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データが消える!論理と物理のマジカルバトル

 付き合いのあるSIerさんとシステムの保守作業の話をしていた中で「論理削除」と「物理削除」の話題が出ました。昔は自分もよくわからなかったなぁ、と思ったので、知らない方むけに自分なりにかみ砕いた例え話をしてみたいと思います。

マジカルストーリー

 ある時、手品師のAさんとBさんがいました。

今回、彼らは「登録されたデータを消す」という2つのマジックを披露してくれるようです。
 
 観客が期待に胸を膨らませて見守るなか、手品ショーが始まりました。

『まずはAさんの手品です!』

ワァーと観客が拍手で迎える中、舞台の上にAさんが手を振りながら登場します。

 Aさんは、データを取り出しました。

「皆さん、見てください!私は今からこのデータを消してみせましょう!」

 Aさんはデータに向かって手をかざし、呪文を唱えました。

「ロジカルデリート!」

すると、観客の目の前でデータがパッと消えて見えなくなりました。

「わぁ、データが消えた!」と観客達は驚いています。

そんな観客達の反応を見て、Aさんは微笑んで言いました。

「実はデータはまだここにあるんです。見えなくなっただけなんですよ?」

 彼は特別なマジシャン用のメガネを取り出しました。それを目の前の観客に渡します。渡された観客がメガネをかけると、なんとデータが再び見えるようになりました!

「見えますか?データはまだここにあるんです。必要ならいつでも取り出せますよ。」

 実に見事な論理削除の手品でした。メガネを通してデータの存在を確認した観客たちが惜しみない拍手を送ります。

 データは消えたように見えて実際には消えておらず、必要に応じて再び取り出すことができるのです。

『さて、次はBさんの手品です!』

Aさんの手品で盛り上がった会場では期待の眼差しをした観客達が拍手でBさんの登場を歓迎します。その中を、Bさんは大きな箱を持ってステージに現れました。

「今度は、私の手品でこのデータを完全に消してみせましょう!」

 彼はデータを箱の中に入れ、観客に見せます。

「今、この箱の中にデータがありますね?」

観客達が頷くのを確認すると、

Bさんはおもむろに背後から斧を取り出し、

その箱めがけて振り下ろしました。


「オラァ!」


こっぱみじんに弾け飛ぶ箱の残骸が観客席まで吹っ飛びます。

「オラァ!オラァ!オラァ!」

Bさんは執拗に斧を振り下ろし、やがて箱があった場所には何も残りませんでした。

静まり返る観客席。

Bさんは額にかいた汗を拭うと、観客席に向けて爽やかな笑顔を向けました。

まるでひと仕事を終えたような、スッキリとした表情のBさんが観客席に向かって両手を広げて叫びます。

「イリュージョン!」


 なんとBさんの手品によって、データは完全に消えてなくなってしまったのです!!

観客席では、きっとあまりにも見事な手品に萎縮してしまったのでしょう。データが消えてしまうというミラクルを眼の前で見てしまったため、ガタガタと震える人や、中には「ジーザス、、、」と神様に祈りを捧げる人もいます。

「、、、、で、で、データはどこに行ったの?」

そんな観客達の中、隣で震える人の手を握りしめながら最前席に居る観客の一人が、畏怖の眼差しで尋ねます。

その観客の質問を聞いたBさんは、斧を肩に担ぎなおし、実に晴れやかな笑顔で観客の方に目を向けました。

、、、照明のせいでしょうか?

心なしか青く見える観客の顔。

もしかしたら、空調が効きすぎているのかもしれません。

Bさんはそんな観客を気遣うため、できる限り口角を上げ、最上の笑顔を向けました。

複数の観客からヒュッという変な咳が聞こえ、中には寒さのあまり涙を流す人もいます。

やはり空調が効きすぎているようです。

「ふふふ、データはもう戻ってきません。私の魔術で完全に消えてしまいました。」

とBさんは満足げに言いお辞儀をします。

観客達はそのあまりの見事さに声もなく、拍手も忘れてしまったようですが、Bさんが場を和ませようと斧をスイングし始めたところで爆発的な拍手と絶叫にも似た歓声が沸き起こりました。

物理削除の手品はすごい!
データは完全に消え去り、二度と戻ってくることはありませんでした。

完。


というわけで、皆さんもこの例え話で、論理削除と物理削除の違いを学べたかと思います。

論理削除は手品のように見えなくするだけで、必要なら取り出せます。一方、物理削除はまるで魔法のように完全に消し去り、戻ることはないのです。

これからも論理削除と物理削除の魔法を上手に使い分けて、データ管理のマスターになりましょう!

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