コーチ物語・クライアントファイル7 愛する人へ その2
「その紳士って、ちょっとガタイのいいどこかの会社の重役って感じじゃなかったか?」
「私は直接見てないのよ。でも運転手付きの車に乗っていたらしいから、多分どこかの会社のエライ人じゃないかって言っていたけど」
「じゃぁ間違いねぇな。そういやこの前命日だったからな……」
「命日?」
ミクはオレの顔をのぞき込みながらそう言ってきた。
「あぁ、この話はちょいと複雑なんだが……」
オレはちょっとじらしを入れてみた。口説きたい女の子の興味を引くときのテクニックだ。
「ねぇ、もったいぶら