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百人一首28番/孤独の最果て

百人一首28番目の歌は、無彩色の厳しい寒さにいるお話。

突然だけど、私は宇宙🪐がとても好き。(それは科学的より運命論的に好き!)

宇宙の一部になるかのような満天の星を目指したのに、辿り着いたところがまるで孤独の最果てのような場所だった旅のお話です。

その時見た景色を歌番号28番の和歌で描き下ろしました。

ことばと絵で一千年前の「今」を謳う百人一首/28番

とにかく日本の端っこに行きたい!と思い、日本の北の最果て、知床を目指して旅へ出た。

その時に見た日本の北東の最果ての景色がと28番の和歌が重なり、そこで覚えた感情を描き下ろしました。

08番.歌の意味と解釈

No.28
山里は 冬ぞさびしさ まさりける人めも草も
かれぬと思へば

(源宗于朝臣 みなもとのむねゆきあそん)

▼歌意
山中の里はいつの季節でも寂しいけれど、冬にはその寂しさがいっそう身にしみて感じられることだよ。人の行き来も途絶えてしまい、草も木もすっかり枯れ果ててしまうかと思うと。

嵯峨嵐山文華館より

08番.狸オリジナルの解釈とことば

▼狸/オリジナル解釈

誰もいないナニかを確かめたくて
悲しみの果てに辿り着いた。
そこは魚も猫も、みーんな逃げ出してしまってね、草木も空も感情を置き去りにした跡地だった。
虚しく風が私の体をすり抜け
馴れ馴れしい静寂が来る


10月末にも関わらずマイナス3°を叩き出した知床は、ちょうど台風が来ていて冷たく凍るような厳しい寒さだった。

途中、せっかく北海道に来てるんだからここは美味しい海鮮だろうて!🐟と思い、漁港に寄ったら営業時間が終わっていたのか、そもそも潰れていたのか、広い海を前にそこには誰もいなくて、目の前には果てしない海と空だった。

その景色は綺麗とは程遠く、何の色も無いグレーの景色でできていて、ここまで寒ければ雪くらい降ってくれていいだろう、と思うほど冷たい風と怒り狂ったような波の音と、向こう側には島も国も何もない、一生海、というような景色だった。ああ、孤独の最果てに来てしまった。とその時感じた。

その時に見た景色をこの歌に乗せて絵を描いたものです。
(ポツンと佇む後ろ姿は、もちろん私です。)

途中で奇跡的にコンビニを見つけた時の安心感は半端なく、結果コンビニでジャンプでワンピースを読みいつでも食べれる豚まんを買い、いつでも飲めるホットコーヒーを飲みながら、日常のありがたさを感じた。
いかに毎日の日常を安心して過ごしているのか実感できた。(ありがとう、セブンイレブン)

その日泊まる宿は知床のアイヌの方のお家で、アイヌのおばあちゃんが伝統的なご飯を作ってくれた。
昔からアイヌという文化がいかに北海道で差別を受けてきたか、それを乗り越えてきた壮絶な話を聞かせてくれた。

星空は見えないし海は怒ってるし、アイヌの古から伝わる音楽がどうしてもその時の自分にすっと入ってこなかった感じとか、ひっくるめていい旅でした。

この景色を見ていなければ28番の歌のイラストはきっと変わっていたと思う。良くも悪くも、もっとたくさんの景色を見ていきたいなぁ。

狸(TANUKI POJRCT・Orie Tamura)

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