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フィリピン経済を支える在外フィリピン労働者(OFW)について

フィリピンの経済の基本情報として重要なのが、多くのフィリピン人が海外で働いている在外フィリピン人労働者(Overseas Filipino Worker, OFW)のこと。

在外フィリピン人労働者の歴史は古く1900年ごろはハワイなどで働いていたようです。その後1970年代には中東で働くフィリピン人が多く、日本にも1960年ごろからフィリピン人が働きにきていたようです。
OFWという言葉を使うようになったのは1995年からといわれています(ラモス政権時代)

今回はフィリピンのなかでOFWがフィリピンの経済においていかに重要であるかを調べてみました。
データはフィリピン統計局(PSA)からのものです。

フィリピン人口の約2%が在外フィリピン労働者

2020年の在外フィリピン人労働者は推定177万人でした。
新型コロナの影響もあり、2019年の218万人にから減っているようです。
この218万人というのはフィリピンの人口(約1.1億人)の約2%が在外フィリピン労働者ということになり、多くのフィリピン人が海外で活躍していることがよくわかります。

青いグラフがOFWなのですが、OCWという定義もあるようです。
OFW=OCW(労働許可証あり)+(労働契約なしの労働者)ということでしょうか

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在外フィリピン人労働者は女性が多い

2020年は女性OFWの割合は59.6%(106万人)男性は40.4%(70万人)が男性のOFW。2019年は218万人のOFWのうち55.4%が女性で44.6%が男性のようです。女性が多いけど、思ったほど女性労働者ばかりではない印象でした。

年齢別には若い世代が多い一方で、45歳以上の男性も多く、家族を養うために父親だけ海外で仕事をしているのかもしれませんね。

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OFWの多くが単純労働が多い


2020年のOFWの最大のシェア(46.7%)は、単純労働に従事しています。特に106万人の女性OFWのうち、7割が単純労働に従事し、12.6%がサービスおよび販売労働者でした。男性OFWは工場および機械関係(26.0%)、サービスおよび販売労働者(17.0%)が多いみたいです。専門職や管理職はそれほど多くはないみたいですが、それでも在外フィリピン人労働者の中にも専門職として活躍している人もいます。

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勤務先はサウジアラビア

8割以上がアジアで働いていていて、特にサウジアラビア続いてアラブ首長国連邦が多いようです。中東以外では香港(6.3%)やシンガポール(5.3%)で英語が使えるところが多いようですね。ヨーロッパで働くOFWは6.7%、アメリカ大陸、オーストラリアのOFWはそれぞれ5.2%と3.4%のようです。
日本はそれほど多くないみたいですね。

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2020年の送金額は1347.7億ペソ

2020年4月から9月の間にOFWが送った送金総額は1,347億7000万ペソ。
前年よりも減っているようですが、円にすると3,200億円が海外からフィリピンに入ってきます。いい加減な数字ですが、フィリピンのGDP(3,622億USドル)の8〜9%程度が在外フィリピン人労働者からの送金になるみたいです。

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ちなみに送金元別では日本からの送金は5番目です(2019年、ジェトロより)

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これらのデータを見るといかにフィリピンの経済にとって、在外フィリピン人労働者の役割が大きいことがわかります。
大切なOFWの権利を守るためにフィリピンでは国をあげて海外で働くフィリピン人を守る取り組みがあります。

これについては次回のnoteで。