ニューホライズン読解「1991年、夏~新たなる地平~」5

5回にわたりお届けしてきましたニューホライズン、ついに最終回です。 

皆様におかれましては、由美、健、マイク、ルーシーの4人の中1が織りなすこの淡く不安定な物語にお付き合いいただき、まことにありがとうございます。 

翻訳者として、心より御礼申しあげます。 

それでは、堂々の最終回。4人の恋の行方やいかに! 


レッスン13 

ついに、沈黙を守っていた(てゆうかみんなに忘れられてた)健が動き始める。 
そして、それは誰も予想だにできなかった展開へ…。 

そう、なんと健、由美が振り向いてくれないからか、ルーシーをデートに誘うという意外な行動に出たのだ。 

「ねぇルーシー、僕の叔母さんがさ、ある小さな町に住んでるんだよ。でさ、叔母さんちの近くにさ、マリンパークがあるんだ」 
「ハァ? マリンパーク?」 
「うん。そこにはさ、面白い動物がたくさんいるんだ~。ねぇねぇ、今度の日曜、一緒にいかない?」 
「…一緒に? …ええいいわ、いきましょう!」 
何をたくらんでいるんでしょうルーシー。 
健のデートの誘いを二つ返事で受諾。 
しかしこのデート、健の叔母さんの話から始まったが、叔母さんの話を出す意味がまったくありませんでした。 
中1らしいさりげなさの演出やね。 
ヒューヒュー。 

健の心境は「誰でもいいから付き合ってくれへんかな」モード。 
こだわりを棄てた男は強いぜ! 

そしてデート当日。 
「ワオ!あの大きな魚、めっちゃ跳んでるわ~」 
ルーシーご機嫌です。 
「うん。でもあれは魚じゃないんだよ。あれはシャチなんだ」 
健、得意気。 
てか、むっちゃ予習してきてますやん。 
中1の情熱、あなどれまへん。 

「ねぇ、もっと他にもクジラいないの?」 
「いるよ。あっちに面白いクジラがいるよ。行こう!」 
完全に事前に下見してきてますやん。 
こやつ本気だ! 

「クジラどこ?」 
「あの建物の中さ」 

「ごらん、ルーシー」 
「わぁ!水の中にマイクロフォンがあるわよ?」 
「ああ、クジラの会話が聞けるんだよ」 
「クジラの会話!?」 
「ああ、クジラは独自の言葉を持ってるんだ」 
「マジかー!」 


健の隙のない事前学習、事前調査により、デートは大成功。 
よかったよかった。 

健の中では、「こりゃ絶対フラグ立ったわ!」と、ウキウキ気分で帰宅。無理もない。 

でもルーシーにとっては、意外と面白かったなっていう程度。 

結局、健にとっては一世一代のデートでも、ルーシーにとっては友人と遊びに行ったというだけ。 

かわいそうに健、これからルーシーの何気ない一挙手一挙動を曲解して、思い出してニタニタしたりするんだ。 
ああ、非モテの哀しさよ! 


レッツリード2 

ついに最終ステージ。 

なんか色々あったけど、突然マイクがサンフランシスコに帰ることになったわけだ。 
ジャンプだと打ち切りの展開。 

かくして、複雑に絡まった4人の思惑を残し、マイクを乗せた飛行機は東の空へ消えていった。 


…そう、それぞれの想いを残して…。 
【由美】 
あーあ、行っちゃった。 
まあ、ルーシーに取られなかったんだし別にいいや。 
健ダセーし、またどっかでイケメンでも探そっと。 


【マイク】 
なんかイマイチうまく行かんかったな。 
まあいいや、俺イケメンやし、シスコでも女いっぱいおるし。 


【健】 
…マイクがいなくなるってことは…何!?俺の時代!? 
うわうーわ、どーしよー!! 
ルーシーもマブいけど、やっぱ由美もええなぁ。 
まあ、俺がどっち選ぶかはこれからの2人の頑張り次第やね。 


【ルーシー】 
マイク行っちゃったなぁ。 
健?誰それ。 



再びシスコで楽しい学校生活を送り始めたマイクから、健宛にお礼の手紙が届く。 
健宛というのが狡猾である。 


親愛なる健へ 

俺元気やし、みんなには適当によろしゅう言っといてや(意訳) 

マイクより 


この頃には、完全に由美もルーシーも自分のこと好いてると思ってる健。 
ああ、非モテの哀しさよ。 
そして健の妄想は暴走していく。永遠の夏に…。 


お・し・ま・い。

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