつに間違いなくあるのが、「考える」ということ。あるものについて考えてみたり、自分なりに捉え直してみることで、新しい発見をしたり、新しい価値を見出すことは、とても楽しいことです。 その楽しさを教えてくれたのが、先日亡くなった池田晶子著の『あたりまえなことばかり』でした。どういった経緯で手に取ったかもう忘れてしまいまし