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小説 コーチ物語

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コーチングのコーチ、羽賀純一。 彼のもとには多くのクライアントがやってくる。 この物語は、羽賀コーチによってクライアントがどのように成長し、羽ばたいていくのかをクライアントの視点…
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2024年6月の記事一覧

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第2章 忍び寄る影 その1

「じゃぁ行ってきます」  そう言って夫の一樹はいつものように会社に出かけた。私はやっとつ…

古賀弘規
4か月前
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コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第1章 さよなら、羽賀コーチ その8

「羽賀さんっ」  私は思わず目の前の羽賀さんに抱きつき、そしてまぎれもなく羽賀さんがそこ…

古賀弘規
4か月前
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コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第1章 さよなら、羽賀コーチ その7

 斎場には、すでに多くの人が集まっていた。そんなに声をかけたつもりはなかったのに。人づて…

古賀弘規
4か月前

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第1章 さよなら、羽賀コーチ その6

「羽賀さんが生きてるって、どうして? 羽賀さんはあの飛行機に乗っていたのよ。そして、誰も…

古賀弘規
4か月前

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第1章 さよなら、羽賀コーチ その5

 私はどのくらい泣いたんだろう。泣いても泣いても、羽賀さんを失った悲しみの感情が奥底から…

古賀弘規
4か月前

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第1章 さよなら、羽賀コーチ その4

 羽賀さんの事務所には、今たくさんの人がいる。けれど、なぜだかとても静か。テレビの音だけ…

古賀弘規
4か月前

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第1章 さよなら、羽賀コーチ その3

「大丈夫、大丈夫よ。飛行機はちゃんと飛んでるって。何かちょっとアクシデントがあっただけだから」  ミクは私を慰めるようにそう言う。 「そうですよ。飛行機事故って自動車の事故よりも発生確率が低いって言いますから。そんなに大きな事故が起きるとは思えないですし」  トシくんもそう言う。けれど私の心のなかはおだやかじゃない。発生確率が低いからって、ゼロじゃないし。何年も前に起きた大きな航空機事故。あのときにも有名な人がその飛行機に乗って亡くなっている。私の頭の中にはその事故のことが思

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第1章 さよなら、羽賀コーチ その2

「やっほー、舞衣さん。きたよー」 「あ、ミク、いらっしゃい。トシくんは?」 「妹の百合さん…

古賀弘規
4か月前

コーチ物語 クライアント20「日本の危機」 第1章 さよなら、羽賀コーチ その1

<まえがき> 今回から長編シリーズとなります。 いつものように8話で1章の構成です。 章ご…

古賀弘規
4か月前
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コーチ物語 クライアント19「女神の休日」その8

 程なくしてしずちゃんがエターナルにやってきた。到着するなり、石井さんはしずちゃんに責め…

古賀弘規
4か月前

コーチ物語 クライアント19「女神の休日」その7

「顔見知りの女性、そういうことですか?」  石井さんが羽賀さんの言葉の続きを吐いた。羽賀…

古賀弘規
4か月前
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コーチ物語 クライアント19「女神の休日」その6

「そっか、そんなことがあったのか。しかし、一体どこの誰がはるみにそんなことを?」  翌日…

古賀弘規
4か月前

コーチ物語 クライアント19「女神の休日」その5

「ではリラックスして、この光をじっと見つめてください」  私は薄暗い部屋の中で、羽賀さん…

古賀弘規
4か月前

コーチ物語 クライアント19「女神の休日」その4

 翌日、私は朝一番で羽賀さんに連絡をとった。お昼には生放送の番組があるため、羽賀さんにあうのは夕方。エターナルで会う約束を取り付けて、私は仕事に向かった。  そしてお昼の生放送。私はいつものようにリクエストのメールやハガキに目を通しながら曲を紹介していく。ここでこんなメールが届いていたので、それを思わず読んでしまった。 「はるみさん、こんにちは。私、この前びっくりした体験をしたんです。私、というよりも私の友達のことなんですけど」  私はメールの文を先読みで目を通しながら言葉に