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お寒い懐具合の秀雄は、齢三十五にして、おばあちゃんにお年玉を貰うことにした。 本来であれば、松の内の七日か十五日までだろう。また、二十日であれば、「はつ」という音韻に正月らしさがあるだろう。だが、その日は新年明けて二十一日である。 適切な年齢と時期を過ぎて尚、まだ間に合う、という理屈は秀雄にしか分からない。 まず、詐欺師のような言い回しで電話を掛けた。 「僕僕、僕だけど」 「秀雄ちゃんかい?」 「そうそう。今日のお昼頃、家にいる?」 「久しぶりだねえ。来るのかい?」