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ウイルスと共生する時代

SARS-CoV-2の変異種が出てきて、感染力が強まっているという報道が注目を集めている。それを読んで思い出したのが、西日本新聞が今年4月に山本太郎・長崎大熱帯医学研究所教授にインタビューしたときの記事だ。

新型コロナウイルスの患者数は世界で200万人を超え、封じ込めは不可能だ。治療法がなかった時代のエイズなどに比べれば致死率は低い。ただ、ウイルスは人間の細胞を利用して自らを複製する過程で、強毒に変異する恐れもある。
人と人との接触を減らせば、強毒化したウイルスは伝わり先を見つける前に宿主を死なせてしまう。流行速度を遅らせ、弱毒のウイルスが生き延びる環境をつくることがウイルスとの闘いでは重要になる
未知のウイルスによる感染症は確かに怖いが、人類は過去にパンデミックを起こした感染症をうまく取り込み、免疫を獲得して種としての強靱さを養ってきた。人命を守りつつ、より強い社会を目指すしかない。
(「流行を左右したのは人間の側」 西日本新聞 2020/04/27)

「弱毒のウイルスが生き延びる環境を作る」という発想はハッとさせられた。

さて、問題となっている変異したウイルスはどうなのだろうか。今のところ重症化率が高くなったとは報じられていないのだが、このウイルスについては今も分からないことだらけ、予測不能なことだらけなので、今後どうなっていくのか、現時点で確かなことは何も言えない。
それを承知の上で、極端な天国シナリオと地獄シナリオの両方を考えてみる。

天国シナリオ:感染力が上がった分、ウイルスは弱毒化していて、重症化率は下がり、体内にウイルスを取り込んでも、気づかないか、軽い風邪程度で済む人ばかりになる⇒ワクチンなど待たずとも、みんながこれに感染して免疫を獲得し、人間とウイルスの平和共存時代が始まる。


地獄シナリオ:今までは欧米と東アジアでは感染率、重症化率、致死率が極端に違ったが、変異によってアジア人種も今までの欧米人なみ、あるいはそれ以上に重症化するようになる⇒世界でCOVID-19による死者が爆発的に増える。


前者なら嬉しいのだが、後者みたいなことになったら……コロナ大喜利みたいなバカ政治を続けている日本はひとたまりもない。一気に地獄に突き落とされるだろう。今までは運がよかっただけなのだ。

このウイルスを完全に消すことはもはや無理だろう。山本教授が言うように、「ウイルスと戦うのではなく、いかに犠牲を少なくして共生していくかを考えなければいけない」段階に来ていると思う。
そのためには、正確なデータ分析と、合理的な政治判断、施策だ。
それができない今の体制を変えていかないといけない。
一般人にできることは、選挙の投票行動くらいしかないのだが……。

こんなご時世ですが、残りの人生、やれる限り何か意味のあることを残したいと思って執筆・創作活動を続けています。応援していただければこの上ない喜びです。