心臓が止まる話

もう、2ヶ月半なのか、まだ2ヶ月半なのかはよくわからないけど、5歳の息子がろくちゃんと名付けてくれたお腹の子は、生きるのをそっとやめていた。9週目でしっかりと大きくなっていて、ワクワクして病院に行ったから、自分の気持ちだけがどっかにぽっかりと行っちゃったみたいになった10月の終わり。

生きるのをそっとやめちゃったろくちゃんをお腹にとどめたままの1週間はつらかった。怖いし、お腹のろくちゃんのことを全然愛おしく思えないし、そんな自分のことがすごく嫌な気持ちですごしていた。でも、お酒はなんとなく飲めない私がいた。

手術は、始まりはなんとなく意識があったけど、先生がカチャカチャし始めたくらいで、自分が叫んでるような感覚とともに、どこか深いところへ落ちていった。そんな中で終わった。

その後数日はお腹の痛みと、なんだかとんでもないことをしちゃったのではないか、という不思議な気持ちとですごしたけど、残ったのは、お腹にろくちゃんがきてくれた、けど、気まぐれな子だった、という物語みたいな気分と、息子が兄弟ができるのとても楽しみにするという知らなかった事実と、そのおかげで、前向きになれた私と夫。

また、気が向いたら戻っておいで、ろくちゃん。

ろくちゃんのことを残せる場があってよかった。

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