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どう生きるか自覚を持つことが、世界をより良くする【高遠菜穂子氏インタビュー】

探求フェスを主催する一般社団法人ピースセルプロジェクトの高遠菜穂子さんへのインタビューをお届けする企画。今回は、高遠さんがご自身の生き方を定めるまでの経緯について、貴重なお話を聞かせていただきました。自分の人生をどうしたいのかわからない!という人生迷子の若者に、ぜひ読んで欲しいです(聞き手も無論その一人です)。


「どう生きていくか」自覚を持つことが世界をより良くしていく

ピースセルプロジェクトのイラクでの活動の様子

探求フェスの10年後の理想の形は、世界的アクションができていること

―――探求フェスの話とはずれるかもしれないんですけど、イラクにいて、日本のこういうところがおかしいなど、色々感じるところがあったというお話でしたが、菜穂子さんが今後、例えば日本に戻って活動するとか、日本に対して活動していく可能性っていうのはあるんですか?

私はこの探求フェスを毎年やりたいんですよね。全国展開して、北は北海道、南は沖縄まで、青少年の家とかいろんなところで、その土地その土地の人たちと学びを深めていくっていうことを、世代間をつなげながらやっていきたいですね。

―――単発の学びのイベントとしてももちろんやりつつ、継続的に学びを一緒に深めていく研究会?サークル?じゃないけど、長期的なスパンでやっていくシステムもあったらいいのかなって思いました。

本当にその通りで、5月のプレイベントは単発じゃなくて、8月へのつながり。今年の8月にメインイベントがあっても、それは次にまたつながる。運営スタッフの人もそうだし、参加者の人もそうだし、自分が一番興味のあることについても。
よく相談されるのはね、「周りにそういう話をできる人がいないんです」で、私すっごいわかるの。私もね、そういう経験めっちゃしたんですよ。自分の興味があることを話せる人が全然いなくて、すごく悶々とした時期が若い頃にあったんですよね。「こっそり系」って言ってるんですけど、私、本当こっそり系だったんですよ。こっそり署名しとく、こっそり不買運動をやってるとかね。

「なんで食べないの?飲まないの?買わないの?」って聞かれて「う~ん、なんとなく~」みたいな感じで(はぐらかしていた)。でも、「いつか私も・・・」みたいな感じで。何かのきっかけで、ふと同じこっそり系をやってる人に出会ったりとかすると、「そうなの?えっ、マジ。マジか!」って。やっとそこで、わーって喋れる、みたいなね。
 
そういうこっそり系の人たちが探求フェスに来て、そこからどんどん仲間を作って増やしていって、それが毎年つながっていって、10年後には本当に大きな世界的アクションができるような感じになったら、すごいよね。

最初の一歩は、どう生きたいかをちゃんと見ること

―――今の菜穂子さんはこっそり系じゃないと思うんですけど、それは、こっそり系の人で集まって色々アクションしていった結果なんですか?どうやって公表系?ぶっちゃけ系?になったんですか?

私、地元にいた時がこっそり系で。9.11の後にアフガン攻撃とかに反対したかったんだけど、(周りの人に)全然通じなくて。その時、酪農のバイトしてたんだけど、もう牛にしか喋れないもん。搾乳しながら、乳しぼりしながら「(牛に) どう思う?」みたいな。

―――はははは(笑)

朝の4時に起きて、4時半から牛に語りかけてたみたいな、そういう感じだったよね。 
その後にインドに1人で行って、マザーテレサのところで1年ちょっとボランティアするんだけど、そこで出会ったインドの人たちとは、そういう話を夜通し喋れるぐらい喋ったんだよね。なかなか同じようにそういう話をできる人がいなかったよね、っていう感じだった。

それからは、それをやりながらアウトプットして。インドに行った時点で、全部仕事辞めてきてるから、「自分はこうやって生きるんだ」って決めてるんだよ。「今後の人生こうやって生きるんだ」って決めてるんだけど、改めて自分の生き方っていうのをさらに考えたよね。

「私はこうやって生きるんです」っていうのは、もう決まっちゃった。決まっちゃったっていうか、「私の人生こういうことになってるんですね」っていうのがわかっちゃったら、 もうこっそりする必要は全然なかったよね。「この私、この人生、自分でやってるんで!!」みたいな感じだったから、全部一個一個確信を持って選んでイラクにも来たし。

だから、アクションを起こす時に、どうやって外に踏み出したらいいかわからないっていう風になるけれど、 最初の一歩は、自分はどう生きたいかっていうところをちゃんと見るところかな。それが一歩かな。自分はどう生きたいのかっていう生き方。
それをやれば、自ずとどの方向に足を出すかっていうのが見えてくるし、外野も気に入らなくなるし。そこで仲間が見つかれば、すごいワクワクもあるし。

―――自分の生き方がまだ定まらなくても、探求フェスが今後の生き方について考える機会になったらいいですよね。

そうだね。自分はこういうことに興味があると思って参加したんだけど、「え?マジ?そうなの?!」っていう意外なことが探求フェスで起きて、そこにすごいビビビってご縁みたいなものができるかもしれないですね。ドキュメンタリーを見たのか、エキスパートの話聞いたのか、もしかしたら、運営の一言で変わるってこともあり得るよね。 「実はこうだったんです」「そうなんですか!」っていうような感じでさ。何か小さなきっかけ、自分はどういう風にこの人生生きるんだろうっていう感じをぜひ体験して欲しい。

答えはすでに自分の中にある

ピースセルプロジェクトのイラクでの活動の様子

―――人生相談みたいになっちゃうんですけど、自分の生き方を見つけるっていう時に、例えば世間とか、家族とか、今までの経験とか、自分の持ってるものとか、そういうものによる「やるべきこと・やれること」っていうのと、「本当に自分がやりたいこと」の見極めって、どういう風にしたらいいんでしょう?本当にやりたいことなのか?やるべきだと思ってるからやりたいと思ってることなのか?っていう。そこが難しいなって思うんですけど、その辺りどう思われますか?

自分は、人間はミッションを背負って生まれてくると思ってるんですよ。一つ一つの命がね。なんだけど、おぎゃあと生まれて、そのミッションを忘れちゃうんですよね。人生生きていく中で、早い人は十何年で、ちょっと時間がかかる人は30年で、もうちょっと時間がかかる人は50年、70年で。今生きてる間で、自分がここに生まれてきた意味とか、自分がやるべき仕事っていうのを「思い出す」って感覚だったかな。私の場合は。

―――なるほど!

びびっ!ってくるっていう感じじゃなかった。自分がやりたいことっていうのは、確かに漠然とあったりするんだけど、それを実現させるっていうよりは、「なるほど、私の人生、これになってたか」って感じですかね。

―――えー!すごい!!

イラクに来たとかインドに行くとかっていうのも、若い頃から漠然とやりたいことで。「30歳になったら人生第2幕にするんだ!!」みたいなことはずっと思ってて。「私、ボランティア最優先で、できるとこまでやるんだ、この人生は!」みたいに思ってたんだけど、それはやりたいことだったの、若い時。
 
だけど、実際30になって、本当にインドに飛び出してって、そこで暮らしてボランティア最優先でやってみたら、その後に中東があって、イラク戦争、で、今がある。もう20年ここでやってる。なんかね、答え合わせしてる感じかな。 やりたいことでやってるというよりは、お導きされてる。もう決まってる、みたいな。「この人生では、あなた、これをやるって決まってるから、しっかりやりなさいよ」みたいな、そういう感じかな。
それを今答え合わせして、なるほどねと思って納得しちゃったから、もう他の道はもうないなっていう。だから、人それぞれだと思うけど、やりたいことがあるっていうところ、そこに心惹かれるとか、そういうのって意味があるんだと思うんですよね。それはネットの中じゃなくて、自分の中にある。
 
よくさ、「自分何したらいいかわかんないんで、なんか言ってください」みたいに言われるけど、それは私に聞かれてもわかんないなっていう。 あなたの答えは、あなたの心の中にありますよって。だから、自分と対話するっていうことは一番必要かもしれない。そこに答えがあるんだけど、みんな外を見ちゃってる。目が外を見ちゃってる。だけど、実は答えはもうすでにここ(自分の中)にある。生まれた時からここに持ってる。自分がなんとなく心惹かれるものっていうのは、その答えに由来してるというか、そういうことなのかなと思う。

どれだけ出会うかよりも、どれだけ深く考えられるか

―――その答えにたどり着くまでには、いろんな人と会うとか、いろんな体験をするとか、いろんな国に行くとか、そういうことが道しるべになっていくっていう感じですよね?

それは多い。そういう出会いが多ければ。でもね、出会いが多いというよりは、どんだけ深く考えたかの方かな。吐き気するほど考えるみたいなことが、私、若い頃すごいあって。インドにいる間は割とそういう感じだったから、熱は出るわ、具合悪くなるわ。どれだけ多く出会うかというよりは、出会いでインスパイアされたことを、どれだけ突き詰めて考えられるか。私の場合はね。

―――自分の中でどんどん問いが出てくるって感じなんですか?

問いが出てきて引っかかるとか、ざわざわするみたいなのを、ボランティアしながらもずっと考えるとか。頭から離れなくて一人でチャイ飲んでるとか。でも、悩んでチャイ飲んでる時に、隣に座ったインド人がなんかすごい哲学者みたいなこと言って帰ってったみたいな。「え!あなた誰?!」みたいな、こういうことよくあったな。

自分の中の真我(※1)って私は言ったけど、「自分の真我はなんだろう」とか、いろんなことを考えてる時に、普通のインド人が、ちょろっと哲学者のようなことを言って去っていく。道を求めてる求道者のところでは、そういった言葉が来るのかなとかって思ってたけど。

―――自分と対話するとか、真我について探求するっていう、そこまでのスタンスがまずないというか、私もそこまで考えてないよな、と。自分の人生に対して、どれだけちゃんと自分事として考えられてるか、捉えられてるかっていう、そこが大きいんですかね?

なるほどね。私はとにかく「マイライフ感」は強いな。 
例えばだけど、結婚とか出産とかね、おばちゃんたちとかの「なんとか夫人会」みたいな、ちょっと年配の女性たちへの講演に行くとさ、バーって50~60人来てさ、うずうずしてるお姉さん方に「高遠さん、ご結婚はどう考えてらっしゃるの??」って言われたりする。「なるほどですね!!70ぐらいになったら考えます!」とか「来世します~!」とか、そういう感じで言ってたりするんだけど(笑)

―――はははは(笑)

私の中ではマイライフ感すごくて、「今生はこれって決まってるので、やることが決まっているので!」っていう感じなんですよね。だから、わかんない。唯が言ってる、自分の人生っていう感覚が薄いって、わかんない。その感覚、理解してないかもしれない。どういうこと?

―――多分「自分軸で生きてるか」とかっていうことだと思うんですけど。自分が主体で、本当に自分がやりたいことをやれてるか、自分の人生自分のために生きていいんだっていうことを許していいよ、みたいなことですかね。

なるほど。いやいや、他にないよね。 自分のために生きよう。

―――はい・・・!

自分のために生きていいと思うよ。遠慮することないし。私的には、唯がその年に、この時代に日本で生まれたってことに意味があるし。どこで生まれて、いつ生まれてとかって、全部意味があると思っているので。この時期にPCPに集まってきたっていうことにも意味があるし。唯が今ここにやってきたっていうところにも、全部意味があるような気がしてますけどね。

それは世界のためでもあるし、それぞれの人生のためでもあるし。それぞれの人生をちゃんと生きることが世界を良くすることにつながっていくんだと思いますね。どう生きていくかって自覚を持つことが、より良い世界につながっていくんだと。

―――幅広い年代のつながりを作りたいっていうお話がありましたけど、今みたいなお話とかって、同年代とか同い年とか年下に聞くような話ではあまりないと思うので。人生の先輩だからできるお話って色々あると思うので、縦のつながりもたくさんできたらいいなと思います。

※1:シンガ。古代インド発祥の宗教から派生した言葉で、エゴや執着のない「本当の自分」のこと。

(次の記事へつづく・・・)

〜学ぼう、深めよう、世界と私をつなげよう〜
日常のなかにある、ふとした疑問や違和感。
いつもは見過ごしてしまうものでも、この機会に"探求"してみませんか?

✼••----開催概要----••✼

▶日時
2024年5月6日(月・祝) 10:00〜19:00

▶会場
高尾の森わくわくビレッジ
(JR線・京王線 高尾駅からバスで約15分)
(東京都八王子市川町55)

▶プログラム
・ドキュメンタリー上映〈『プロミス』『わたしは分断を許さない』〉
・ゲスト講演〈堀潤氏・白川優子氏・今井紀明氏〉
・対話の時間(参加者・ゲストとのフリートーク)
・演劇的手法を使ったワークショップ
など

✼••----ご応募----••✼
(チラシには5月1日締切になっていますが、ご応募受け付けております!)

▶通常申込:参加費をお支払いいただき、ご本人が参加される場合
・5,000円(映画鑑賞・講演会・昼食含む)

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・あなたのお支払い:無料

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・1枚 5,000円

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