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DSの帝王学

第7回ぷちぷちサミットより抜粋(5)

イシ: エプスタインにしても、彼とのつきあいが深かったゲイツにしても、自己中心というか、ある種の才覚と運で成り上がってきたでしょ。血族関係でああいう特殊な地位を得たわけではないという意味では、一種の「傭兵」だと思うんですよ。ゲームのラスボスではない。
 やはりその上にはロスチャイルド家に代表される血族集団がいるんじゃないですかね。
 自分たちはなるべく表には出て行かない。背後に隠れて、表舞台ではシュワブやゲイツのような人間を使う。

吾狼: 僕もそう思います。有名人というのはなにかと面倒ですからね。本当の支配者はそういう煩わしさのない快適な人生を送ろうとするでしょう。

イシ: となると、その血族集団は、結束を固めるために、子供には帝王教育のようなものをしていると思うんだ。私としては、その内容に興味があるなあ。

幽大: 帝王教育か。なるほど。しかし、ろくなものではないだろうな。人を人と思わぬ、とでもいうか、自分たちとその他大勢は、同じ人間の姿形をしていても、まったく違う存在なのだという意識を植えつけることから始めるだろうな。

イシ: その通りです。まずはそこからでしょうね。
 昔はそれが階級社会や主君関係の維持という意識からだったと思いますが、21世紀の今は、もっと根本的に違う意識になっていると思うんです。

幽大: ほう、どんな意識かな。

イシ: IT技術と密着した世界観、とでも言えばいいですかね。
 基本としては、自分たち以外のすべての人間は「労働力」にすぎない。企業の経営と同じで、従業員が増えすぎて人件費が経営を圧迫すれば解雇する。そうした感覚で人口削減も行う。
 資源や原材料の調達を安価かつ独占的に行うためには詐欺的手法を駆使する。そもそも富の概念を仮想化して、何もないところに富を生み出す。その方法論は案外単純なものだけれど、一般庶民には分からない。
 世界はこんなに簡単に操れるのだということを、子供のときから教える、ということだと思います。
 ただ、そのための最も効果的な方法が今ならある。それがデジタル技術や遺伝子工学などのアプローチである、と。
 それをさらに突き詰めていくと、自分たち以外の世界は仮想空間でよい。自分たちだけがリアルな世界で快適に生きる住人で、それを支えるインフラとしてのバーチャル世界にその他大勢の人間を放り込んでおく

吾狼: そうした構造というか現代社会のシステムについて、教えられなくても学んでいったのがゲイツやシュワブだったということですね。エプスタインも、人間をロボット化する生命科学的な方法論に執着していたそうです。
 美形の若い女性を集めて、自分の精子で大量の子孫を作る計画を持っていたとか、ノーベル賞生物学者に、自分が死んだ後は脳と性器を切り取って永久保存してほしいと依頼していたとか、とにかく異様な性癖、思考の持ち主だったようです。

幽大: ある種の奇形だな。地球上の生命体系から逸脱した一部の変異種によって、現代社会、いや「現実世界」がどんどん壊されておる、と。

イシ: そうした変異種を使って世界を変えていこうとしている連中は、とてつもなく周到で、簡単には尻尾を出さない強靱さを兼ね備えているでしょうね。祖先が味わってきた迫害と疎外の記憶によって形成されたものなのかな。
(略)
私が興味を持つのは、それだけ巧みに世界を動かしている者たちの思考回路というか、世界観なんです。
 基本は、ほとんどの人間は簡単に操れるという理解ですね。脳の性能とかは関係ない。天才的な頭脳を持っている学者や経営者でも簡単に操れる。なぜなら人間は生物にすぎないから。

幽大: そう考えて操る側も、人間というただの生物なんじゃないのか?

イシ: そこはよく分かりません。もしかするとそのさらに裏に、人間以外の生命体が存在しているのかもしれませんが、そこまで話を飛躍させると収拾がつかなくなるので、まずは人間であると仮定して……。

吾狼: 人間であると仮定しての帝王学、ということですよね? 僕はハラリの語っている内容が彼らの教科書というか、ほぼそれに近いんじゃないかと思ってますけど……。

イシ: そう! まさにそうなんだよね。ナショナリズムとか共産主義とか民主主義とか男女平等とか貧富の差とか、そういうものは人間社会の指標や目標ではなく、対立や紛争を起こすための手段であるという割り切りだね。
 彼は人間社会を数理モデルのようにとらえている。地球生態系の中での人類の適正繁殖数をはじき出すのはもちろんのこと、その数を保つための「間引き」の方法、残した人間をコントロールする方法、必要な人材の選び方、従わせ方、育て方……すべてAIが答えをはじき出す命題にすぎない。つまり手段であって目的ではない。……そうした方法論や哲学を、支配者一族は自分の子供たちに徹底的に叩き込むだろうね。

幽大: しかし、ゲイツやシュワブのような表に出てくる人間を操る裏側の支配者たちが、必ずしも優秀な頭脳や強い精神力を持っているとは限らんだろう? 世襲議員にろくなのがおらんのと同じで、出来の悪いのも混じっていそうだがな。

イシ: そうですね。たとえ彼らの血族後継者が優秀な頭脳を持っていたとしても、最先端の電子工学や生命科学のエキスパートではないでしょう。そういう分野での外部の頭脳をいかに従わせるかという方法論に特化した影の帝王学で育てられた一族なんでしょうね。

吾狼: それができるのはやはり莫大な財力のおかげですか?

イシ: そうだろうけれど、財力だけならゲイツのような富豪がすでにいるわけだよね。そうした大富豪をも利用するためには、単純な財力だけでは無理だ。最大の武器は、財力を保証しているシステムを支配していることかな。
 最近、仮想通貨ということが話題になるけれど、そもそもドルだのユーロだのという既存の通貨も、とっくの昔からすべて仮想だよ。ただの数字、データにすぎない。
 ルールを変更するだけで一気に意味をなさなくなる「約束事」だ。実際の富は、食料を含めた資源と人間でしょ。そういう意味での強国はロシアや中国ということになる。
 アメリカにも資源と人間はあるけれど、かなり使いすぎてしまって、本来の実力以上のものになっている。マネーゲームの土台が崩れれば一気に危機に陥る。虚構の上に大きくなりすぎたアメリカという国が、これから作ろうとする世界統一政府にとっては邪魔になってきた。そろそろ弱体化させたほうがいいとダボスのトップは考えているんじゃないかな。

吾狼: アメリカも用済みになって捨てられる、ということですか?

イシ: そうなっているとしか思えないんだよね。今のアメリカ政府がやっていることはどう考えても自暴自棄の自滅路線だもの。
 アメリカが自滅する前に、西欧諸国がつぶれるだろうけどね。西欧諸国の政界トップが軒並みダボスのメンバーだからね。まずは自国を崩壊させる路線に舵を切る。
 ダボスのトップには、国家という概念がないんだよね。ユダヤ系の人間が中枢を占めていると思うけれど、彼らは長いこと流浪の民だったし、ホロコーストのような惨事も何度も経験してきている。民族紛争は武器を消費させる経済手段であり、かつ、特定の地域の資源や人口をコントロールする力学的手段として考えている。
 イスラエルはユダヤ民族にとって念願の祖国だといわれているけれど、今はもう、地政学的にあの場所を利用して紛争を起こしたり他国を牽制したり焚きつけたりという戦略拠点としてとらえているんじゃないかな。遺伝子注射もまっ先に実験場として使った感じだし。
 ダボスのトップ、あるいはその裏にいる支配層の頂点の連中にとって、いわゆる民族意識というのは薄いと思うよ。ユダヤ民族だからどうのこうのというのではなくて、人類を管理するだけの能力を持つ人材がユダヤ人に集中している、という結果論的なとらえ方じゃないかな。

幽大: であれば、自分の血を引く子供でも、出来の悪いのは切り捨てるのか?

イシ: そうでしょうね。ダメな血を排除していくという優生学的な割り切りができる連中でしょうから。

2013年時点ですでに現代の終末戦争を予言していたかのような小説
『人類を養殖している生物がいる』
Kindle版 180円

書籍版もあります


こんなご時世ですが、残りの人生、やれる限り何か意味のあることを残したいと思って執筆・創作活動を続けています。応援していただければこの上ない喜びです。