「ぱちぱち」


 午前四時半。時計のアラームがなる、貴方が起きる前に私は音を止める。のびを一つしてゴソゴソと寝床を出る。途中で貴方が薄らと眼を開ける時があるけれどまだ寝てても良いよと一声かけてベッドを降りた。
 朝起きてまずする事はお米を炊くことだった。お米をといで炊飯器のスイッチを入れる。次にお弁当にいれるおかずの用意をし始めた。
 前は貴方は自分でお弁当を作っていた。でも朝六時くらいに出勤する為にそれより早く起きて夜は十九時くらいに帰ってくる。そんな貴方が朝少しでも多く眠れるようにと途中から作っている。疲れをできるだけとって欲しいから。
 フライパンを出して卵焼きを作る。フライパンは油をひいて中火で温める。少し熱めにするのがコツらしい。溶いた卵を三回に分けて流し入れる。巻く度に油をひきなおすのも忘れずに。卵がぱちぱちと音を鳴らしながらかたまっていく。途端に台所に広がるお出汁の良い香り。初めはしょっぱすぎたり味が薄かったりしたっけ。丁度良い感じの味になるまで少し時間がかかった。今日も美味しく出来ますようにと願いながら作っていく。
 夏になって台所の気温は若干暑いけれど、貴方への思いが溢れて心があたたかくなった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?