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青山高級焼肉で初老の恋を噛み締める【婚活放浪記】

飯田という男と出会った。
お見合いでのことである。


わたしはこう思っていた。

「自分ってなんでこんなにカワイイのに結婚できないワケ〜〜!!!?」

カワイイだけでなく小学生の頃お〜いお茶に俳句が載ったことがあるし、ご飯を絶対残さない。葉っぱで鼻をかんだりする
とにかく結婚を諦めるにはまだ早い

「足掻くか....」
初夏の夜空にわたしは誓ったのであった。

ちなみにわたしは今月初めに彼氏に浮気されて別れている!!!!なぜだー!!!!我が人生ーー!!!この星のすべてーーー!!!小学生の時の将来の夢はケーキ屋さんでしたーーーーー!!!!
ブイブイ✌️


さて。
そんなこんなで婚活をはじめ、まず出会ったのが飯田だった。



飯田が現れたのは荻窪の台湾料理屋だった。



以降記憶なし
笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑←自分のブログでこんなに笑ってる人初めて見た。

わたしはとにかく直情的なばかばかしい人間だ。星のようだ。
焼酎を2本空け、独自調査「上野熟年不倫蔓延説」を2時間解説してさっさと帰ったらしい。本当に星かと思った。

しかしまあ恐ろしいほどに上野の飲み屋は不倫カップだらけである。それも大体元カノと飲んでいる(聞き込み調査に基づくかなり信頼あるデータ)

みんなも是非上野に真の「エモ&エロ」を体感しに行ってほしい!今、上野がアツイ!引き続き要チェックだ。

あ、プライベートだからぼんやり見てるだけだけど
あなたたちの配偶者から依頼がきた日には全力で証拠をおさえさせていただきます!申し訳ないけど!


さて

そんなんだったので後日改めてお見合い第2回戦が開催されることになった。初回の内容を加味すると2回戦にもちこめただけでも脈アリといって差し支えないだろう。成婚成婚。

飯田は製造業に従事する33歳で、友達が紹介してくれた。
「平井という女を紹介する」という情報のみで荻窪まで御足労いただき、その女による上野熟年不倫考察を乗り越え、本日の青山の高級焼肉会合までたどり着いた猛者だった。

おっと1番大切な情報を忘れていたが飯田の好きなタイプは新垣結衣らしい。結構結構

飯田の第一印象は「飯田〜」ってかんじだった。
おそらく飯田もわたしのことを「平井〜」と思ったとおもう。


「焼肉久しぶりなんだ〜」

「わたしは焼肉とマックとラーメンしか食ってないです!」

「いいな〜〜」


取り急ぎ3000円くらいするバカのユッケを2分で完食して場の主導権を握っておいた。恐れ慄くがいい!飯田!お前はどこまで着いてこれるかな!フフフフフフフ

高い肉というのはハチャメチャデリシャスである反面すぐ胃もたれするという特徴がある。
わたしはバカのタン食べ比べのあたりでもう3年くらい肉いらないな〜と思っていた。その時だった。


「すいません!赤身盛り合わせで!」


飯田だ。
100キロ超ある飯田の肉体を前に高級焼肉などのりたまふりかけ程度の重みしかないのか....

と思いきや彼の箸は進まず、わたしのために頼んでくれたらしかった。凄まじい勢いとリアクションで肉を食い続けてたわたしに対する配慮だったのだろう。

これがIIDA SERVICEか...
人を見た目で判断した自分を恥じた。

「店変えましょう」

「あ、もうお肉大丈夫?いいよー」


そして我々は近くのバーに移動した。



お見合いに参加しているということは、飯田もわたしと同様に未婚ということだ。

「飯田はなんで結婚できないんですかね、後輩の女の子とかとも遊んでるんでしょ?」

「みんなきっと俺のことなんか恋愛対象じゃないんだよ....」

なんか知らん間にバッドに入っている飯田

「本当にそろそろ痩せなきゃな俺....」


違う!違うぞ飯田!!!!!!
男は見た目じゃなくて自信が全てなんだよ!!!!!

気付けば他に誰もいない小洒落たバーでボリューミーな男と声量のバグった女は熱く語り合っていた。


「思い出せ!自分を!自分という人間を見つめろ!!!」

「そんなこと言われても....」

「空っぽな自分に問いかけ続けろ!!!!」

「......俺、ミユちゃんのこと好きだわ」


そういって飯田が見せてくれたのは作業着姿で丸太を担ぎ、ふざけてポーズをとっている女の子の写真だった。


「後輩?」

「後輩」


ガッキー....とまではもちろんいかないんだけど確かにガッキー的な女の子だった。かわいい。そんなかわいいミユちゃんに惚れてる初老・飯田


「飯田!!!!!絶対これを聴け!!!!!」



そういってわたしは飯田に銀杏ボーイズメス豚を教えた。
これはわたしがいつも終電を逃して歩いて帰っている時に爆音で聴きながら泣いている曲だ。

女にフラれた日にゃ酒を呑み
素っ裸でゲロ吐いて歌いましょう
きらきらラブホのネオンが綺麗だな
そして僕はしょーもない
銀杏ボーイズ「メス豚」

↑縁起としては最悪だが最高に美しい名曲


「ありがとう....」


素直な飯田はしっかりApple Musicでお気に入りにいれていた

バーで頼んだチーズもチョコレートも全てわたしが食べた。そして今度は赤羽で飯田とルミちゃんと平井とどっかで拾ったゴミみたいな男と4人で飲もうという約束になった。

良い夜だった。


婚活放浪記はつづく

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