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超短編小説「黒い点」

こんな自分でも良かったのだろうか。私にはわからない。わかったとしても、それが正しいのかは、誰にもわからない。 窓から見える景色は、あまり良くなかった。くすんだ灰色の壁を備えている雑居ビルが並んでいるだけで、空も見えなければ、地上も見えない。閉塞的な眺めだ。 私は目線を黒板に戻した。眼鏡をかけた若い男が軽快な口ぶりで何かを説明している。何を話しているかに興味が湧くはずはなかった。その男は口をぱくぱく動かしながら、私の方に目をやって、口の動きを止めた。そうかと思うと、また口を

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