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【小説】【童話】の記事

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小説・童話の記事をまとめました。
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#クリスマス

【小説】ふられて尚、単純につき 

 修一郎は、実に単純な男だ。故に、定職に就いていないにも関わらず、恋人と僅か二か月の交際で結婚を確信した。早とちりした報告は、親や友人に留まらなかった。バイト先でも得意満面に触れ回った。そして、交際開始からの日数を律儀に数え、百日目の記念日にプロポーズを決意したが、あまりにも虚しく、その五日前に別れを告げられた。  青天の霹靂の彼に、去りゆく恋人は言った。「女みたいにトイレが長すぎる男は嫌いなの」  翌々週の日曜日、クリスマスイブを迎えた。修一郎は、バイト先のシフト表を休み

【小説】僕たちの夢見たサンタクロース

 十九歳の春、双子の妹と半年ぶりにカフェで再会した。特に変わった様子はなく、韓流アイドルを真似たような化粧が気になる程度だった。  親元に先日帰った話をすると、妹は「去年のクリスマスイブに帰って、一晩泊まったよ。稔も来れば良かったのに」と笑った。そして、上品な白い器の写真を見せてくれた。 「サンタさんからの贈り物」 「手作りかな?」 「きっとね。大事に使うつもり」  僕はどこかすっきりした顔の妹を感慨深く見て、クリスマスの思い出を幼少期から振り返った。  八歳の冬、学校から

【小説】道楽サンタのいない家

「大変申し訳ないんだけど、真白を少し預かってほしい」  紅を差した口元がそう言い残して、妹は行方を晦ました。悪趣味な毛皮のコートを着て、足元は赤いハイヒールだった。からりと晴れた十一月二十三日のことで、音信不通のまま、もうじき一ヶ月になる。実に嘆かわしい理由に違いなく、恐らく新しい男ができたのだ。何か事件に巻き込まれたとしても自業自得に他ならない。誰が同情するものか。野垂れ死んでしまえ。  けれど、真白のことを考えると、どうにか改心して、良き母親に生まれ変わってほしいと願う。