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【ブロマガ】ぼくらの「無限大記念日」 (1984年のUWF)

*ブロマガより転載 2017-02-14 16:50

UWF(ユー・ダブリュー・エフ)は、日本のプロレス団体。正式名称はユニバーサル・レスリング・フェデレーション、ユニバーサル・レスリング連盟。設立時期により第1次と第2次に分かれる。(中略) これらUWFの思想から派生したプロレス団体と格闘技団体を総称してUWF系と呼ぶ。略称はU系

1982年、小学3年生になったばかりの私は、ある日たまたまブラウン管越しに見かけたある選手の一挙手一投足に釘づけになりました。

の名も「タイガーマスク」。
四次元殺法と呼ばれたリング内外を縦横無尽に駆け回るファイトスタイルにすっかり魅せられた少年時代の私は一瞬でタイガーとプロレスの大ファンになりました。毎週のTV中継を楽しみに観るだけでは飽き足らず、近所の書店で専門誌を立ち読みし、学校の休み時間にはプロレスごっこに励むという正統派プロレス少年に変貌していきました。
しかし幸福な時間も束の間、ある日突然タイガーは引退してしまいました…

大きな喪失感に見舞われつつプロレスファンは続けていましたが、小学校も高学年にもなると「プロレスなんて八百長だろ?」「あんなヤラセのどこが面白いの?」といった誹謗中傷を周囲から浴びることになります。たしかにファンの私から見ても「なんでロープに振られたら必ず戻ってくるの?」とか「相手の攻撃態勢が整うまで必死で間をつないでいるのはどうして?」とか「馬場は(以下省略)」といった何故の嵐を実感する事が増え、以前ほど熱中してプロレスを見ることが出来なくなっていました。

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そんな時に新団体「ユニバーサルプロレス」が旗揚げ。後楽園ホールで行われる興行「無限大記念日」にザ・タイガー(大人の事情でタイガーマスクから改名)が参戦!!

UWF無限大記念日(ユー・ダブリュー・エフむげんだいきねんび)は、1984年7月23日と24日にUWFが後楽園ホールで開催したプロレス興行。
(中略)
新日本プロレスを引退した佐山聡がザ・タイガーとして354日ぶりの復帰試合になった。タイガーは当時インストラクターとして同じくタイガージムに所属し、共に新格闘技を模索していた山崎一夫を引き連れての参戦だった。
新日本プロレスから移籍した藤原喜明、高田伸彦のUWF移籍後初の試合が行われた。これにより前田日明とのカール・ゴッチイズムを引き継ぐストロングスタイルの陣容が揃った。
(中略)
第6試合 タッグマッチ 時間無制限1本勝負
前田日明 & 藤原喜明 ○(16:24 原爆固め)ザ・タイガー(タイガージム所属)& 高田伸彦 ×

弱小団体ゆえTV放映はなく、専門誌に載った写真と観戦記、試合レポートを食い入るように見つめるだけでしたが、試合をしているタイガーの姿を見られるだけで満足でした。
そして何よりも、タイガーをはじめUWFのメンバーが標榜する「カール・ゴッチ流ストロングスタイル」「シュート・レスリング」といったリアルファイト志向のスタイルに傾倒していくようになりました。

リング上で行われる試合内容はどんどん過激になりいわゆるプロレス技はほとんど使われなくなり、ルールを整備し3カウントフォールも撤廃され、キックと関節技の攻防に終始する展開に変貌していきました。しかし新格闘技を作ろうというタイガーの思いが着々と具現化される一方で、他のレスラーは所謂キャッチアズキャッチキャン、派手なパフォーマンスやギミックのない力と技で見せる古き良きプロレスの原点に戻りたかったわけであり、双方の方向性に違いが見え始めました。
結局、タイガーがUWFを離れ、残りのメンバーは新日本プロレスと業務提携という形で古巣に戻る事になり、私はプロレスファンをやめました。小学6年生の時でした。

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結局私は高校時代にプロレスファンに復帰し、超世代軍や闘魂三銃士、そしてUWFから分岐したリングスを応援し、その後総合格闘技の熱心な観客を経て、今ではたまにTVでプロレスを見るくらいのライトファンに落ち着いています。

先日、文芸春秋社から「1984年のUWF」が出版されました。さっそく手に取って読みました。
多くはすでに見聞きした内容でしたが、早々にプロレス界から一線を引いた天才レスラー佐山聡を軸にUWFの歴史とその社会的意義が描かれており、プロレスに熱狂し裏切られ失望した純粋なプロレス少年だった当時が懐かしく蘇ってきました。

『おちこんだりもしたけれど、私はげんきです 』

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【追記】
願わくば外伝で「1993年の船木誠勝と鈴木みのる」「1995年の田村潔司と桜庭和志」も読んでみたい。
プロレス団体で初めて本格的にリアルファイトに取り組んだパンクラスと、新日とグレーシーにボロボロにされた「U」を背負い総合格闘技のリングに出撃した元Uインター勢。

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