人は優生思想から逃れられない
先日、メンタリストDaiGoさんの発言が大炎上した。
ホームレスはいなくなった方がいい、人間であるホームレスの命より猫の命の方が自分にとっては重い、という旨の発言である。
この発言が炎上した原因は、大きく分けて以下の2点だと考えている。
メンタリストDaiGoの優生思想発言が炎上した2つの原因
①やむを得ない事情で気の毒な境遇に置かれていて、基本的には無害な被害者であるホームレスに対して「いなくなった方がいい」と言ったこと
まず、世間ではホームレスの人に対して、「特別な事情があってやむを得ない事情で家を失ってしまった気の毒な人」という認識を持っている人が多いと思う。
何の罪もないホームレスの人がいたぶり殺される事件が度々起きていることからも、そういうイメージは強まっているだろう。
現状では、ホームレスの一般的なイメージは被害者である。
被害者であり気の毒な立場に置かれている人に対して「いなくなった方がいい」という過激な発言をしたことが、今回の炎上の大きな一因だと考えられる。
しかし、ホームレスに「加害者になり得る危険な存在だ」というイメージが生まれると、状況は一変するだろう。
今後もしホームレスが一般人を襲うような事件があれば、DaiGo氏と同じ考えを持つ人は増えるかもしれない。
DaiGo氏の言う通り、犠牲者を増やさないためにも、凶悪犯は社会に出してはいけない、死刑にするべきだと考えている人は多いだろう。
ちなみに街では、ホームレスを迫害するためのアートを施した設備が既に増えてきているそうだ。
②自分が猫の方が好きだという理由で、つまり私的な好みで、動物である猫を人間であるホームレスより価値ある命として位置づけたこと
DaiGo氏は、「ホームレスが生きていても自分にとっては何の得にもならない」「猫は可愛いから生きていると僕も得をする」をいう旨の発言をした。
社会的に妥当と思われる理由ではなく、私的な好みで命の価値を順位付けしたことが、大きな炎上につながったと考えられる。
さらに、「自分は税金をたくさん納めているからあなたたち一般人よりもよっぽど社会に貢献している、だからこれぐらい言ってもいいだろう」とでも言わんばかりに、一般の人を煽るような言い方をしたことで、さらに火に油を注ぐこととなった。
また、動物を人間よりも上に位置付けたことで反感を感じた人もいただろう。
多くの人は、動物は人間よりも下等な存在だとと当たり前のように捉えている。
Twitterでは今回のDaiGo氏の発言に関して様々な意見が飛び交っていたが、その中で以下のようなツイートを見つけた。
少子高齢化社会で高齢者の医療費が財政を圧迫する中、「あとは死ぬだけの年寄りよりも、これから将来を担う若者のためにもっと予算を割くべきだ」と考える人もいるだろう。
もしDaiGo氏が「年老いたホームレスより、恵まれない家庭に生まれて進学できない子どもたちのために税金を使う方が将来のためになる」とでも言っていれば、炎上どころか賛同する人が多数いたのではないかと思う。
また、DaiGo氏が元いじめられっ子だったという生い立ちに言及するツイートもあった。
この私のnoteでも散々書いていることだが、価値がないとみなされてしまう人に対して、世間は徹底的に冷たい。
いじめに遭ったり、人から否定され続けたり、人から虐げられた経験のある人ほどその真理を実感することになる。
容姿が原因でいじめられていた人が、ダイエットして整形すると周りの反応が面白いほど変わったというのはよくある話だ。
婚活の場では、容姿、年齢、学歴、職業、年収などのスペックで人を値付けし、同等だとみなした人をマッチングさせる。
人が人の価値を測り、価値が高いとみなした人には優しくして、価値がないとみなした人は虐げるというのは、誰しもが当たり前に行っている極めて普通の営みなのだ。
私はDaiGo氏の発言を肯定はしないが、安直に否定することもできない。
DaiGo氏に対しては批判的な意見が圧倒的だが、「そういう綺麗事を抜かしているアンタらもバキバキの優生思想で人を選別してんだろうが」と言いたくなってしまうのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?