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生涯学習センターに出社している

朝九時に起きて、生涯学習センターにいく。そんな生活をこの二週間続けている。仕事がないと一日中部屋にいれるのだが、家にいるとロクなことをしない。Amazonで無駄な買い物をしたり、映画をみても集中力が続かなくて途中でやめたり、シークレットウィンドウに切り替えてみたり、いらん情報でただタブを重ねていくだけ。最初はカフェで作業をしていたが、一日中いるには居心地が悪くて、学習センターに落ち着いた。

ここには食堂もあって、たいていは660円のカレーか蕎麦かうどんを食べる、ときどき1000円のハンバーグや日替わりの定食も食べる。まいにち来ているから食券を渡すおばちゃんも僕のことを覚えたみたいで、wifiのパスワードの案内をしなくなった。職務経歴書を作ったり、事務作業をすることが多いのだけど、飽きてくると上の階の図書室に行く。通い始めて数日で気がついたこと、わりと同じひとたちがきている。新聞を広げて読んでいる白髪のナイスミドル、何やらレシピ本をノートに書き写す女性、自習机にオロナミンCを置いて勉強している男の子。僕がみんなを顔馴染みだと思うように、みんなも僕のことをそう思いはじめただろうか。たぶん「児童書エリアをぶらつくおじさん」として認識されている気がする。ややこい話に触れる気分じゃないので、子供向けの本を読んでいる。さいきんは梅雨の時期だからか、雨にまつわる本が並んでいる。

今日は「かさ」という絵本を読んだ。傘を持って父親を駅まで迎えにいく子どもの本、セリフはないけど女の子のワクワクが伝わる。傘を持って迎えにいく、親の忘れ物を会社に届ける、おつかいに行く。たしかに小さなころはそんな大人に貢献できるイベントがあると、妙な責任感が湧いてきてウキウキしたことを思い出した。こうして一時的に童心をとり戻したあと、下の階で現実と向き合い履歴書を書く。これが無職期間のルーティン。

自分がこどものときにはなかった絵本

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