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「よかったね」しか言わないおばあちゃん。


私には一人で暮らすおばあちゃんがいる。

コロナが広がってから1ヶ月間、誰にも会わずに暮らしていると聞いて、元気付けようと電話をかけた。

「大変なことになっちゃったね〜」

そう私が言うと、おばあちゃんは「そうやね〜」と言いつつ、答えた。

「でも、家で仕事ができるのはよかったね。ありがたいことやねえ。良いところに勤めたねえ。」

リモートワーク、ちょっと疲れてた。
人に会えなくて、ちょっと寂しくなってた。
でも、おばあちゃんの言葉で、わたしは恵まれてるんだな、って気づいた。

「外国行ってたら、もっと大変なことになってたから、よかったね〜」

おばあちゃんの「よかったね」攻撃は続いた。


おばあちゃんは、宅配サービスで買い物に行かなくても良いから、ずっと家でゆっくりしてるらしい。でも、頭はボケないように、数独したり、トランプで一人遊びしたりしてるらしい。数独は難しいのをやると疲れるから、簡単なのをやって楽しんでるらしい。

なんだか、元気そうだった。


電話の最後、おばあちゃんが言った。

「またいつか会える日が来るのを楽しみにしてます」

普通な言葉なのだけど、なんだかちょっと、こころに響いた。


元気付けようと電話をした。
でも、元気をもらったのは、私だった。


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思ってみれば、私の母も、すぐに「よかったね」と言う。
辛いことがあっても、楽しいことがあっても、いつでも「よかったね」と言う。よかったところを探す名人みたいだ。

そして、口に出すだけじゃなくて、心の底から「よかった」って思ってる。簡単そうで、実は難しくて、でも大切なことなんじゃないかなって思った。

「よくない」ことがたくさん起こる人生の中で、「よかった」ことをたくさん見つけて、毎日ぽかぽか生きていきたい。

おばあちゃん、ありがとう。
電話してよかった。

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