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幼時から私は、良く女の子に見間違えられた。さらさらした栗色の髪と色艶の良い肌は生まれながらで、稀に見る美男子だと持て囃されたけれど、学校生活における男女の切り分けに違和感を覚えた。ピンク、白、紫を好み、可愛らしい女の子の服を着てみたいと思った。腕白に外で遊ぼうとせず、ままごとに興じることが多かった。恋と呼べるのか分からないけれど、小学二年生の時、或る若い男の先生が好きだった。 先天的に私の心は女なのか。実は疑念を抱いている。 その好きだった先生に、性的な悪戯をされた。卑
日当たりのない窓際で見上げた天井は、僕の脳内を映し出したように白くのっぺりとしている。埋め込まれた空調は、節電のためにまだ稼働していない。外は清々しく晴れているというのに、薄ら寒い空気がだだっ広い室内を覆っている。古今東西の膨大な本と、紙を閉じた青いファイルが整然と並んでいる。ここは僕の左遷先、北側にしか窓がない研究資料室である。 数冊積み上げた本のてっぺんに、朝貰った光沢のある柿を逆さに一つ置いてみた。深緑の平たい蔕が底になり、ほっとする太陽のような暖色であるが、その子