【舞台断罪室】運営陣各人への感想と、上司の威圧の感想⚠️ネタバレあります⚠️【オタク長文感想文】

生で砂田役の小林さんを拝みたかったのと、断罪室のゲームでは七原深井の部屋が好きなので、いぬくん。こと栗田樹さんの、威圧的なパワハラ上司役が観たいなって思ってこの日程を選びました。そして、そのチョイスが思いのほか自分自身に刺さってしまったのでした。

開幕というか、開幕の前から断罪室だー。となってました。ちゃんと観客席の断罪人が窓に隔てられていると分かるセット、断罪室の異空間っぽさを感じる花の配置や細かい装飾。セット作った方々もすごい。リスペクトとセンスを感じました。

管理人さんすごかったですね、なんかデカいし花だし。第一声を聞いた感想は「天秤に声が付いてたらこういう声なんだろうな。」です。なんか、中立で、私情が無さそうで、淡々と物事が進むべき方へ、決まった事象に対処していきそうな雰囲気がありました。所作もピンとしてた、茎が1本通ってた。異形頭らしく表情が見えない不気味さと、佐竹さんのこちらに働きかけてくる振る舞い一つ一つに釘付けになってしまいました。

砂田さんは、ほのぼのパートでの優しさや可愛らしさ、システムに従い仕事をこなすときの凛々しさや強さ、どの部分を切り取っても砂田さんとしての美しさに溢れていて、間近で砂田さんとしての小林未往さんのお芝居を見ることが出来て良かったなと思いました。入り込み方か尋常じゃないんですよね。とくに、土屋さんに向かうときに感情の機微がすごく伝わってきて、一つ一つの表現に感動しっぱなしでした。

土屋さんは、すごくずるいですよね。主人公だ。
演技が入れ子構造になりまくってて最高でした。彼が本当にシリアルキラーだったとは…。断罪室2をプレイした後だったので、ヒヤッとしました。サイコパスの割には共感性はあるように見えますが、サイコパス特有の犯行の規則性が見られて、土屋がどんなやつなのか一層分からなくなりました。それを分からなくさせるくらいに、二面性を上手くだしている吉川さん、めちゃくちゃお芝居が上手いというかテクいというか。圧巻でした。土屋は一生を断罪室に縛られているのか…断罪室2の土屋はそういうことなのか…。あの葛藤を抱えながら生きているのか。その前提でシリアルキラーの役させてるの鬼じゃん。可哀想is可愛いですね。

上司の威圧は、4月から社会人になるという所で観るにはハードでした。そして、自分でも実際観るまでは思っていなかったのですが、阿江という人物に自分を重ねる点が多くあり、断罪室に触れてきた中ではじめての感覚、ガチガチの自己投影をしてしまいました。後半の方めちゃくちゃ脂汗出たし泣きました。
配信とかTwitterの人様に見せる用のたのしぃをご覧の皆様は、阿江とたのしぃがあまり結びつかないと思うので、私が阿江の何に共感し自分を重ねたのかのお話がしたいです。考察なんぞ出来ないくらいに、感想がそれに尽きるので。

阿江は、パワハラ上司として断罪室に呼ばれるのですが、とにかく仕事に対して厳しく、結果と行動のどちらもを求めています。
そして、印象的なのが彼の使う言葉です。横文字ビジネス用語です。とっつきにくいんですよねぇ。でも変換さえすれば、仕事に対して言葉を尽くして指示を出しているなと思ったのです。露枝くんが、横文字の威圧感そのものに拒否反応を示しているのが切なかった。

そして、私が嫌に共感してしまったことの一つ目が、阿江さんが言葉に関して相手に求める内容です。阿江さんの中では、自分が使うビジネス用語は社会人であれば分かっていて当然の語彙で、その中で言葉を尽くしている。というような印象でした。そして、相手にも言葉を尽くすよう、具体性を持たせるよう求めているように見えました。頑張りますって具体的にどう?と、言葉による提示を求めているところですね。察するんじゃなく、明確に言葉にするよう求めているところが、私の大事にしている部分と重なりました。自分も言葉を尽くそうとする分、相手にも言葉で示してもらわないと伝わらないと思ってしまうのです。前に家族と議論になったときに、パワハラみたいに次から次に言葉を捲し立てるのやめて。と言われたのを思い出しました。自分の中では言葉を尽くして主張しているのが、相手には責め立てているように聞こえるらしいのです。これは悪気が無いので気をつけなきゃならんと意識していることでもあります。あと、自分の語彙によがりがちになる所も悪いと分かりつつ共感しました。露枝くんに対して、ビジネス用語が分からないなら調べれば良いし、その方が勉強にもなるだろうと思ってしまう自分がいました。

二つ目は、相手に結果を示すか行動を見せてくれることを求めてしまう点です。私自身、物事を客観視するタイプなので、目に見える部分や相手に伝わっている部分こそが、意味のある部分だと思いがちで、相手が抱える過程や感情に対してあまり考えを巡らせないことが多いです。露枝くんを見ていて、実際に失敗を重ねているし、結果を見せてないのに、過程を見てくれないからパワハラってなんなんだ?と思ってしまいました。露枝くんに対して阿江がする反論に、疑問が無さすぎて逆に怖かったです。私がそりゃそうだろうって思う反論に、他の誰かは加害性を感じているんだろうなって思ったので。

三つ目は、自分でやった方が手っ取り早いという結論に至りがちなところ。です。たぶん露枝くんは、先輩たちの資料のテンプレを使っていても数値を入れ間違えてるところを見るに、ケアレスミスが多かったり、同じミスを繰り返していたんだと思うんですけど、これを繰り返されたり締切ギリギリでされると、結局自分がやらなきゃとか、自分がやった方が楽って思ってやっちゃいます。阿江さんは、仕事に追われていたし、仕事を仕上げるという責任感があったから、露枝くんのミスを注意しつつ、結局自分でやってしまっているんだなって思います。本人からも、それで損をしているように感じていそうな言動があったし、露枝くんもそれをされて自分が無能と言われてるような気分になるし、突き放されているように感じるだろうし、お互いにとって良くない選択なんだろうなと思います。でも、それをせざるを得ない、仕事に追われているという環境が悪いのであって、阿江さんに同情してしまいました。

四つ目が、感情が伝わりにくいというところです。
私自身、第一印象が近寄り難い、と言われることの方が多かった人生です。今でこそマシになってきてますが。なので、阿江さんを見ていると雰囲気と態度で損をしているよなぁと感じます。ビジネス用語を使い続けるのだって、ミスを見つけたときに本人に伝えるのだって、本当にこれ以上学ばない奴だと思っている相手にはしないと思うのです。それでも、雰囲気が威圧的だから、ビジネス用語も高圧的に受け取られ、ミスを指摘するのもただ攻撃に受け取られているのが、切なくて仕方なかったです。実際阿江さんが露枝くんを怒鳴ったりしてるのも当然悪いんですけど、言動を見ていて感じた部分では、それも仕事に追われている環境でさえなければ、理不尽に怒鳴ったりイチャモンをつけたりするような人間には思えませんでした。阿江も忙しかったら余裕が無くなるし、部下の尻拭いばっかりしてるような気持ちに苛立つでしょう、露枝が僕だって人間だ!って言っていたように、阿江だって人間だから。

ここまで見てきて私はどうしても、理不尽を言っているのは露枝くんだろう!って思ってしまって、露枝くんが苦しんでるのも伝わるから辛かったです。でも、結局上司の責任になるのだから君のミスを指摘するなというのも理不尽だし、ビジネス用語を覚えようとしないクセに他人の表現を制限するのってわがままだろうと思ったり。そして、いちばんの理不尽は、私が共感してしまったことの五つ目でした。露枝くんが、阿江さんのことを自分の父親に重ねて非難するんです。この理不尽さに、痛いほど共感してしまいました。それは禁じ手だと思うのです。私自身、繋がりを絶つことのできない関係性の人と存在を重ねられて非難されて、その理不尽さと自分にはどうしようも出来ない部分に怒りを感じた経験があります。この痛みを知っているから、露枝くんが一気に敵に見えました。それを言われてこっちはどうすればいいんだよ!と。これやめてほしいです。

それでも、やっぱり阿江さんにも露枝くんをここまで追い詰めてしまった責任はあるなと思わせてくれた、自戒の気持ちが強かった共感点の六つ目は、相手に共感するという感覚が極端に欠如しているところ。です。阿江さんは、露枝くんの気持ちに立って考えられなかったから、指導の方法を変える必要性を見い出せず、結果こんなことになってしまってます。なんで俺が指導を変えなきゃならないんだって意固地になってるのかもしれません。それも露枝くんの視点に立てないのが原因ですよね。私も、つい最近自分に共感性が足りないなって思ったんですよ。断罪室で。断罪室2、自分でプレイしてから他の人の配信を観たり、その後に自分の配信も見返したりしてたんですけど、他の方がキャラに自己投影したり、あえてその立場に立って考えたりしてるのに対して、たのしぃはめちゃくちゃ客観視して物事を見ていて、共感したとしても1つの主張に対してとかで、全然その個人に対しての共感の目を向けてないなと気がつきました。逆に、断罪室のキャラで自己投影して見たのは、阿江さんがはじめてだったんです。そのことに気がついたときは、断罪室って楽しみ方人によって変わって面白いなーって思ってたんですけど、阿江さんを見た後だと、これ気をつけないと加害性に発展するのかもしれないと肝が冷えました。
阿江さんは未来の私かもしれないと思うと同時に、露枝くんの強い言葉や怒号が苦手な気持ちも痛いほど分かるので、この部屋の判断はどちらも我が身を切るようで心苦しかったです。

最後に奥様に貰ったライターを探して燃え尽きていくシーン、ジッポライターという炎の中でも燃え尽きることは無さそうな物品でも置いていけないところから、本当は愛情深い人であることと、何のために戦う覚悟で仕事をしていたのか、そしてそのためなら本当に命を賭すこともできるんだという結果を、行動で示されて泣いてしまいました。あなたの情は、露枝くんには届かなかったんだなと。私の情も伝え方次第では、誰にも届かないかもしれないと、切なくなりました。

そして、残された阿江さんの子供が気の毒でなりません。たのしぃは子供の味方ですから、断罪しようがしまいが阿江さんの子供は父親を失って生きていくというのが辛くてならん。その子供は、威圧的な雰囲気の父親に苦しめられるのかも知れないし、逆に家族に対しては愛情深い父親の愛情を一身に受けるのかもしれない。そのどちらにもなりうる可能性すら奪われてしまったんだよな、阿江子は。

個人的には、十数年後、父親や普通の家庭を知らずに育ったことにコンプレックスを抱えた阿江子供が、露枝くんを断罪室に加害者として呼ぶスピンオフと、少し若い頃の團子さんと阿江さんが喫煙所で喋ったり昼を食べに行ったりするスピンオフが見たいです。
以上、急にオタクの願望で終わる舞台断罪室感想①でした!

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