たのしぃの断罪室2ネタバレあり考察〜「容認」のフロア編〜【オタク長文感想文】

断罪室2「容認」のフロア考察

マリーゴールドの部屋

まずは加害者、海斗くんの考察。
「あの女」と「俺たち」で隔てられる家族関係が海斗くんの中であったのではないかなと思いました。あの女に人生めちゃくちゃにされている俺たち家族、という絆を信じていたからこそ、父親が亡くなり、弟が外に新たな拠り所を作ろうとしたことに我慢の限界が来たのではないかと思います。あの女と俺だけが残されてこの先もずっと生きていくなんてありえねぇ!みたいな。
海斗くんからの、逃げればいいのか?離れればよかったのか?という印象的な問いかけがありましたが、あそこから海斗が心理的に母親に対してある種の依存状態であったのではないか?と読み取りました。人間の心理傾向として、自分がコストをかけたものからは離れ難くなってしまうというものがあります。
例えば、200連天井のソシャゲのガチャを予算を決めて100連分回したけれど出ず、ここまでの100連分がもったいないから残り100連分予算を超えて回してしまう…みたいなね!あるある!
ここで言う課金が、海斗にとって母親に台無しにされた人生の時間や金銭面の苦労であるということです。今逃げれば、これまでの自分の苦労が報われないから殺すときまで離れない、という依存的な思考に陥っていると感じました。
配信している時も感じましたが、海斗くんは復讐心や怒りを拠り所にして生きている印象があるので、その後の人生にも諦念がありそうで心配になってしまいました。
外の人間関係とも繋がりがありそうな弟が、怒りに代わる拠り所を提供し、対話でカウンセリングできないものかな?と思いましたが、彼は弟にも怒りの矛先を向けたようです。
つづいて、被害者側の空木陸くん。
個人的にいけ好かないですねぇ。私はタラレバを好みませんので、2人とも救いたかったよ!って言っても実際に救おうとする行動を起こしたのか?と思って。
何でそうなっちゃったんだよ…。って言ってる時点で、母と兄の現状ちゃんと見れてなかったんじゃない?本当に2人で母親を守ってきたのか?外で遊び歩いてなかったか?彼女とどこで出会った?と、ほぼイチャモンみたいな考察しか出てきません。すみません。何か双子だけど負担が非対称的だったんじゃないかという印象を受けてしまいました。海斗くんに少しでもこの先に良い未来があると行動で示したのか?って疑問に思うことも多く…。口だけではどうとでも言えると思わせてしまったので殺されてしまったのでは…?と。
海斗くんが、釈放後すぐに陸くんを殺しに向かったのか、対話しようとした中で殺してしまったのかが大変気になります。

ラベンダーの部屋

それぞれの言い分が噛み合わないように聞こえるものの、2人の相互関係が生まれることによって加害者側の発言の解釈が変わるような印象があるラベンダーの部屋のお話をしていきましょう。
まずは、司坂ちゃんの考察から。やはり、子供が周りは誰も悪くない、自分が悪いんだ。という主張をしているのを見ると、胸が苦しくなります。子供が理不尽を受けてまで謝るべきことなんてないと思っているので。と同時に、虐待事件の被害にあっている子供もこういう主張をすることが多いという話を連想させます。
釈放しないパターンのエンディングを見ても、やはり司坂ちゃんは被虐待児であったのではないかと思います。長女であると明記されているので、もしかしたら下の子は贔屓をされて、司坂ちゃん自身はネグレクトされているような状況だったのかもしれないな。というような想像もできますね。再婚後の連れ子が邪険に扱われるといった事例も耳にしますし。しかし、一人っ子も長女と言ったりしますので、これは考察というより深読みです。
なぜ、司坂ちゃんがどんな虐待をされていたか深読みしてしまうかというと、私の考察では坂木のおじさんが司坂ちゃんを助けるべき子供と認識して突き動かされるまでの動機がある方が納得できるなと感じたからです。
では、坂木のおじさんの方の考察をして参りましょう。
誰でもよかった。とは言っていますが、殺す家族を選ばなかったとは言ってないんですよね…。
さて、最初に坂木おじさんの主張を聞いて、仕事も人間関係も上手くいかないという文脈の中に、暴力を振るう父と心中を迫る母の話が入っていることに個人的に引っかかりました。正直この一文がなくても話が繋がるのに、この一文が入っていることには意味があるに違いないと私は妄信してます。
坂木さんの中には今の上手くいかない自分の根っこに、理不尽に晒された幼少期の自分がいるという意識があるのではないでしょうか。
そう思って後半の主張を聞いていると、守ってくれる人、味方してくれる人、寄り添ってくれる人がいなかった自分、それに重なる子供と出会ってしまったら?集団のイジメには1人では立ち向かえないこと、それを知っている坂木さんは、そんな子供を1人にしておけるのでしょうか?
大きな事件を起こして死刑になることが本当の目的?自分と重なる、寄り添ってあげたいと思う、そんな子供に出会ってしまったんじゃないのですか?と思ってしまいます。
坂木のおじさん本人は、まるで司坂ちゃんのことは無いもののような物言いですが、虐待を受けてまで自分だけが悪いのだと思っている子供が、突然に家族を奪われれば、まず奪った相手を恨むはずです。
そうではなく、おじさんは私を助けてくれた。と感じるということは、おじさんと司坂ちゃんは面識があり、司坂ちゃんが助けられるべき子供であるということを司坂ちゃん自身に納得させたのもおじさんなのではないかと思ってしまう。君は悪くない、君の置かれている状況は理不尽なものだ、おじさんが助けるから待っていなさい。というようなやり取りがあったかもしれないとニヤニヤしたいです。
釈放エンドは二人逃避行エンドだと思ってます。日本社会の法に負けずに、できるだけ長く束の間の幸せを味わってくれないかなー。

カンパニュラの部屋

カンパニュラの部屋は加害者片側の主張だけでは、釈放エンドの印象が違いすぎて、他の方の配信見てよかった思いました。
まず、神田くんの主張を聞いて、明らかに復讐による殺人が向いてない性格だなという印象を持ちました。自分の恨みだけで突き進むのではなく、相手方の友好関係に想像力を働かせてしまえば、自分も痛みを受けたからこそ相手方の痛みがしっかりと想像できて壊れてしまうと思います。というか神田さんはもう壊れてると思いました。自分の正しさも相手方の間違いもどちらも信じきれないということは、自分の軸を失っているということなので、大変可哀想です。
しかし、この主張だけを聞いたあとに釈放エンドの無差別殺傷を突きつけられると、あまりに突飛すぎて頭にハテナが浮かびまくりました。殊勝な態度は釈放のための演技というやばい奴だったとしても、そんな突飛な描き方する???と思ってしまいました。
しかし、吉岡さんが、松田さんという明確な敵を挟んでいるおかげか、神田さんや自分たちの周りに対してとてもフラットに語ってくれていたので、情報として信用しようという気持ちになり、そのお話を聞いたら、想像の域を出ないものではあるものの、神田さんの突飛な無差別殺傷に自分の中で納得のいく理由付けをすることができました。ので聞いてください。
松田さんから聞かされたことが嘘であること、大切な人だった夢の方こそがイジメをしていた側だったこと、自分が殺した相手のあかねは何も悪いことをしていなかったこと、そんな真実を吉岡から告げられた神田は、元々ぶっ壊れてしまっていたのに、人間不信と疑心暗鬼に陥り吉岡もろとも無差別殺傷。という想像をしてみました。これは考察というよりあくまで想像です。
ここで出てくる松田ってさ…。

ともあれ、容認のフロアの考察語り、聞いて頂きありがとうございましたー!

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