見出し画像

20年ぶりに映画『若草物語』を観た

テレビでたまたま『若草物語』(1933年)が放送されていた。なつかしい!と思わず録画をして、仕事後に、十余年……、いやよもや二十年ぶり?に観賞。

私は中学生時代、テレビで見た『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングくんにひとめ惚れをしたことをきっかけに急速に洋画好きになり、英語の勉強に俄然熱が入り、普段はかなりヘッポコな私が英語だけはテストで98点という高得点もザラという成績を納めていた。その洋画&英語熱は10代いっぱいはかろうじて続き、にわかに翻訳家になりたいという夢ももっていたが、20代になると遊びに夢中になり残念なことに、英検2級止まり。現在、あの頃からコツコツ勉強を続けていれば……とタラレバ的妄想をすることしばしば。

そんな10代の頃、好きだった俳優の一人が『若草物語』でジョーに扮するウィノナ・ライダーだった。吸い込まれそうな目力と黒髪と、無造作ショートヘア、気取らぬのにおしゃれなファッション、とにかく、魅力的だった。若かりし頃の私は、テープレコーダーに『若草物語』の音声を録音し、それを部屋で流していたのだった。英語の勉強のためだったかと思うが、音楽も素敵だったのでそれもあったのかもしれない。だから、映画が始まっても、ナレーションやらBGMやらセリフやらとにかく流れてくる音声やリズムは、二十年ぶりとは思えぬほど馴染みがあった。

しかし、ジョー役のウィノナ・ライダーやローリー役のクリスチャン・ベールを見て驚愕。42歳の自分には若いというレベルではなく半分子供のように見えたのである。やはり、あれから二十年の時が流れているのは間違いない(映画が公開されたのはほぼ30年前だし!)。

『若草物語』はさらに、まだ完全に子供のキルスティン・ダンストや、レオ様と共演した人気作『ロミオとジュリエット』などで知られるクレア・デインズ、『​​ブロークン・アロー』のサマンサ・マシスなど、ハリウッド映画熱最高潮の時に活躍していた俳優陣が多く出演していて、洋画を観る頻度が激減している今、とにかく懐かしかった。

この映画の原作は、アメリカの作家ルイーザ・メイ・オルコットの『小さな婦人たち(Little Women)』。マーチ家の長女のメグ、次女のジョー、3女ベス、4女エイミーの4姉妹の物語で、世界中で読まれながら幾度と映画化されてきた名作だ。私が子供の頃は一度は本で読んだし、テレビアニメシリース「世界名作劇場」で放映されていたので大変馴染みがあるが、今の若い人はどうなんだろうか?

舞台は19世紀後半のアメリカ。物語は、従軍する父の留守を守り慎ましく暮らす四姉妹の中の、小説家志望で男まさりの3女ジョーを中心に進む。隣人のローレンス家との交流や、姉妹喧嘩、3女ベスの病、やがて大人になった姉妹はそれぞれの道を歩み出すーー。

前述したように、何度も観たり聞いたりしているはずだが、ストーリーは四姉妹と隣にでてくるいい感じの男子・ローリーがいて、ジョーが作家志望、くらいのことしか覚えていなかったため、かなり真剣に見入った。

そして、半分子供であるジョーやローリーなどを見守りつつ、若かりし頃にはなかった、私自身の心の動きを感じた。

まず時代が気になった。日本でいうと明治?江戸末期くらいかな?(昔はほぼ子供なのでそんなこととはあまり深く考えず)それから、日本は先進国中ダントツの男尊女卑の国みたいになっているけど、この頃女性の権利が低く苦労しがちなのはどの国も一緒なのだなあなどと思う。

ローリーとの関係にはやきもきしたが、兄弟や家族のふれあいについては純粋に感動した。私はつい最近まで、自分が何をしたいかとか、どうなりたいとか、そういうことばかりに意識がいってどうも地に足がついていなかった。だがまさかの人生の折り返し地点直前(自分がそんな大人になるとは!)にきて、もしかして人生とはそうゆうことではないのでは?と思い始めていたところだ。そんな中年を迎えた故の心境の変化が、映画を観ていると、浮き彫りになった。仕事や趣味などに没頭したり自分自身の成長を目指すことも悪くはない。でも、本当に大事なのは家族をはじめとした人々と魂を込めて一瞬一瞬を生きてその喜怒哀楽を味わうことであり、何かを成すために生きているのではないのでは?そんな想いが胸に湧き上がった。

ちなみに、クリスチャン・ベールって、有名だけど、あれ〜誰だっけ?と映画観てる間中モヤモヤしていたのだけど、観終わってググってみてびっくり!いやーなんで気づかなかったんだろ? 好きな映画ダークナイトシリーズ(『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』)のクリスチャン・ベールじゃん!めちゃくちゃかっこよくてハマったのに、若すぎて、っていうか子供に見えるもんで気が付かなかったよ。ダークナイト観たのも、何年前だっけな……。年をとると年月が過ぎるのが本当に早い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?