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Mトーナメント 白鳥翔プロがデスゲームにおける「安置なし」を示す重責をすでに果たしている話

こんばんは。
場末フリー雀荘出身の田ノ倉です。

今年もMトーナメントが始まりました。

まだA卓しか全部は見てませんが、
A卓でもB卓にも出場しないにも関わらずすでに大きな存在感を放っているプロがいます。

去年のMトーナメントで最も重要な功績を残した男、
我らが白鳥翔プロです。


今年のMトーナメントも、出場人数こそ増えましたが、
基本的なルールは一緒で、
「2半荘行い、合計ポイント上位2名が勝ち抜け」
というものです。

ということは、必然的にトップの恩恵が大きいMリーグルールにおいて、
初戦でトップを取るとかなりの確率で勝ち抜けできる、
というのが通説です。

とくに去年のMトーナメントでは、
園田プロだったか誰だったかが計算した結果、
初戦でトップとれば98%だったかそれくらいの確率で通過できると。

そんな話がけっこう話題になってました。


しかし今年は違います。

すでに去年、初戦でトップを取るも、
勝ち抜けできないという実績を残したプロがいるからです。

それが白鳥翔プロです。

(厳密には奈良プロもトップ取って通過できなかったという実績があるのですが、
これは二戦目がトップだったにも関わらず、素点が足りずに通過できなかった、
というやつです。
選手心理として、こっちはちょっと意味合いが違うんですよね。)


こういうのって、誰もがまず一番手でやらかしたくない、
という気持ちが強いと思うんですが、
これだけ高確率で通過できると言われていた状況だと、
去年までは
「初戦トップ取って落ちるのは嫌だけど、まあ、言ってもよっぽどのことがないとそんなことないっしょ」
くらいの気持ちを抱けていた部分があるかもしれません。

しかし、今年は違います。

すでに犠牲者が出ているのです。

「ありえない」
と思っていたことが現実になっているのです。

しかも、若手のプロがやらかしたとかそういう話ではありません。
ヤンチャな攻め屋がお気楽リーチを打って大三元に打ったとかそういうことでもありません。

かなりのベテランで、大崩れしなそうな白鳥翔プロが犠牲者だったということに意味があります。


ぼくはフィクションであっても意味なく人がしぬような展開はいかがなものかと思う派ですが、
デスゲームというのはどうしても最初に最低ひとりは被害者が必要です。

登場人物が全員必死になって勝負をする必然性を出しやすいからです。

今回、デスゲームものにおける最初の被害者および、
そのゲームにおける
「安置なし」
を象徴的に示すような役割を同時に担っているのが、
去年の白鳥翔プロの初戦トップからの敗退なのだと思います。

ちなみに「安置」というのは、よくシューティングゲームやアクションゲームで使われますが、
敵の攻撃やギミックが一切当たらない安全地帯のことです。

そこに留まることで、先に進むことはできませんが、
とりあえず敵にやられることはない、
という場所です。


・・・・意味わかんねーよって声が多数聞こえてきそうですが、
例えば、デスゲームで東大のアメフト部キャプテン、
要はわかりやすく頭脳も肉体もハイスペック、
みたいな登場人物が、
「ルール説明では“鬼は建物内をランダムに巡回する”と言っていた・・・・
つまり、建物の外であるここに留まれば、鬼を倒すことはできないが鬼に殺されることはないのさ」
とかいいながら颯爽と建物の外の物陰に身を潜め作戦を練り始める。

しかし突然胸を撃ち抜かれ、
「鬼がライフル持ってるなんて・・・聞いてねえぞ・・」
とか言いながら絶命する。

この1シーンだけで、
「このデスゲームは本当に命を奪われる」
「このデスゲームに安置はない」
ということが登場人物に伝わり、
全力かつ安置を求めず積極的にゲームに参加する必然性が生まれます。

ここでやられちゃう人は、完全なモブではだめなんです。

ある程度スペックが高そうな人がやられちゃうことに意味があり、
危機感を生み出すわけです。


Mトーナメントにおいて、昨年、白鳥翔プロはこの役目を見事に果たしました。

おかげで、今年は予選A卓の段階から、初戦トップをとった選手にもかなりの緊迫感があった印象です。
というか、むしろトップ取った人が一番緊張するまでありそうです。

A卓で初戦トップだった滝沢プロもインタビューでお話されてましたが、
トップとった人は選択肢が多い分迷いますし、点数状況的には有利かもしれませんが、
メンタル的にはかなり負荷がかかることになりそうです。

得てして
「初戦トップ者が2戦目は悠々自適にのらりくらりと立ち回って勝ち残り」
という展開一辺倒になりやすいシステムではあるのです。

しかし去年の白鳥プロの犠牲により、
“1戦目トップなど安置ではない”
という意識が各選手のメンタルに刻まれているため、
どこかで攻め手を入れてきたり、マンネリな展開が打破される要因となりそうです。


さらに良かったことは、去年の犠牲者が「実力はあるけどイジりづらいプロ」だと駄目なのです。

選手だけでなく視聴者にもこの緊迫感を伝えるには、
実況者、とくに日吉プロがこれを擦り続ける必要があります。
「あの白鳥プロが去年、初戦トップで通過できなかったんですよ!」
って。

また、今年のA卓トップ通過だった滝沢プロがインタビューで白鳥プロの名前を出していたように、
選手間でもあの事件を槍玉にあげてプレッシャーを掛け合うことができます。

これがもし去年、同じ目に遭ったプロが白鳥プロではなく、
ちょっとあんまりイジりづらいな、
という印象のあるプロだったらどうでしょう。

せっかくの犠牲を今年十分に活かすことができず、
1戦目トップ者のプレッシャーがうまく視聴者側にも共有されず、
2戦目は誰が二人目の通過者となるのか?
というだけがメインの見どころとなってしまったでしょう。



さて、そんな白鳥プロですが、
今年はさっそく予選C卓に登場します。

勝ち抜いていただきたいのは当然として、
もちろんここは全力で初戦トップでお願いしたいところです。

初戦トップをとった白鳥プロが、
昨年の悪夢を払拭して無事に通過できるのか。

こんな展開なら、
これまでにない最もスリリングかつエキサイティングな観戦体験が約束されているようなものです。
白鳥プロファンなら垂涎もの、そうでない方でも満足いただける対局となることでしょう。

白鳥プロが勝ち進む限り、こんな対局が今後何回も見られると思うとたまりませんね。

ということで、今年はまず白鳥プロの初戦トップを心から期待してやみません。

そして、結果的に去年最もMトーナメントに貢献したと個人的に思う白鳥プロの今年の快進撃を期待するばかりです。

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